新海誠監督の作品
新海誠監督のの作品には、大きく分けると4つの系譜があると思う。
1 「恋愛」をモチーフに「喪失と再生」を描いた作品
「ほしのこえ」、「雲のむこう約束の場所」、「秒速5センチメートル」、「君の名は。」
・ほしのこえ
監督の思いをぶつけたデビュー作
・雲の向こう約束の場所
ほしのこえをベースに様々な要素を盛り込んだ初の大作
・秒速5センチメートル
これまでの作品をベースに一切の無駄を排除した最高傑作
・君の名は。
秒速をベースにハッピーエンドとキャラ立ちにより大衆向けに転換
2 「死」をモチーフに「喪失と再生」を描いた作品
「星を追う子ども」、「すずめの戸締り」
キーフレーズはラストシーンの「行ってきます!」
3 ?(どう表現すればいいのか考え中)
「天気の子」
4 映像と音楽の美しさに特化した作品
「言の葉の庭」
これは新海作品の中ではかなり異質に感じる。音楽と映像に特化して、ストーリーやキャラクターは後から組み立てた印象
新海監督の作品で、最も世間的に評価され実績があるのは恋愛における「喪失と再生」を描いた作品群だろう。私もこれらの作品が好きだ。このモチーフでさらに洗練され掘り下げた作品を見てみたい。ただ監督にとっては描きつくした感があるので、しばらくはお休みでいいと思う。
今、一番見てみたいのは、天気の子の系譜の作品だ。天気の子は不完全な面もあったと思うが、新海監督ならではの美しさと感動があった。
この映画をどう表現するのか難しい。「自分らしく生きる」、「個人と社会」、「自己犠牲」・・・。どれも違う。私が感動したのはそういう点ではない。新海監督の作品は全て純粋な「ジュブナイル映画」(少年少女の純粋さを描いた映画)なのだが、天気の子は特にそこに純粋にフォーカスした作品だ。他の作品は子供の姿をした大人という感じもあったが本作は違う。でもジュブナイル映画の一言でも片づけられない。この映画の美しさと不完全さを表現するにはもう一言必要だ。
この鉱脈にはまだまだ新海監督の才能を発揮できる可能性がありそうだ。
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