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【プリズンライターズ】刑務所からのポエトリー・10月

わがままな采(サイ)

あくびがでる 毎日に うんざりして 言葉より先に過去に置きざりにしてきた 
何かを捜す 道なき道を進む選択した僕を君は笑った 
やれることやったと言えるうちは まだやれることがある 
ゴールテープ切った その向こう側見えた その時こそ 全てやりつくしたのだ  
目に写るモノしか 信じなかった  それが愚かなことだと気づいたのは 
隣でいつも手を握ってくれる君を 写真の中に見つけた時 
自分の言葉に自信が持てず いつの間にか テレビで知った言葉ばかり 使ってた 
時が経っても癒えない傷の正体は幼い頃 投げた采が戻ってきたものだった 
悔いても 悔いきれない過ちがある 夢中に走ってる時は 気づけない 
後ろを振り返った時に気づくモノ 思い出は作るものじゃない 
気づいたら 心のフレームにおさまってるモノ
消えたはずだった道を照らす松明に炎(ひ)を点してくれたのは 君の言葉   
だから翼が 何度傷つこうとも 飛ぶことを恐いと 知っているから 
諦めないで いられる 誰かの手を握ってあげる勇気もないし
誰かの 背中を そっと押してあげる力もないし
倒れる誰かを支えてあげる自信もない  
ただ君の声を 聴く 素直な心は持ってる
「助けて」と声をあげることさえできなくなった 僕に 
いつも 届いた 君の声を・・・。

ある雨の日

温かい言葉ってなんだろう
スマホで調べてみる
気づいたんだ  大事なのは 乗せる意思だってことに 
見えないなにかに踊らされて 大人になれない 自分に 嫌気がさして 
言葉にできない 気持ちもどかしくて
変えられない 過去に いつまでも しがみついて 
ずっとただ「今が楽しければいい」 そんな言葉 愚か者のセリフと思ってた
前に進むのが 怖いって思えるくらいが ちょうどいい
1ページ先の未来にサイコロを振ろう
海辺で二人夕陽ながめて 君が振った「またね」の手を 最後まで見つめていた  
嬉しい気持ちと温かい気持ちが交差して 空が晴れる
砂が手のひらから 流れ落ちるすがたが好きなんだ
何を信じ 何を疑えばいいか わからなくなったら 僕らはまた虹を見上げるだろう 僕らのように 寄り添う虹を・・・
翼が欲しくて 青空を自由に 飛びまわる 鳥たちを見ていた
気づいたんだ
欲しかったのは 自由だってことに 
何かを決断するのが こんなに 怖いと思ったのは初めて わかってるつもりだった
でも失った後に 気づく 大切なモノだったと  
もうこんなこと くり返したくない
そう 誓ったはずだった
でも 時間が経つと くり返す自分がいる  
それは いつの時も強くもなく弱くもない
優しい雨の日


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