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漢方外来と心臓の話。(なぜ漢方薬は病に効くのか?という話)

通年性アレルギーから後鼻漏

私は子供の頃からの通年性のアレルギー鼻炎があり、 大人になっても なかなか治らなかったので、 鼻の穴の中に(鼻茸[ハナタケ])と呼ばれるマッシュルーム状の肉の腫瘍が出来てしまうことが何度かあり、
ひどくなると鼻呼吸ができなくなるので、 鼻炎が進行して鼻が肉の腫瘍で詰まってしまった時は、耳鼻科でレーザーや、 アルゴンプラズマ手術といった [鼻の中の肉の腫瘍を焼き切って鼻の通りを良くする]
という手術を何年かおきに受けていました。

その手術を 6~7回ぐらいしたあたりから、 後鼻漏という 鼻水が喉の方に落ちて 喉が詰まったり アレルギーの炎症が喉の方にまで行って喉が腫れる( 結果的に1年中風邪のような症状になってしまう)

という症状が続き、 普通の耳鼻科で処方してもらう 抗アレルギー剤が効かなくなってきたので、なんとか治す方法はないかと 漢方外来を受診していました。

漢方外来

( 漢方の場合1つの病を、 その人の体質に合わせて、 いろいろな漢方薬で治療をするので「治療するためのアプローチがたくさんある」 という話を聞いたことがあったので、 私は漢方外来という治療方法をチョイスしていました)

そして、その漢方外来では最初に問診をして お腹を触診し、患者の舌や目をみたりして診察するのですが、

最初の問診の際に「 体調はどうですか?最近お困りのことはありませんか?」といつも聞かれるので、

「実はこの前、ひどい頻脈か?不整脈みたいなのか?心臓が勝手にバクバク動き出したことがあって、 心臓がつりそうになって困りました」

と先生に伝えると、その漢方のが

「 実は私は漢方の医師でもあるんですけど、漢方の医師である前に、専門は実は心臓なんですよ~。ご存知でしたか?」

という風に聞かれました。

「え、私は漢方専門の先生かと思っていました😅」と、お伝えすると先生は、

「 というわけで私の専門は心臓なので、今からエコー検査と心電図を見ましょう」

と、 先生のご厚意でその場で突然 エコー検査と心電図を見てもらうことに なりました。

そしてエコーと心電図を見た結果、先生が言ったことは

「 心電図とエコー 検査の結果、 心臓の一部が肥大しているとか、一部の動きがおかしいなどの症状がありません。 この場合考えられることは[ストレスによる心臓の異常]ということが考えられます。
画像所見で全く異常が見られないのに、患者さんが明らかに生命の危機を感じるほどの異常を感じている。 これは 西洋医学で言えばお手上げの状態なんですよね。
西洋医学においては画像所見で確認した、部分的に大きくなってしまった腫瘍などを薬で小さくしたり外科手術で切除したりするという即効性がある治療法というのは非常に効果的です。
ですが、患者さんが明らかな異常を感じて病院に来てるにも関わらず、 様々な検査機器を用いても画像で異常な部分を探すことができない。
この場合であれば西洋医学では、ほとんど対処ができないんですよね。
恐らく原因が「ストレスであろう」ということは分かるので、この場合であれば精神安定剤を処方する医師もいますが
トシさんとお話ししていて、 受け答えもしっかりしていて、 話の要所要所に相手を気遣ったり、ユーモアを交えたりしながら話していて、 問診をしていて精神状態に異常があるようには見られません。こういう患者さんに安易に精神安定剤を処方してしまうことは明らかにマイナスの作用が大きすぎます」
ですから 西洋医学では、この症状はお手上げなのですが……

「漢方には、 そういう症状に効く漢方薬が存在するんですよね。」

西洋医学の薬って、[ こういう症状にはこういう成分が効く]という薬(薬学的な[(体に〇〇する。)みたいな作用がある成分])を発見し 、それを[動物実験や治験を経て一般の患者に処方しても問題がない]という過程を経て薬が作られるのですが、
漢方の歴史は長く、 昔からこういう症状の患者に こういう漢方薬を処方してきて、 [処方した結果として回復した]という記録だけが残っているのですが、[なぜ効くんだか分からない]でも[病がある患者に処方すると効く]という(薬学的になぜ効くのか?解明されてないけど[効く薬])というのが 山ほどあるんです。
ですから、漢方なら治療ができます。 漢方で時間をかけて体質改善をしていきましょう。

と先生に説明されて、 心臓に効く 漢方薬を 処方してもらい、 それからは心臓の異常というのは 現れなくなりました。

漢方の歴史と西洋医学との協力体制

その漢方外来の院長先生が、 とある医療雑誌のインタビューに答えていた記事があったのですが、

漢方には、 長い漢方薬の歴史の中で医学がまだ未発達の頃に、患者に処方して結果として患者に効いたのだが、なぜ効いたのか?科学的に解明されてない薬というのはたくさんあります。
その中の一つとして、 黄連解毒湯という 漢方薬があり、この漢方薬は口内炎によく効きます。
しかし、なぜこの漢方薬を飲んだら口内炎が治るのか?という科学的な理由はわかっていません。
しかし、抗がん剤でがん治療をする 癌患者の方は、 抗がん剤の副作用で体の免疫力が非常に弱り口内炎が口の中に大量にできてしまい、食事をするのにも困ってしまう。というようなことがよくあります。
そのような 西洋医学での大病の治療中に、 西洋薬で対処できないような患者さんの細かな体調不良等を 漢方薬による治療で患者さんの苦痛を取り払うというのも我々 漢方医の役目だと思います。
長い漢方の歴史の中で様々な漢方薬が様々な病気を治す。 という 患者さんに処方した記録だけが残っているのですが、 科学的にはなぜその症状が、その漢方薬で改善するのか?解明されていない薬はたくさんあります。

しかし、その漢方薬の科学的な効果も、 薬学の研究が進めば解明されていくと思います。

我々、漢方医の現在の使命は、 その漢方薬を使って様々な症状の患者さんを治療してきたという記録にもとづき、 目の前にいる患者さんの苦痛を取り払うことだと思います。

という、お話でした。

私のストレスからくる、しかし[画像所見が得られない心臓の異常]も、 こういう漢方医の先生たちの努力により救われました。

思いもよらぬ病でしたが、結果的に医学の進歩だったり、 医師の努力の凄さを実感できた話でした。

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