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3spoons vol.7 『ゆびきり』the 2nd spoon_3月クララ

文芸ユニットるるるるんによるツイッター400字小説 3spoons

savages

指切りを迫られた者は、「ゆーびきった」を回避するためにあらゆる手段を講じます。
呪詛を追加して歌を長くするのは、もっともよく使われるパターンです。
守るつもりのない約束でその場をしのぐため、「針千本飲〜ます」のフレーズが終わると同時に、「水車に括りつける」「キャリーバッグに押し込んで10km移動する」「一生餅しか食べられなくなる」などという約束不履行の刑罰を、ディーラーがトランプを切るスピードでパタパタと並べたて、結んだ小指を延々と揺らし続けるのです。
最近では一ヶ月を越えても指切られないケースが頻発しており、経済の停滞によって国益が損なわれていることが大きな社会問題になっています。
そんな局面を打破するために結成されたのが、私ども「ゆびきり団」というわけです。
私どもは、長引く「ゆびきりげんまん」を終了させるべく、指切りの介錯人を務めております。
歌の途中で刃物と刃物が擦れ合う音が聞こえたら、すみやかに「ゆびきりげんまん」を締めくくるのがよろしいでしょう。
さもなくば、しゅりーんという音とともにゆびきり団が出現し、「指、切ったぁあ!!」の掛け声を合図に強制執行が下され、あなたが指切りを交わせる残りの回数と指一本分の生産性を失うことになるからです。

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