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勝手に読書感想文-第二弾-

「骨を彩る」

小説を選ぶとき、その基準は人それぞれだろう。

私は、いつも小説を買うかどうかの基準として、
裏表紙に書かれてあるあらすじを読む。

基本的にミステリーやサスペンスが好きで
ときどき違うジャンルのものも読みたくは
なるけど、どのジャンルにせよ、先の展開が
読めない、つまり自分の想像を超えていて
ほしい、或いは自分の想像を裏切ってほしい
という期待に応えてくれそうなものを選ぶ。

この本はジャンルが何かと聞かれると分類は
されているんだろうけど、個人的には何かは
わからない。

あらすじには
"主人公の津村が10年前に妻を失ったけれど
新たな恋愛をしている。
しかし、その恋愛は亡き妻への罪悪感や喪失感を
伴いながらのもので再婚には踏み出せない。

その最中、亡くした妻の手帳を見つけ、
中を見ると「だれもわかってくれない」
という言葉に感情が凍てつく。

彼女がどんな気持ちで死んでいったのか。"

という主旨のことが書かれてある。

物語は、全部で5つの章で構成されていて
1つ目の章は、概ねあらすじ通りに展開し
津村の苦悩を中心に描かれてはいる。

しかし、あらすじを読んだときから抱いて
いた「骨を彩る」とはどういうことなのか?
という、あらすじからは読み取れないむしろ
あらすじでは触れられていない描写。

特に、この物語でいう「骨」とは何かという
ところが、1つ目の章では合点がいかない。

亡き妻(朝子)の夢を初めて見る場面で、朝子の
小指が無くなっていることに気付き、皮膚に
覆われた骨が少し隆起しているという描写が
ある程度で、物語としては、何か不気味な
雰囲気を醸し出しつつ、最終的には指は元通りに
なってはいるし、残した言葉は
「だれもわかってくれない」
だけではなかったこともわかる。

朝子に見せたかったけど見せられなかった、
その景色を夢の中で朝子に見せるところまで
いって、朝子は姿を消すという結末。

ミステリーやサスペンスやホラーの類では
ないにしろ、ハッピーエンドとも言い切れ
ないもどかしさを残して2章に続く。

まだ解決していない物語の続きを読もうと
いう気持ちで2章を読み始めると、それが
1章の続きでないことに気付く。。

2章では別の登場人物を中心に物語が進行
していき最終章に至るまで常にその形式を
取っている。

しかしそれが、結局は短編集みたいなこと
なのかと思いきや、冒頭に書いた期待の裏切りの
始まりであることに気付く。

今日はここまで!

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