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夜が待ちきれず昼間から乾杯する会社員のある日のランチのこと

まただ。オフィスのパソコンがフリーズしている。「パソコン 容量 減らす」これまでももう、何度目かの検索をしていた。何度目かの、検索上位の順番に試していく時間。その間、もちろん仕事の手は止まったままで。今日もう何度目かのため息が出た。連休前のこの時期は、少しでも早く目の前のタスクを終わらせたかったのに。そして安心したかった。仕事が山積みのまま休暇に入っても、なんとなくイヤな気持ちが残ったままで休みに集中できないことはわかっていた。画面上には「あと、15分です」の表示。観念して普段よりも2時間くらい、遅めのランチに出かけた。

「古田さんも今からランチですか?」

部署は違うけれど、よく声をかけてくれる先輩と同じエレベーターになった。ちょうど今からご飯に行くとのことで、せっかくなので一緒にランチに行くことに。この時間に空いていて、料理が早めに出てくる。そして初めてご飯に行く2人でも、行きやすいような。オシャレすぎず、ある程度ガヤガヤしてるようなお店。「今からだと中華か、うどんか、パスタか、定食とかですかね〜」

先輩がカレーの気分とのことで、ナンカレーが食べれるというお店に連れて行ってくれることになった。知らないお店。そろそろ飽きてきていた、最近のランチレパートリーが増えるかもしれないという嬉しさがあった。

そんなに遠くはないところにそのお店はあった。少し暗めのドアを開けると、見渡せる店内はランチ終了間際にも関わらず、半分くらいはお客さんが座っていた。味に期待が高まる。店員さんが、お水とおしぼりとメニューを持ってきてくれた。「ナン、オカワリ自由デスよ」

社会人になるまで、ナンカレーを食べずに生きてきていた。だからなのか、20代以降はよくナンカレーのお店を探すようになっていたのですごく嬉しかった。あ、ドリンクメニューにラッシーがある。マンゴーラッシーと普通のラッシーどっちにしよう。嬉しい悩み。本当はチーズナンが食べてみたかったけど、きっと量が多くて食べきれないだろうし、なんとなく大盛りな予感がした。

今回はプレーンというか、シンプルなナンにしてみることに。それからほうれん草カレーか、バターチキンかで迷った挙句まずは王道のバターチキンにしてみた。先輩は3種類くらカレーがついているランチを注文していた。「ノミモノは、ドウしますか?」「ラッシー2つお願いします」

「近くにこんなお店あったんですね〜」先輩も同僚の人に紹介してもらって来るようになったらしい。「ちょっと狭いけど、すっげえ美味しいから」次来たら何を頼もうかな?と考えつつ少しメニューをみていたら、すぐにサラダが運ばれてきた。実は熱が加わっていない、生の野菜があまり得意ではない。サラダを食べているときは、完全に栄養摂取。健康のため。割り切って食べている。かかっていたオレンジ色のドレッシングが美味しく感じて、普段よりはやく食べ終えることができた。

「「お疲れ様です」」おしぼりと一緒に運ばれてきたお水で乾杯し、気持ちをリセットする。先輩の部署は繁忙期のようで、最近は残業続きになることが多いらしい。「もう今日はイイやと思って、ランチにでたわけよ」働いていると、ついつい目の前のことにとらわれすぎてイヤになる。昼ごはんを食べ始めたばかりだけれど、夜にもう一度居酒屋で落ち合うことにした。すでにアルコールで乾杯が待ちきれない。


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