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「価値を上げる」=ブランディングって本当?

最近SNSを流し読みしていた時に「ブランディングは価値を上げること」といったタイトルの記事が目に留まりました。

「…ん?」

と、どこかに違和感を感じながらも後で読めばいいやとスルーをして結局その記事が見当たらないというよくあるパターンでモヤモヤしてます 笑

でのこの違和感、初めての感覚ではないんですね。
ブランディングについてお客様から相談をいただいてる時にも感じることがあります。それは、

「ブランディングで価値を上げていきたいんです」

というよく聞くフレーズ。
これニュアンスによっては間違っています。
ブランディングは端的に価値を「上げる」ものではありません。

そもそも価値ってなに?


goo辞書を引用すると

その事物がどのくらい役に立つかの度合い。値打ち。

とあります。
つまり「その人」にとって役に立つかの度合い、値打ちです。ここでいう「その人」とはブランド提供側からすればターゲットのことです。

そのターゲットにとってどれだけ値打ちがあるものなのかを追求した姿がブランド(商品・サービス)であるはずです。であるならばブランドを提供している時点でその価値は決まっているといえます。理想の形(誰にどんな価値を届けたいか)は明確であるはずだし、ここがぼんやりしているのであればそもそもビジネスとして成り立っていません。


ブランディングの役割

だとしたらブランディングの役割は何でしょうか?それは、

「価値を正しく伝える」

ことにあります。

ブランド提供側の考える理想の形(誰にどんな価値を届けたいか)を、可能な限りそのまま正確に伝える作業がブランディングであるべきです。そこに差異を生み出さないようにする作業といってもいいかもしれません。間違ってもそもそもの価値を越えた、実態とはかけ離れたものに「見せかける」ためにあってはならないと思います。それらは単なる詐欺です。

世の中にあるブランドの価値を正しく伝えるためにデザイナーやディレクター、コピーライターは存在しているのであって、その詐欺の片棒をかつぐためにクリエイティブを発揮するべきではありません。クリエイターによって作られたロゴやパッケージ、コピー、音、匂いに至るまでの様々な「識別記号」によって、顧客の頭の中にある「価値」を正しく結びつける作業がブランディングです。

そしてそのブランドの価値を正しく伝えるのはクリエイターだけの役割ではありません。顧客に対する従業員の態度が悪ければブランドが持つ本来の価値を大きく毀損してしまうでしょう。CX(カスタマーエクスペリエンス=顧客体験価値)の概念も必須になります。


価値を「正す」ブランディング

冒頭に「ブランディングで価値を上げていきたいんです」というフレーズがニュアンスによっては間違っていると書きました。

これは「顧客の頭の中にある価値」が「理想の姿」と異なっている場合はそこまで引き上げ正す必要があります。そういう意味での「価値を上げる」であれば問題ないのですが、ブランディングによって実態を越えて「よく見せる」というニュアンスで使われている場合は明らかに間違っています。何度も言いますがブランディングは

「本来あるべき価値を、正しい顧客に正しく伝える」

ためにあり、その為に行う活動すべてがブランディングなのです。

つまりブランド提供側は当然のことですがモラルをもってブランドを育てていかなくてはいけません。「見せかけ」のブランドはこのSNS時代、すぐに見破られてしまいます。口コミの良い効果もあればデマや炎上など負の面も多い時代ですが、図らずも「透明化」が進むことで「見せかけ」のブランドは成り立たなくなってきているので、窮屈ではありますがそういう面では良い時代なのかなと思います。


このようにブランディングを端的に「価値を上げること」と説明してしまうと勘違いしてしまう人も多くいるだろうなと思い記事を書いてみました。ブランディングへの理解の一助になれば幸いです。

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