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【プリズンライターズ】判って欲しいこと Vol.1

これはボク自身のことでもあり、カナリの人達が苦しんでいる問題ではないかとボクは認識しています。
全てがそうだとは言いませんし決め付けなどボクはしたくなく・・・・・
あくまでボクの思い感じだとことと捉えていただけるとありがいし、ボク自身の心がベースとなっていることを、御理解下さい。

 ボクは保育園の頃、2つ上の姉が、お金を拾ったことで父に褒められている姿を見てすご〜く羨ましく感じ(もちろん当時の心なんて今更判らず・・・・・ただ結果から今考えるとと云うものに過ぎません。)その日の夜、ボクは父の財布から壱萬園札を抜き取り、翌日保育園から帰った後、父に姉同様(前日の)「拾ったあ〜」と言って渡しました。
ところが褒められるどころかクソの如く(この表現て、今はアウト?)殴られ、心とは真逆の状況になりました。

 
 父は元々ボクより姉を大切?愛して居たようにボクは感じていました。
ボクの家は”父子”家庭であり、親は父しか居ませんでしたし、当時は?ボクの家では”おとこたるもの”弱者(女・子供)を助け守るべきという教えがとっても色濃いものであり女である姉はと〜っても優しくは扱われてました。
その様な環境下でボクは”愛”を求める所は全くなく、ボクにとって唯一の縁(よすが)(心の拠り所)が『義侠』(父の教え)でありました。
ボクが義侠・心を示した言動をするときだけ父や周りの大人達はボクを褒め認めてくれたことで、ボクは誰かに”愛を貰う”には何らかの”犠牲”を払わなければならないのだと考えるようになりました。


なんでも本来であれば”無償”で得られるのが親からの愛であるとか・・・・・
ボクにとっては社会が言う所の『安全基地』なるものがまったくありませんでした。

 
 このような過去からして他人(ヒト)は『愛着問題』があったと言うらしいことを最近初めて知りました。
ただ、この様なことを話すと”逃げじゃないかぁ!”と言われる人も少なからずおられるとおもいます。
ボクは先にも述べた通り”環境”がどうであれ、その道を進むのか辞めるのかは己の責任である、ということも十分理解はしています。
只そうしたことが、心に少なからず”影響”を与えていることは否めないのではないかとも考えてます。

 
 人にとってこの『安全基地』の大切さが判ることの一つとして、先日逮捕された餃子の王将射殺事件の犯人とされてる方がとあるインタビューで言ってました。
「カタギの世界にイヤ気が差した。そんな時に助けてくれたのが今の組織の人達でした」との言葉です。
この人にとってはこの組織こそが自分を守り助けてくれる(どんなことがあっても)と信じることの出来る『安全基地』にほかならない場所であったのです。


 この人は違うかもしれませんが、ボクの周りには親や大人からの”愛”を得られずに、犯罪に手を出し、そこで知り合った組織の人に今まで感じなかった”愛”を感じたことから組織を『安全基地』にして生きてる人も多くいます。
つき詰めますと安全基地を求めた結果が様々な犯罪を犯す事につながったとも言えます。
この中でも『安全基地』を求めるが故に組織のものと様々な縁を持ったりする者達も多くいます。
ともあれこの様な『愛着の問題』を抱えている人に必要なのは『安全基地』であり、どうすればそれが得られるのかということであります。


 小さい子供が”無理なこと”や”手の掛かること”その時に親に求めることがありますが、その行動も自分の『安全基地』を計るためのものであるのではとボクはおもってます。
この中でもそれに近い心のあらわれと思われるケースを見たり話を訊いたりします。
その度に「大人のくせに」とかの声を訊きます。
しかし大人とか子供のとかの視点は関係なくて、只々『安全基地』を求めているだけなのです。
その根底にあるのは『愛着障害』という疾患であることを理解して欲しいと云うのがボクの希望です。


 ボクもその一人!だからこの中であっても、そういう人には心を理解した接し方を心掛けて生きていこうとおもっています。
一人でも多くの人の理解を得られ、寄り添ってもらえる優しい社会になってくれることを心より祈ってます。 以上


2022.11.29

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