おさえておきたい人事に関わる民法
こんにちは。ぷらいむ です。
今回は民法のうち、人事に関わる部分について書いてみようと思います。
人事のお仕事では、日常では労働基準法などの労働法や社会保険に関わる法律を扱うことが多いですが、労務トラブルとなった時は労働法でカバーできない部分は民法に基づいて考えていくことになるので基本的な用語などをおさえておくと良いです。
(トラブルは起きないにこしたことはないのですが…)
民法とは?
まず、民法とは何か?というと
人と人との権利義務関係を規律する法律のこと
この「人」には、人間(自然人)だけでなく法人も含み、日常の取引や契約、トラブル(紛争)が生じた時に調整するルールがまとめられています。
民法は、大きく「財産法」と「家族法」で編成されていて、人事に関わりが深いのは「財産法」の中に規定されている「債権法」となります。
債権とは?
債権とは、特定の人に一定の行為を求める権利のこと。
行為を求める権利がある人の方が「債権者」、行為をする義務がある人の方が「債務者」となります。
例えば、労働契約では、
会社側は、労働力を受ける「権利(債権)」があり、その労働に対して賃金を支払う「義務(債務)」がある。
労働者側は、労働力を提供する「義務(債務)」があり、その労働に対して賃金を貰う「権利(債権)」がある。
ということになります。
債務不履行とは?
そして、この「義務(債務)」が提供できない時に「債務不履行」(民法第415条)となります。
債務不履行には、以下の3種類があります。
履行遅滞
債務を履行する日より遅れてしまうこと
例:給与支払いが遅延した履行不能
債務の履行が不可能になってしまうこと
例:倒産により給与が未払いとなった不完全履行
履行したが契約どおりの履行がされなかったこと
例:給与を支払ったが全額払われなかった
不法行為とは?
自分が民法を勉強した時に、「債務不履行」と「不法行為」の違いを理解するのに苦労しました。
不法行為(民法第709条)とは、人が故意や過失によって他人の権利利益を侵害して、他人に損害を与えること
不法行為に該当するには、
実際に損害が出ていること
違法性があること
因果関係があること
行為者に責任能力があること
といった条件があります。
損害賠償請求権の発生について
債務不履行や不法行為があった場合、債務者に責任が認められる時には損害賠償を請求することができます。
損害賠償は一般的には金銭での支払いとなり、以下の3つのパターンがあります。
遅延賠償(遅延損害金)
填補賠償
(精神的にダメージを受けた場合の)慰謝料
慰謝料は、セクハラやパワハラなどがあった場合に請求を受けることがあります。
労働基準法は民法の特別法
自分が新任の人事担当者だった頃、例えば、解雇(労働契約の解約)について民法では「2週間以上前」と定められているのに対し、労働基準法では「30日前」と定められていて、なぜ日数が違うのか混乱しました。
その理由は、民法は広く適用される「一般法」に対して、労働基準法はより手厚くするために雇用を対象とした民法の「特別法」ということ。
そのため、民法と労働基準法で同じような規定があった場合には、特別法である労働基準法の方が優先されることになります。
おわりに
昨年、特定社会保険労務士(一部の労働紛争も扱える社会保険労務士資格)の受験にあたり、特別研修で憲法や民法など法体系全体で勉強できたのはとても有意義でした。
体系や法の背景・意味を理解すると、施策の考え方や従業員への説明・質問への対応など、人事業務の質が断然上がると思いました。
ここでは簡単に書きましたが、ぜひ、ご参考にしていただければ幸いです。
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