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管理職に必要なこと② 組織での課題設定力(案件抽出とゴール設定)があり、それを実行しきる力がある。

今回の話の結論は
・既知とされている課題が本当かどうかを必ず現地とメンバーの声で確認すること
・比較的短期で実行できて成果がでる課題設定を1つ以上行うこと(結果的にメンバーからの信頼を獲得すること)
・バックキャスティングで会社のミッション/ビジョン/バリューを深く理解し、組織のミッション/ビジョン/バリューを策定すること
・会社のミッション/ビジョン/バリューを理解し、自組織のミッション/ビジョン/バリューを再定義し、自組織のミッション/ビジョン達成のために1人ひとりの目標を設定し、行動と実践を支援し、その経過任せながらも見続けること

組織課題の設定は管理職やリーダーにとって重要な業務の1つであることは間違いない。逆に言うと、これを見誤ると組織が評価されず、結果メンバー全員が評価されない。優秀なメンバーはどのような組織でもどのような環境でも自ら成果を残すことができるが、管理職はそうでないメンバーの成果も含めてどう創出するかこそが手腕といえる。
組織で取り組むべき課題は、たとえば前任がいた組織であれば、また自分がその組織で働いていたのであれば既にある程度明確化されていることが多い。そして最初にリーダーとして組織着任したときに自らこれが課題ではいか?という直感で感じた事は実はよく当たる。(と思っている)。

そのため管理職やリーダーがやることは、それまでに明確化されている課題、そして直感で感じた課題を実際に現場に足を運んで、またメンバーの話を聞いたうえで「これが課題の本質であること」の精度を上げていくことになる。
ちなみに、この現場に足を運ぶこと、またメンバーの話を聞く中で、1か月や3か月で成果がでそうな比較的簡単な課題を1つ抽出しておくことも大切な仕事。この小さな課題を解決することで、メンバーの信頼度は一気に高まる。逆にこれを実現しないと、メンバーから信頼を獲得する1つの手段を失ったことになることを肝に銘じておく。
これに加えて管理職やリーダーに求められることはバックキャスティング(back casting)での思考、そしてそこからの1年後や数年後のゴールを設定することである。ESG経営やSDGsが話題になり改めてこのバックキャスティングは注目されるようになった。昔は、足元から3年後の中期や10年後の長期を描いて中期経営計画や長期経営計画を策定することが一般的だった。私も担当時代にまさに中期経営計画や長期経営計画の策定に携わった。PEST分析やSWOT分析を行って、未来を予想しながら会社の未来を描く作業だ。しかしながら、未来を予想する作業はここ数年で大きくその不要論がでてきている。長期(10年スパン)の未来予想はほぼ意味をなさなくなってしまっている。では企業の未来はどう描くか。その指針となるのが今の言葉で話すならパーパス経営だ。
管理職、リーダーは会社のパーパスや、ミッション/ビジョン/バリューを改めて深く理解するとともに、自組織のパーパス、ミッション/ビジョン/バリューを見直し、そのミッション、ビジョンを再定義することが役割の1つになる。
足元の課題を見ながらも、組織のミッション/ビジョン/バリューを再構築する。課題設定だけでも管理職やリーダーがやることは盛りだくさんだ。
組織での課題設定力は上記のとおり設定していくことになるが、それ以上に大切なことは「実行しきる力」である。
どれだけ素晴らしい戦略を描き、課題設定をしたとしてもそれを「実行しきったかどうか」はそれ以上に重要だ。なぜならば、もしも実行しきっていないまま時が経ち、結果がでたときには、「戦略や課題設定が間違っていたのか?」それとも「実行しきれなかったのが原因か」がわからなくなってしまうからだ。やると決めた戦略、やると決めた課題には、管理職やリーダーがとことんこだわり、やりきる意思が評価のために最も必要なことといっても過言ではない。
この実行しきるを前提のもと「定めて戦略や抽出した課題」をいかに1人ひとりの仕事に割り振るかだと思う。会社のミッション/ビジョン/バリューを理解し、自組織のミッション/ビジョン/バリューを再定義し、自組織のミッション/ビジョン達成のために1人ひとりの目標を設定し、行動と実践を支援し、その経過を任せながらも見続けることが「組織として実行しきる力」なのだ。会社と1人ひとりの実行をつなげる役割こそ管理職の仕事といいきってもいいと思う。与えられた課題に対して120%で返すことは管理職の仕事であるが、1つひとつの課題解決はプロフェッショナルなメンバー1人ひとりの仕事でもある。こうすることでリーダーは組織としての成果を120%で返すことができる。
管理職やリーダーが真の信頼積み上げに必要なものは、まちがいなく、「実行しつづける力」「実践しつづける力」の積み上げだと思う。

「百万の経典(きょうてん)、日下の燈(とう)」

百万のお経を読んで知識をつめこんでも、実践しなければ太陽の下のロウソクの灯と同じという意味。実際にはだいそれたことをするのではなく、感謝やあいさつといった基本が大事という意味がこめられていると思う。

自分なりに管理職、リーダーの役割にあてはめるならば、どれだけ立派な戦略や戦術があっても、実行、実践しなければ意味がない。ということかと思う。課題設定に時間を割くのではなく、実行、実践にどれだけ向き合えるか、それを1人ひとりの仕事に結びつけられているかが大切なんだと思い起こさせてくれる。

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