だいすきなぬいぐるみのクリーニングをして思い出した家族のこと
10年近く一緒にいるお気に入りのぬいぐるみ。
「ひつじのメイプル」
私が出会う大抵のぬいぐるみは目や鼻が硬かったり、すこしチクチクする素材だったり。でもこの子は硬くて肌あたりの悪いところなんてなくて、全身がふわふわで柔らかい。
おしりにビーズがほんの少し縫い付けてあるから、ちょこんと座ったまま飾れるし、少しの重さがまた良い。
そしてなんと手脚がびよーんと長い!自分を抱きしめるように首に巻きつけたり、ヒザ(足?)まくらもしてもらえる。
つい先日このメイプルの綿を詰め直したり洗濯をしたりしてたくさんの思い出が蘇った。
出会いはお母さんがお父さんに欲しいと強請って2匹同時にうちにきた、白いひつじのメイプルちゃんと茶色いひつじのロップくん。お父さんの呼び間違えで茶色はロイ、白はユキちゃんになったんだけど…。
みんながこの抱き枕サイズのぬいぐるみを抱いたり肘かけにしてくつろぐ時間がだいすきだった。
しかし両親が離婚して、お母さんはお父さんから貰ったぬいぐるみを燃やした。高校生の私がいつものぬいぐるみがないことに気づいたのは学校から帰った後だった。
あの頃は親が離婚する事にさみしいとかツラいと思ったことはなかった。2人が幸せにこれから生きていけるならって。
でもあのぬいぐるみがいなくなって、みんなでリビングでくつろいだ時間もなくなってしまった事を実感してすごくさみしくなったことを思い出す。もうお父さんがクッションにする事で潰れたぬいぐるみの綿を直すこともないし、お母さんがぬいぐるみの腕で私にいたずらをする事もない。
私はなけなしのお小遣いで、少し小さめのメイプルのぬいぐるみを買って一緒に寝たり、学校のバッグにキーホルダーをつけたり。そしてお父さんは私の誕生日にメイプルのぬいぐるみやブランケット、定期入れをプレゼントしてくれた。
その後お母さんが恋人のDV男と言い合いしてる時もぬいぐるみを抱いていれば怖くもなかったし、寂しくもなかった。
当時高校生になってまでぬいぐるみとかマスコット好きってキャラ作り?可愛いと思ってるの?なんて言われたけど、まぁ可愛いと思ってますし、似合ってるでしょ?って特に気にせず持ち歩いていた。
そんな高校生のある日、今の夫と出会った。
夫は私のぬいぐるみ好き趣味を否定するどころか、私をぬいぐるみみたいに可愛いね(?)って言ってくれる人で、両親の離婚の時もお母さんがDV男と付き合ってる時もメンタルが弱ってる私を支えてくれたとても優しくて暖かい人だ。
夫もひつじのぬいぐるみを大切にしてる私をみて、大きなひつじのぬいぐるみを買って自分の家に置いてくれた。私が彼の家に来てもくつろげるようにって。
出会ってから10年、今でもこのひつじのメイプルというぬいぐるみは私のだいすきなぬいぐるみで、また新しい家族みんなのくつろぎ抱き枕として大活躍中だ。
何歳でもどんな人でも好きなものは好きで良い。
あの時、ひつじのメイプルと出会って私は今幸せに生きている。
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