哲学は死んだのか? 書評「14歳からの哲学入門」

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「哲学に興味があるけど、どこから手をつけたらいいかわからない」という方は、この本が哲学の入門書として最適の一冊となるはず。

本のタイトルに”14歳~”とあるのは、哲学とは古い常識を疑い、新しい価値を創造する学問であり、この”古い常識を疑う”という部分が、中学二年くらいの子供の屁理屈と近しいんじゃないか?という著者独自の視点から書かれているためである。

例)「先生の言うことを聞け!」「じゃあ先生が死ねっていったらしぬんですか~?」みたいなやつ。

本著は「神は死んだ」でおなじみのニーチェ(1844~1900)の紹介から始まり、そこからデカルト(1596~1650)、ヒューム(1711~1766)……、とどんどん現代に近づき、最後は「哲学の終焉」を唱えたボードリヤール(1929~2007)の紹介で終わる。

”人間は何らかのシステムが提供する範囲でしか「思考」「行動」「欲望」もできず、そのシステムを超えることもできない”と唱え、もうこの世は安定し、新しい価値観は生まれないと、哲学を終わらせたボードリヤール。

しかしあとがきでは著者から、新時代の哲学を考えるヒントが提示されている。

この本の初版は2015年なので、ヒントの提示から4年前経っているけれど、確かに著者が述べているように、新時代の価値は生まれつつあるような気がしている。

昨今、暗いニュースが多いけど、実は未来はそんなに暗くないかもしれない。
……と、14歳の頃のような将来の期待が胸に残る1冊だった。




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