そもそも業務改善とは何か
ビジネスを進めていくうえで、個人でも組織でも、「業務改善」は必要不可欠です。
あたり前のように使っている「業務改善」とは何かを一度整理してみると良いと思います。
まず、業務とは何か。
それは、ひと、モノ、カネ、時間という資源を投入して、商品やサービスという価値に変換するための行為です。企業や個人は、この資源を駆使して、顧客が望んでいる、あるいは期待以上の商品やサービスをいかにして創り出すか、スケールさせていくか、ということに注力しています。
では、改善とは何か。
それは、現状の問題点を抽出して、対策を打ち出し、それを実行することです。実行前よりも良い状態を作り出すことです。
この2つの言葉が合わさって「業務改善」という言葉が使われています。
つまり業務改善とはこのように定義することができます。
KAIZENという考えが生まれたのは製造業ですから、業務改善を実施する上でも製造業が持つ考え方に自社ビジネスを置き換えることで、しっくりと来る業務改善に取り組むことができます。
その考え方というのは「QCD」です。
「QCD」は「Quality(品質)」「Cost(予算)」「Delivery(納期)」の略です。
製造業ではいずれのプロジェクトでも、最終的な「QCD」を満たすことが正義だと考えられています。
顧客が満足する、あるいは期待以上の品質を実現させること。
それを実現するための予算を計画通り執行し、顧客が望む納期で商品を届けます。
多くの製造業が「QCD」を重視する理由は、それぞれの要素は商品価値や企業価値、顧客満足度などブランドや事業価値を決定づけるあらゆる要素に直結しているからです。
そのため、製造業でなくても最終的に「QCD」を満たし、さらに向上させることをゴールとして業務改善に取り組むことで、より具体的で効果的な改善策を打ち出せるようになります。
業務改善の方法は大きく分けると「トップダウン式」と「ボトムアップ式」の2つに分けられます。
トップダウン式とは、経営者や上層部が業務改善へ積極的に取り組み、打ち出した対策を事業所ごと、部門ごと、個人に落とし込んでいくという方法です。
一方、ボトムアップ式は現場主体で取り組む業務改善であり、現場から挙げられた対策を経営者や上層部が検討し、有効性と妥当性を感じれば実施するという方法です。
トップダウン式もボトムアップ式も一長一短がある業務改善方法なので、どちらが優れているということはありません。
会社ごとの環境や業務改善の目的に応じて適切な方法を選んだり、適宜組み合わせたりします。
一番やってはいけないのが、現場を無視したトップダウン式や、本質を理解していないボトムアップ式です。
前述した「各人が毎月5つの業務改善案を出すように」と強制的に業務改善に取り組ませるのは間違ったボトムアップ式です。
一見、現場から業務改善案が検討されているように思えますが、実際は経営者や上層部の圧力からでしかなく、現場主体の業務改善に取り組めていません。
また、現場の意見をまったく取り入れない、あるいは業務改善の目的や目標などを組織全体で共有しないようなトップダウン式は、経営者や上層部の完全な独裁状態になり、現場はそれについていくことに疲弊します。
それでは、業務改善を進めるための具体的な手順を1つ紹介します。まずは、業務改善を「可視」「定量」「課題」「実践」「定着」という5つのステップに分けます。それぞれのステップでやるべきことを確実に行えば、本質的な業務改善を達成しやすくなります。
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