amiのシンボルは、挑戦者を表す「ファーストペンギン」
こんにちは。ユーザベースグループのFORCASとJVRのデザイナー、廣田です。
10月1日にリリースして、本格的に動き出した、起業家とサポーターがつながるライブアプリ「ami」。今回は、amiのデザインにまつわるお話です。
私がユーザベースに入社したのが2015年。かれこれ4年近くになりますが、こうやって新しいサービスが生まれ、そのデザインに関わることができるなんて、本当に幸せなことです。
今回のami。アプリのUIデザインもそうですが、ロゴやシンボル(アイコン)のような、サービスのイメージを大きく左右するようなブランディングも担当しました。
ここでは、amiのシンボルである「ペンギン」のロゴデザインについて、まだまだ記憶もホットなうちに記しておこうと思います。
エンジニアが教えてくれた「ファーストペンギン」
新サービスの名称がamiに決まった後、JVRメンバーとのとある飲みの席での出来事。確か、GW直前のことでした。そこで、JVRエンジニアの銭神(@kami_zh)から「ファーストペンギン」の話を聞きました。
ファーストペンギンとは...
集団で行動するペンギンの群れの中から、天敵がいるかもしれない海へ、魚を求めて最初に飛びこむ1羽のペンギンのこと。転じて、その“勇敢なペンギン”のように、リスクを恐れず初めてのことに挑戦するベンチャー精神の持ち主を、米国では敬意を込めて「ファーストペンギン」と呼びます。日本でも、NHKの朝の連続ドラマでそのエピソードが紹介され、広く一般に知られるようになりました。
(出典:https://jinjibu.jp/keyword/detl/773/)
そのときは、そこまで気に留めなかった話題だったんですが、じわじわと、じわじわと、ファーストペンギンの存在が私の中で大きな存在に。今思えば、GWの間中ずっとファーストペンギンのことを考えていました。
リスクを恐れず最初に飛び込む1羽のペンギン。きっとこんなイメージかな。
entrepenguinを提案するも...速攻却下
そんなこんなで、GW明けの定例MTGのとき、代表の佐久間に
amiも好きですが、entrepenguin(アントレペンギン)って名前も良くないですか?
なんて、(半分本気、半分冗談)で提案してみました。
(ユーザベースグループは、どんな提案でも、まずは聞いてくれるカルチャーがあります。笑)
JVRのもうひとつのサービス「entrepedia」と並べてみてもいい感じ♪
entrepediaはスタートアップのデータベース。
entrepenguinは起業家とサポータをつなぐサービス。
こんな感じで、MTG資料も作りました。
自分ではかなか良いと思ったんですが、速攻却下となりました。笑
そんなこんなで、私のアイディアは採用されませんでしたが、その後も、みんなの中で、何かっていうとアントレペンギンの話題が持ち上がってくる。。。なぁーんだ、みんな、結構、気に入ってくれてるだぁ、、、と嬉しくなったのを覚えています。
ファーストペンギンをシンボルに
そんな流れもあって、amiのシンボルを考える際、ペンギンをモチーフにするというのは自然に決まっていました。
しかし、ここで問題が。。。
デザイナーといえども、みんながみんな、絵を描くのが上手いというわけではないということ。私に限っていえば、ものすごーく下手です。イラストが苦手、絵を描くのが下手というコンプレックスが、デザイナーへの道を躊躇したことの一つです。
しかし、デザインを学んでみてわかったこと。
デザイナーとイラストレーターは別の職種。イラストが描けてもデザインができるわけではない。もちろん、絵も上手くてデザインもできれば、表現の幅はぐんと広がると思うので、そういうタイプのデザイナーは本当に羨ましいですけどね。
ですが、私は、自分は絵が描けないことを、誰よりも知っている。これって大事なこと。自分では価値が出せないなら、できる人にお願いする。そんなこんなで、ペンギンのアイコンは、迷わず外注することに決めました。
私は、作ってもらったペンギンを、どうやって活かしていくかに注力すればいい。
外部コンペでペンギン募集
そこで、デザインに特化したクラウドサービスを利用して、さまざまなペンギンを提案してもらいました。サービスを象徴する大事なペンギンなので、妥協することなく、世界中のトップデザイナーが集まるところで。
amiの名前に込めた想いやファーストペンギンの話に加えて、コンセプトとして伝えたのは...
