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ミャクミャク「様」の広がりに見るネーミングによる認知の拡大と、新たな土着信仰の誕生に立ち会っているという感覚

大阪万博、公式からの愛称発表はミャクミャク

2025年日本国際博覧会協会は7月18日、大阪・関西万博の公式キャラクターの愛称を「ミャクミャク」に決定しました。

愛称の審査・選考は33197作品の中から選ばれました。ミャクミャクの愛称を付けた方は川勝未悠氏と、作田陽向氏の2名。

愛称のコンセプトは以下の通り。

川勝さん
今まで「脈々」と受け継がれてきた私たち人間のDNA、
知恵と技術、歴史や文化。変幻自在なキャラクターは更にあらゆる可能性をその身に宿して、私たち人間の素晴らしさをこれからも「脈々」と未来に受け継いでいってくれるはず。
そんな希望を込めて「脈々=ミャクミャク」と名付けました。
またミャク=脈であり、生命そのもの。
ミャクミャクという2音が続く様は、命が続いている音にも聞こえます。

作田さん
初めてキャラクターを見たとき、赤色と青色が動脈と静脈を連想させたため。
また、万博のテーマである、人類文明のつながりや、国際的なつながりを、「脈」という言葉で表せられると思ったため。

公益社団法人2025年日本国際博覧会協会 ホームページより

発表当初、「いのちの輝きくん」などの愛称で親しまれていたキャラクターにさらにしっくりときて多くの人に受け入れられるネーミングがなされたことで、その認知は一気に広まりました。
当時私もマッドサイエンティストの実験の結果生み出された悲しい生き物じゃん…などと感想を抱いていましたし、これ以上しっくりくる名前があるのだろうかと思っていたのですが、今回の愛称発表でそれを超える名前が発表されたことに驚きました。
「ミャクミャク」の名前を付けたお二人のコンセプトもしっかりとしており、納得のネーミングです。しっかりとしたコンセプトに基づきビジュアルと紐づいたネーミングは一気に認知を拡大させる力を持っていると思わせてくれる事例です。

この愛称は多くの人に受け入れられると共に新しい流れが生まれています。

ミャクミャク「様」と呼び、畏怖の対象として受け入れる日本人の多さ

公式からは「ミャクミャク」と発表されたにも関わらず、Twitter上では「ミャクミャク様」と呼ぶ人が相次ぎ、7月19日のTwitterの日本トレンドで1位になりました。
名前が発表された途端に、多くの人が各地に伝わる「ミャクミャク様」のストーリーを生み出し、怪異や信仰の対象としての物語が生まれています。
実際に信仰や土着信仰、民間伝承などはこのように何かをきっかけに生まれ長い時間をかけて人々の中で受け継がれ生まれるものなのでしょう。
現代社会のTwitterというコミュニティで民間伝承や土着信仰がものすごい勢いで育っている瞬間を目の当たりにしているようでとても面白いです。

私個人の感想ですが、ミャクミャク様の説明は人間を好む異形の神様のように受け止められます。私と同じような感想を抱いている人はTwitter上に大勢おり、日本人の根底に根付く信仰心や宗教観を強く物語っているような気がします。

名前が発表されただけで畏れ敬われている現状がとても面白く興味深いです。

『ミャクミャクは開幕前から自分のことを皆さんに知ってもらい、2025年に開催される大阪・関西万博で多くの人に会えることを夢見ています。』と公式の記述にあるのですが、もう十分すぎるほど知れ渡って親しまれている(?)と思います。

私がイメージした「ミャクミャク様」

ここからは完全に私の妄想の産物なのですが、私が「ミャクミャク様」に対して抱いたイメージは、寂れた村で昔から祀られ続ける土着信仰の対象となった湧き水地が始まりです。
人が好きで目が合った気に入った者を取り込み、取り込まれた者はミャクミャク様と同化しその目となる。人間からすれば怖ろしい怪異ですが、ミャクミャク様としては親愛の印であり、その気に入り取り込んだ者の住む地に恵みをもたらします。

信仰の呪文があり、唱えるものが増えることで力が増大。2025年の万博に先駆けて多くの人に知られる存在となったことで今後その呪文が広まりより強力な神となる。

最後の部分は完全に直近に見たNetflix映画「呪詛」の影響を受けています。

土着信仰や怪異の話が好きなので自分の中で物語が出来上がってしまったのですが、私と同じように独自の物語を思い描いた人がたくさんいるようなので、他の人がイメージする「ミャクミャク様」の物語も知りたいと思いました。

これから2025年の大阪万博までに、どのような存在として親しまれ続けるのかも楽しみなので、引き続き情報を追っていきたいです。

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