まーちゃむ

映画の感想を書いていこうと思います。 好きな映画監督:北野武、溝口健二、アン・リー、ク…

まーちゃむ

映画の感想を書いていこうと思います。 好きな映画監督:北野武、溝口健二、アン・リー、クリント・イーストウッド、チャン・イーモウ、キム・ギドク、ウッディ・アレン、宮崎駿、庵野秀明、新海誠ほか

最近の記事

気狂いピエロ

久しぶりにジャン=リュック・ゴダール監督の「気狂いピエロ」を見た。 アフォリズムや詩のような台詞の数々 一つ一つのシーンが絵画や絵ハガキのように美しい。 「映画」ってこういうものだ、と思わせる。 現代に倦み疲れた男がそこから逃避し、永遠を求める物語 暴力と遊戯、そして死、構成要素はソナチネと同じだ。 男女の描き方は全く違う。 難解な映画という印象があったが、久しぶりに見るとあんがいとメロドラマに感じた。基本的にはラブストーリーだ。 最後の太陽と海のシーンは必要だろうか

    • 天気の子 再見

      久しぶりに見返してみた。 これから生きて行く若者に祝福を贈る映画 Weathering with You(あなたと困難を乗り越える、きっと大丈夫) 二人の主人公の純粋な選択と行動を、美しい映像と音楽で祝福している。 手をつなぎ逆さまにクルクル回り落ちるシーン  この映画で最も美しい象徴的なシーン  帆高に促され、自分のために願う陽菜 3年ぶりの再会、この映画を象徴するもう一つのシーン  飛び立つ水鳥の映像から一気に転換、驚きでいっぱいになる帆高の瞳  そして、世界のため

      • グレート・ギャツビー(1974年)

        1974年版は初めて見た。 ロバート・レッドフォードのギャツビーとミア・ファローのデイジーがいい。 ギャツビーは端正な佇まいで、いかにも一途そう。 夕陽の岬で緑の灯火が見ているシーンなど、風景描写も美しい。 より原作のイメージに近い印象だ。 「狂騒の20年代と呼ばれる」1920年代のアメリカがよく描けているのだろうと感じた。ただ、描かれている文化、習慣、価値観が日本とは違い過ぎて日本人には感情移入しにくいところ 中盤のギャツビーとデイジーの恋のシーンが素敵 結ばれても結ば

        • グレート・ギャツビー(2013年)

          「秒速」の記事を書いたので、その流れで久しぶりに見返してみようと思い立った。 2013年公開、レオナルド・ディカプリオがギャツビーを演じた作品だ。 以前見てから10年が経ち、自分の感じ方も変わったかもしれないと期待したが変わっていなかった。正直、映画としては私には良さが理解できない。終始騒々しい演出、無意味なコメディタッチ・・・、このような演出にした意図がわからない。 映画だけでなく、小説に対してもなのだが、ギャツビーという人物にいまひとつリアリティを感じられない。アメリカ

        気狂いピエロ

          恋愛映画その2 だから、秒速5センチメートルが好き

          「ハッピーエンドの恋」とは何だろう? ①恋が叶うこと、②それが死ぬまで続く、ということだろうか。 これに当てはまりそうな映画はチャン・イーモウ監督、チャン・ツィイーのデビュー作「初恋が来た道」くらいのものだろう。 ほとんどの恋愛はハッピーエンドにはならない。叶わぬ恋、片思いや身分違いの恋、そして破局。 「マディソン郡の橋」、「ブロークバックマウンテン」、「ラスト・コーション」、「覇王別姫」、「アニー・ホール」、「サンザシの樹の下で」、「浮雲」、「あの夏いちばん静かな海」

          恋愛映画その2 だから、秒速5センチメートルが好き

          恋愛映画

           恋愛映画や男女関係をメインテーマにしている作品の中で印象に残っているものをピックアップしてみた。  書き出してみると何か偏っている気がするが。  ほとんど巨匠と言われる監督の作品だ。ハッピーエンドはほぼない。悲恋や悲劇でないと物語にならないのはギリシア悲劇も万葉集もシェイクスピアも同じだろう。  去ってしまった恋、喪失こそ美しく永遠だ。 新海誠:全作品 庵野秀明:彼氏彼女の事情 クリント・イーストウッド:マディソン郡の橋 クロード・ルルーシュ:男と女 ウディ・アレン:アニ

          新海誠監督の作品

          新海誠監督のの作品には、大きく分けると4つの系譜があると思う。 1 「恋愛」をモチーフに「喪失と再生」を描いた作品 「ほしのこえ」、「雲のむこう約束の場所」、「秒速5センチメートル」、「君の名は。」 ・ほしのこえ  監督の思いをぶつけたデビュー作 ・雲の向こう約束の場所  ほしのこえをベースに様々な要素を盛り込んだ初の大作 ・秒速5センチメートル  これまでの作品をベースに一切の無駄を排除した最高傑作 ・君の名は。  秒速をベースにハッピーエンドとキャラ立ちにより大衆向けに

          新海誠監督の作品

          ブロークバック・マウンテン

           アン・リー監督の傑作  尋常一様ではない状況での恋愛を描くことで、その純粋さや本質を浮かび上がらせたラスト・コーションと本作ブロークバック・マウンテンがアン・リー監督の最高傑作だ。  静かに胸に染みる音楽、ラストシーンでのヒース・レジャー演じる主人公の台詞と表情が素晴らしい。  永遠を誓ったこの思いも、儚く、静かに薄れ行くことだろうが、それでもブロークバックマウンテンの美しい森と川、透き通った世界での美しい思い出は永遠に忘れないのだろう。

          ブロークバック・マウンテン

          ラスト・コーション

           アン・リー監督の傑作「ラスト・コーション」  サスペンス、純愛、駆け引き、様々な要素が詰まった映画  トニー・レオンとタン・ウェイの演技がこの映画を傑作たらしめている。  トニー・レオン演じるイーが良い人になりすぎているかもしれないと感じたが、魅力的でないと純愛の物語として成り立たなくなるから、微妙なところだ。  映画には描かれていないが、イーはあの後、そう時をおかずに死んだのだろう。そしてそれを予感していたはずだ。この前提はイーに感情移入するには大事な要素だ。  この

          ラスト・コーション