一番大事にしたいこと
- スマホのアプリなので、スマホ上で他のアイコンと比較しても見劣りせず、覚えやすく、印象に残るようなアイコンを希望します。
- グループ会社のNewsPicksのシマウマのロゴは、とても良い例です。
- 色は一色のみ。
GOOD:打ち出したいイメージ
- シンプル
- 印象的、心に残る
- 覚えやすい
- アート
- 自然とついて行きたくなる身近なリーダー、人生を楽しんでいるリーダー
NG:避けたいイメージ
- 完璧なリーダー
- 孤高なリーダー像ではなく、ファンを大切にする、仲間に慕われるリーダー
- 攻撃的
良い案が集まるんだろうか、、、と少々不安もありましたが、蓋を開けてみれば、短期間の間に、本当にたくさんのペンギンを提案してもらえました。その数、なんと145個のペンギン。
細かくフィードバックすれば、すぐにそれを汲み取ったデザインを提案してくれるところもすごいところ。ただ、海外のデザイナーが多く参加しているサービスなので、英語のコミュニケーションには苦労しました。その部分は、基本的には自力でがんばりりつつも、細かなニュアンスをどう伝えれば良いかわからなかったときは、迷わず、英語ネイティブのエンジニアや海外経験豊富なセールスメンバーに頼っていました。笑
どこかモヤモヤが残る
しかし、なぜか、コンペが進んで、最終段階に来ても、なぜかモヤモヤするこの気持ち。
これがamiのペンギンなんだろうか?
...
コンペの優勝者を選ぶ段階に来ても、やっぱりモヤモヤするこの気持ち。
これがamiのペンギンなんだろうか?
...
優勝者を選んで、ペンギンのデータを納品してもらい、アプリ上に組み込んで検証する。この段階に来ても、やっぱりモヤモヤするこの気持ち。
これがamiのペンギンなんだろうか?
...
当時、こんな感じで、代表の佐久間(@trsakuma)と一緒に、出口の見えない会話を繰り返していました。
日本のアート「折り紙」という思いつき
そして、そのぐるぐるとした会話の中で、佐久間が、ふと、つぶやいたこと。
何かヒントを得ようと、2人でネットを巡回していたときに、たまたま見つけた折り紙で作られたペンギンの写真を見たときでした。
「折り紙」って日本のアートだよね?
折り紙でamiのペンギンを作ればいいんじゃない?
確かに、折り紙で折ったようなペンギンっていいかも。
amiの名前の由来「阿弥衆(あみしゅう)」は日本初のアートディレクター。日本のアートを代表するものはいろいろあるけど、折り紙はとても身近なモチーフだし、amiとの相性はとても良さそう。起業をもっと身近に感じてもらうことは、JVRの目指している世界とも一致する。
というわけで、クラウドサービスを利用して作ってもらったペンギンは、一旦、脇に置いておいて、「折り紙っぽいペンギン」を自分たちで追求してみることになりました。はい、、、この時点で既にコンペは終了しているので、佐久間と私で、それぞれラフ案を作ってみることに。
こちらの図案。先頭の3つが佐久間がKeynoteで描いたペンギンです。Keynoteでも、三角形や四角形を上手く組み合わせれば、ある程度のことができるんですね。
2段目以降が私が作ったペンギン。
先頭を切って海に飛び込もうとしている、飛び込む直前、翼を広げている様を真正面から捉えたペンギンです。折り紙っぽさを出すために、折り目正しい多角形で構成しました。
色の違い、線の太さの違い、多角形の形状の違いなどなど、どれもこれも、よーく見ると少しの違いがあります。これを、画面とにらめっこしながら、1人でモクモクと作っているときは、
ペンギンとしての形状は美しくてよさそうだな。
ですが、このペンギンがamiの世界を表現しきれているのか?は自信が持ててません。
そして、翌日、ドキドキしながら、これを佐久間に見せたときの反応は...。
たくさんあるペンギンの中から、線画(塗りのない)のペンギンを発見して...
・・・と、少し興奮気味に。笑
この佐久間の反応に、私自身も手応えを感じて、「よし!この線画のペンギンを、もっともっと追求していこう!」と決めたのでした。
方向性は決まったけど...
おおよその方向性は決まったものの、アプリのアイコンとして、このペンギンは成立するのか?
懸念点としては...
やや複雑すぎないか?
Webページやグッズなどへの展開のしやすさは?
ロゴタイプとの相性は?
