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備忘録 シンキングタイム

朝起きたら左耳に何か詰まっていて、飛行機に乗っているような、長いトンネルに入ったような、あの感じがした。
唾をどれだけ飲み込んでもなんか詰まっている感じ。

気持ち悪いな~
鼻水出てないし、風邪っぽい症状もないし、中耳炎ってこんな感じだったけ

お昼休みに、パートのママさんに相談する。
「今朝から耳、詰まってて、鼻出てるわけじゃないんですけど、中耳炎ですかね?」
「え~大丈夫?大人の中耳炎って、長引くとひどくなるし、熱出ることもあるから早めに病院行ったほうがいいわよ~」

妙な説得力に押されて、半休を取って近所の耳鼻科に行くことにした。
聴力が弱くなって3日後のことだった。

公衆電話くらいの大きさの防音室に入って、ヘッドフォンと太めのボールペンみたいな機械を渡される。
音が聴こえたらボタンを押してください、というやつ。
たまに健康診断でやるあの時よりも緊張感がすごい。
しかも、けっこう長いこと入っていた気がする。

ボタンに触れる指先は、やがて動かなくなった。
割と耳には自信あったのに、途中から音が全然聴こえなくなったのだ。

診断結果は突発性難聴だった。
「最近、ストレスがかかるようなことなかった?」
いや、思い当たる節ありすぎるんですけど。
同じ空間で自分の番を待っている小さな男の子とお母さんの前では、とてもじゃないけど言えません。
「とにかく、ストレスから離れて、よく体と心を休めてね」
先生は優しい。
薬をもらって、スーパーに寄って家に帰る。

難聴かぁ。と思いながら今日も2人分の夜ご飯を作る。
ストレス、人の携帯見るの好きじゃないもんな。
けっこう堪えてたんだ、と事態は深刻なのにそうなればなるほど他人事みたいに思えてくる。

ストレスから離れる、とはすなわち別居だ。
親にはなんて?
無理無理、言えるわけがない。

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