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今月は中秋の名月、そして月の洞窟発見!!で改めて思う月という謎の衛星!!

こんにちは。

今月9月17日は中秋の名月ですね。お月様が綺麗に見える季節がやってきました。
さて、そんな月ですが、先日、日経新聞に次のような記事が掲載されていました。

月地下に巨大洞窟 基地候補地に有望 イタリアの大学など分析(2024.7.30)
月面基地の「一等地」 巨大な地下洞窟発見 イタリアなどの研究チーム(2024.8.21夕刊)


ご覧になった方も多いと思いますが、私はこの記事を見て、ある映画を思い出しました。それは、2022年にアマゾンプライムで独占配信されていたその名も「ムーンフォール」という映画です。
この映画では、なんと月が地球に落ちてくる、そして、その原因が月が過去に作られた巨大建造物だから、という、とんでもストーリーでした。ご興味がある方は是非ご覧になってください。ぶっ飛んでいる作品でした。

さて、今回の発見は建造物ではなく、洞窟の存在が確認されたというもののようです。実際に月面では200以上の深い竪穴があるとみられていて、一部は地下に洞窟が広がっていると考えられています。今回、トレント大学のロレンツォ・ブルツォーネ教授によって、月面の「静かな海」にある竪穴が米・月周回衛星LRO(ルナー・リコネサンス・オービター)のレーダー画像分析から発見されたとのことです。
洞窟の深さは135〜175メートルの地下にあり、幅45メートル、長さ25〜77メートルと推測されました。ブルツォーネ教授は「実際はもっと延びている可能性がある」と言っています。

何故、このような地下洞窟があるかの仮説として、昔の火山活動によって生じた「溶岩チューブ」ではないかとも考えられています。そして、記事の表題にあるように、この洞窟は、将来人類が月面に有人基地を建設する際に最適ではないかと言われています。
それは何故か。月面の昼は温度がセ氏110度、夜はマイナス170度にもなります。また、放射線の被曝量も地球の約150倍とされ、さらに、月面では空気がないため、小さな隕石もそのまま衝突する可能性があります。月面に基地を作る場合はこのような過酷な環境で暮らさなければなりません。

それに対して、洞窟内にもし基地を建設すれば、温度はマイナス20度ほどで安定しているとみられており、放射線や隕石からは、ほぼ身を守ることが可能となります。さらには、地下に埋蔵されている可能性がある氷や鉱物も摂取しやすい、基地建設の際、月面に建てるよりも工事が簡単である、などの利点だらけなのです。

それにしても、月に過去に溶岩が流れていたことも謎ですが、月にはこれ以外にも結構わからない謎があるようですよ。
最後に、まだ解明されていない月の謎を紹介したいと思います。次のようなものです。
1. 月の質量が大きすぎる
2. 内部構造がわからない
3. 月の裏側は表側とは全く異なる構造
4. 火山活動があった
5. 重力異常箇所
6. 月震
7. 磁場
8. 月の岩石の誕生年の古さ
9. 月の起源



1. 月の質量が大きすぎる

月の直径は約3476kmで、地球の1/4、質量は地球の1/81であるそうです。ところが、この比率が他の惑星の衛星と比べると、不釣り合いなほど大きいそうです。通常、衛星の大きさは、最大でも母惑星の直径で1/18、質量で1/1000程度だそうです。
ということは、月は元々地球の衛星として誕生したのではないのか、など、月の起源についても謎が深まります。


2. 内部構造がわからない

地球の内部はコア(核)とマントルに分かれていて、コアは鉄とニッケルでできた固まりです。月も同じような構造をしているのか、しばらく謎でした。
近年、コート・ダジュール大学などからなる研究チームは、アポロ計画の実験データや月の回転の不規則性に関する研究などから、月の内部構造に関するモデルを構築しました。

月の内核は月全体の大きさの約15%、直径にして500kmほどの大きさで、ほぼ鉄と同じ密度を持つ個体の金属でできたコアであることを突き止めました。さらには、外核の外側を覆う部分的に溶けたマントル下部について、鉄とチタンの鉱物が大量に含まれていることも示されました。さらに詳細な調査分析が必要ですが、この研究は大きな成果と思います。


3. 月の裏側は表側とは全く異なる構造

月は常に地球に見せている表側と地球からは見えない裏側があります。何故、月は常に同じ向きを見せているかというと、それは、月の公転周期が自転周期と一致しているからだそうです。そして月の表側の引力が裏側の引力よりも強く、月を細長く引き伸ばそうとする潮汐力として作用しています。

それが原因なのか、月の表側と裏側では、地下構造も違うことが、最近、わかってきました。また、月の裏側には、隕石の衝突でできたと思われるクレーターが表側よりもたくさんあることもわかっています。ただ、その原因や詳細については謎です。

