ラスト・コーション
アン・リー監督の傑作「ラスト・コーション」
サスペンス、純愛、駆け引き、様々な要素が詰まった映画
トニー・レオンとタン・ウェイの演技がこの映画を傑作たらしめている。
トニー・レオン演じるイーが良い人になりすぎているかもしれないと感じたが、魅力的でないと純愛の物語として成り立たなくなるから、微妙なところだ。
映画には描かれていないが、イーはあの後、そう時をおかずに死んだのだろう。そしてそれを予感していたはずだ。この前提はイーに感情移入するには大事な要素だ。
この映画には一度見ただけで強く印象に残り忘れられなくなる場面、表情がいくつもある。
好きなシーンはいくつもあるけれど、特に好きなのは料亭で天涯歌女を歌うシーンと最後の人力車で走る静謐なシーン
料亭で天涯歌女を歌うシーンは、お涙頂戴ではあるのだが、二人の心の変化に感情移入して感動する。
最後の人力車で風車がアップになる映像はとても切ない。何を象徴しているかはわからないが、見る人の心に様々な思いを去来させる叙情的な画。監督はどうしてこのようなショットを思いつくのだろう。
ハッピーエンドではないのだが、単純なバッドエンドとも言い難く、思えば人生とはそういうものだ。だから本当に素晴らしい映画はハッピーエンドでもバッドエンドでもなく、静かな感動がいつまでも残るのだろう。
私の言葉で言うと「美」「過去」「永遠」といったテーマなのだが、それらのことは追って書いてみたい。
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