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【プリズンライターズ】刑務所からのポエトリー・5月


4月のクリスマス


舞い散る 桜の花びらと すれ違った 
優しく ほほえみかけてくれた 気がした
立ち止まったのは ほんの一瞬
それだけで 勇気もらえた
かすむ 視線の先に見えたのは 月見草
このメモリーには
どれだけ どれだけの想いが
いつまでも この世界に 希望の光が 届かない 場所があるのなら
君が光になればいい
情けないよな
いつの間にか 涙かれてしまった
答え(真実)なんて いつもあればいいってわけじゃないから
求めなくていい
しがみついていい
かっこ悪くなんかない
もう二度と 前を向く資格がないと思ってたのは ほんの昨日の話
今日が昨日と同じ空なのに 見える世界 こんなにも違うのは
君のおかげ
全てに諦めかけた時 心のトランプタワーが崩れなかった
そんなこと 今は恥ずかしくて 言えないよ
この桜がもう一度ほほえむ頃
僕らの想い出の場所で話そう
つらくなったら 僕の背中を見てほしい
誰にも大きく立派に見えはしないけれど 君にだけは
特別 そう見えるはず
みんなには 秘密 そういう プレゼント
季節外れの サンタからもらったんだ
君の小さな指が 僕の指握ってくれた日に
いつかおとずれる
君が旅立つ空の下
優しくそっと その背中を押す
嬉しいのに どこか かたい表情
君にバレないように それはきっと寂しいから
いつかわかるよ だって あの日の僕に そっくりなのだから


国境


ろくに言葉を知らない
ろくでなしの僕  どこにいても何をしても 悪者になるのは僕ら
苦しくて ありったけの声で叫んでも 世界は無情なほど 変わることなかった
この国では 理想を見て 夢追い人  
国籍という 有資格者だけに 許された特権
全てとはいわない 少しでいい 時々でいい 腹を満たすだけのモノ欲しいと願った
当たり前なんかじゃない 目の前の蛇口は ひねっても 水はでなかった
よく目 見開いて 見てくれないか 
僕らの刃(やいば)は 傷つけるために 尖ってたわけじゃない
邂逅の海 浮かぶ 自由
追いかけ ホームに 飛び込んできた列車に乗れず 途方に暮れ 立ちすくんでいた いつからだろう
目を閉じると 僕じゃない 誰かの鼓動 聴こえるようになった 
別に 言われたわけじゃないよ 信じてくれってさぁ 
ただそんな時ってあるでしょ? これで間違いない これしかないって時がさぁ 
動かなくなった時計を いまでも ポケットに しのばせてる 
命投げだすこと 怖いと思わなかった 本当の命も 知らない 僕だったのだから
ためらいなどなかった 一歩でも下がる 足場すら見えてなかったのだから  
安全地帯 どこだよ はかない夢を見てしまった
空から降る 何かを求めて 今日も数える羊 数える窓を打つ水滴

ー 日本・異境に来たばかりの在日の方の心を詞にしてみました。


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