などなど。
・・・ということで、引き続き、作っては検証の繰り返し。
単純化しようと線の量を減らすと、美しいペンギンは描ききれない。
線の太さも然り。細すぎると、「挑戦者」の強さは失われ、繊細な印象になる。
色も試行錯誤。
「ライブアプリ」「ファンとつながる」「挑戦する」というamiのキーワードを考えると、ほぼ直感的に、「熱い想い」を感じる「ピンク」が思い浮かびます。
どんなピンクかというと、イエローベースのサーモンピンクや、やさしいペールピンクではなく、ブルーベースでハッと目を引くようなピンク。色名でいうと、ショッキングピンクとかローズかな。
これが、私が最初に思いついたamiペンギンの色。このときは迷いもなく、ピンクしか考えていませんでした。
ですが、「ペンギン = 白と黒」という、誰しもペンギンと理解できる配色が良いんじゃないか、、、と迷い出します。ちなみに、手元のモックアップで、毎日のようにピンクを眺めていました。
まあ、迷ったら挑戦する道を選ぶのがユーザベースなので、白黒(実際には、浴衣のような黒に限りなく近い藍色)のアイコンを、開発版アプリに組み込んで数日使ってみました。
しかし、これがなかなかメンバーの評判がよろしくない。
みんな、口を揃えて、ピンクがいいと言い出しました。笑
少しロジカルに考えすぎて、黒のアイコンを実験しましたが、元の直感的選択のピンクに戻りました。
冷静と情熱。ピンクがいいと思った時の自分は情熱に動かされ、右脳でデザインしていたのかも。そして、黒を選んだ時の自分は冷静に、第三者視点、左脳でデザインしたのかもしれません。
ロゴをデザインするときって、この冷静と情熱の2つの視点と、そのバランスが大事だなあ、、、とつくづく思いました。
amiの場合は、少し情熱に傾いた方が「amiらしい」。ですが、それは冷静な視点を一度試したからこそ、認識できたこと。どちらの視点でも検証することでロゴに自信が持てるし、完成度が高まる。今回のamiのロゴデザインを通して、またいろんなことを学んだ気がします。
今思うと、FORCASのロゴは、「冷静」寄り。ロジカルに組み上げてデザインしたロゴだったかもね。
ピンクだっていろいろ
だんだんamiペンギンのデザインも完成に近づいてきました。
あとは、どんなピンクにするか。
つまり、アプリのアイコンの背景色にどんなピンクを使うか。
大きくは2つの方向性。
グラデーションのピンクと、ベタ塗りのピンク。
グラデーションの発展系?で、波をイメージした模様のピンクも試しました。
そして、候補を3色ぐらいに絞った後、amiの起業家向けSlackコミュニティで、みんなの「好き」なピンクを投票してもらったりしました。もちろん、amiメンバーも含めての投票です。
投票の結果は、#1と#3が同数。
#2のちょっと濃いめのピンクは 、挑戦者としての力強さというより、少し執着っぽさを感じるんではないか、、、という自分の中での仮説もあったので、これが外れたのは自分でも納得。
しばらく、残りの2つで悩みましたが、「日本のアート = 折り紙」というところに立ち戻り、グラデーションなしの一色ピンク#3に決めました。周囲の意見や反応はもちろん参考にさせてもらいますが、最後は、意志を持って、佐久間と一緒に決めたいとうことは事前に伝えてありました。
なので、#3にしたいと佐久間に伝えたきは、すんなり、受け入れてもらえました。感謝感謝。
隠れたメッセージ
さて、最後、蛇足的に、このペンギンに込めた一つの記号?メッセージ?をご紹介して締めくくりたいと思います。
スタートアップやベンチャーで連想するキーワードって、「急上昇」「急成長」というのが多いと思うんですよね。それを表す図案として、「ロケットの発射」を見かけることもよくあります。
ami.penguinにおいても、この「急上昇」や「急成長」という想いを込めたくて、線画のペンギンをデザインする際、隠れシンボルとして「上向きの矢印」を組み込んでいます。この「上向き矢印を入れる!」というルールを自分に課したことで、デザインはしんどくなりましたが。。。笑
ですが、こういう、自分しかわからないかもしれないシンボルを入れることで、このロゴデザインが、さらに自分事になり、愛おしく感じるようになりました。
冒頭にも書きましたが、amiはまだスタートしばかりのサービスです。少ないメンバーで、かつ動画のプロでもない私たちがライブアプリを作る理由。それはただ一つ。起業家とサポーターがつながる「場」や「機会」を作りたいから。
起業することがキャリアの一つの選択肢として、自己表現の手段として選ばれる世の中に。そして、挑戦がもっと身近になる世界を目指していきたいと思います。
このami.penguinを使ったamiグッズも、いろいろ作りました。これについては、また別の記事で紹介したいと思います。
おしまい。
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