その月の裏側について、積極的な調査を行っているのが中国です。今年、2024年6月にも、無人月面探査機「嫦娥(じょうが)6号」が無事、地球に帰還して、月の裏側から採取した岩石などのサンプルを持ち帰ってくれました。これは月の形成を知る手がかりにもなると世界中が期待しています。


4. 火山活動があった

先ほどの、月面の洞窟が元々は火山活動時の溶岩チューブではないか、との仮説がありましたが、月は過去に火山活動をしていたと推測されています。定説では、火山活動をしていた時期は38億年から31億年前であり、その際の溶岩があふれ、冷えて固まった部分が現在の月面で海と呼ばれている場所ではないかとも考えられています。
                                                                         
先ほども出てきた中国の無人月面探査機のひとつ「嫦娥5号」が持ち帰ったサンプルを分析することで、月の火山活動についてもわかってきたことがあるそうです。今回の報告によれば、約1億2300万年前という、地質学的に最近の期間内に月の表面で火山が噴火しており、なんと、現在でも火山活動が続いている可能性があるとのことです。
これは、先ほどの定説を完全に覆すものです。面白くなってきましたね。


5. 重力異常箇所

2001年に、米国の月探査機が取得したデータをもとに、NASAのコノプリフ博士らによって月の重力分布の地図が発表されています。その中で、重力場が強い重力異常の箇所がいくつか見つかっており、その場所の内部構造に関係しているのではと考えられています。

最近、ベイラー大学の研究チームがこの重力異常を分析したところ、重力異常が発生している「南極エイトケン盆地」クレーターの地下深くに異常な重力源があり、それは少なくとも2000兆トン以上の質量を持つ物体であると推定しました。この「南極エイトケン盆地」というクレーターもすごいもので、直径約2500km、深さ13kmと最大級のクレーターだそうです。そして、この巨大質量の物質は、イメージとしては、ハワイ島の5倍の大きさをもつ金属塊を地中に埋めたもの、とのことです。
これもすごい謎ですね。


6. 月震

2023年にNASAは月面で発生している微弱な月震に関する発表を行いました。その月震は、約5分おきに規則正しく観測され、毎日、同じ時間に揺れが始まるとのことです。

これは、まさかの人工物かと思われましたが、実はこの犯人は我々がアポロ計画で月面に残した宇宙船が原因ということです。月面に置かれた人工物が月面の激しい温度差によって膨張と収縮を繰り返すことで、宇宙船が小さな揺れを発生させていたとのことです。原因はそうでも、月の地面はそれほど揺れやすいのでしょうか。

実は、NASAのアポロ計画の際に装置を月面に落下させて月震を発生させる実験を行なっていたそうです。その結果によると、震源から140km離れた地点の地震計で3時間20分もの間、振動が続いたそうです。このことにより、月の中は空洞、もしくは内部の密度が非常に低いのではないかとも考えられます。
月震も月の内部構造の謎に関係していますね。


7. 磁場

月は地球と違って、天体を覆うような規模の磁場は存在しません。しかし、月の表面にも部分的に磁性を備えた場所があることがわかっています。なぜなのか謎でしたが、2012年にパリ地球物理学研究所のディレクターであるマーク・ウィツォレック氏らのチームが小惑星が月に衝突したことに起因するとしたモデルを提示しています。

また、2020年に中国の「嫦娥5号」が持ち帰った月土壌の詳細な分析により、この天体衝突により生じたと考えられる月の磁気異常を説明できるとしています。


8. 月の岩石の誕生年の古さ

今から50年以上前に、NASAのアポロ14号が地球に持ち帰った石に、なんと地球由来と思われる物質が含まれていることがわかりました。この石は40億年前に地球が天体衝突をした際に地球から飛び出し、月に到達した可能性があるとのことです。すごい話ですね。

また、2020年に中国の「嫦娥5号」が持ち帰った月の石については、年代測定をしたところ、19.63億年前のものであることが判明しました。こちらは、その当時、月に火山活動があったのではと推測されています。

9. 月の起源

以上のような謎に関連して、月の起源についてもまだ謎です。JAXAのWEBサイトには、次の4つの説が掲載されています。
・親子分裂説
・捕獲説
・双子説
・巨大衝突説(ジャイアント・インパクト説)


今のところ、最後の巨大衝突説が一番有力なようです。これは、地球がほぼ出来上がったころに、地球に火星くらいの天体がぶつかり、宇宙空間に広がった地球のかけらが次第に集まって固まり、月になったという説です。

さて、このように月は昔から、かぐや姫のお話など、ミステリアスな存在でしたが、現代科学でもいまだ謎の衛星です。夜空に煌々と輝く満月を見ながら、そんなことを考えてみると、不思議な感覚になりますね。

それでは。

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