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医ケア児母はどうして働く?【スタッフnote】

はじめまして。アドミニストレーション部のフクモトです。

ふだんはアドミ、いわゆるバックオフィス部門で労務人事まわりのお仕事をしています!入退社対応、勤怠管理、採用対応‥etc、日々HR系の実務を多岐に渡り担っています。

プリコグは働き方の希望がある人に合わせて多様な働き方を実現できるよう対応をしているため、日々労務担当として個人に寄り添った対応を心がけています。

実は私自身も医療的ケア(★)が必要な男の子を育てる一児の母です。週4日(週1出社/週3リモート)1日6時間15分の勤務で働いています。

介護の問題を抱えている人や、それこそ医療的ケア児の親たちは年齢的にはまさに働き盛り。最近は制度が出来てきたとは言え、それでも様々な現実問題から働くことを諦めないといけない、もしくは思い通りに働けないなどの現実にぶち当たることの方が多いです。

"働くことを諦めざるを得ない人"が、"働くことを諦めなくてもいいように"するため、何か私の体験がヒントになり、そして就業先を考える時の選択肢の一つとしてプリコグが存在できたらいいなという思いを込めてこのnoteを書いてみます。

★医療的ケアとは・・・医師や看護師が行う「医療行為」とは別で、自宅で家族等が日常的に行う、医療的生活援助行為のこと。息子の場合は胃ろうと気管切開の管理をしています。


保活砂漠に現れたプリコグ

いきなりですが、医療的ケア児の親の就業のハードルはとても高いです。

2021年に医療的ケア児支援法が施行、国や自治体のガイドラインも策定されて受け入れ可能な保育園や学校・その他預かり先が整備されてきました。しかし、自治体ごとに『こんなケアをしている子(やこんな子)は預かりできません』と書かれていたりすることもまた事実・・・・

我が家が暮らす自治体では息子のケア内容は預かり可能範囲だったため、幸いにも地域の保育園に入園することができました。でも預かり時間は看護師が常駐している時間に限るため、最大8:30〜17:00。

息子は後天性障がいなので、実はその前は人並みにワーママ生活の経験がありました。なので尚更現在の保育可能時間を提示された際、まず最初によぎった事は「この先両親どちらかのフルタイム就労はほぼ不可能なんだ‥え〜‥」という事。少なからずショックだし、どう働いたらいいの?という困惑がありました。

それでも入園できること自体は非常にありがたく、悲観していても何も進まないのでひとまず我が家では状況を総合的に勘案した時に、私が時短でフレキシブルに働く体制をとることに。続く仕事探しもこの先の生活が不透明、不安だったこともあり、雇用形態は就業条件をピンポイントで探すことができる派遣社員を選択。(※)

・1日6時間前後
・週4日勤務(息子の通院などのため)
・これまでの経験をいかせる職種
・リモート可

これらを条件にして求職活動をしていたところ、運よくプリコグに出会うことができました。プリコグは「医療的ケア児」というワードがスッと伝わるなど共通言語があること、福祉に関しての理解があること、などがとても心強くありがたく、求人を見つけた時は心の底から救われた〜〜〜という気持ちになったことを覚えています。

面談の時も色々と聞いてくださった覚えがあり、とてもありがたかったです。探していた条件をほとんど聞いてもらえる形で就業させてもらえることになりました。

(※)プリコグは派遣社員で入社後、現在は契約社員として就業中

保育園でおともだちと遊ぶ様子

うんぷてんぷ

ひらがなで書くとかわいらしいですね、運否天賦。でも保活を取り巻く環境はかわいさ0です。

入園が確定するまでに保育園、ソーシャルワーカーさん、役所など様々な方のご尽力やお心添えがありました。特に保育園は入園前から寄り添ってくれ、安心したことを覚えています。(とは言え役所には何度か親として物申しに行ったことはありましたネ)

しかし全体を通して振り返ると我が家が保育園に入園できたのは、
”たまたま”家から通える範囲に医ケア児受け入れOKの園があり、
”たまたま”自治体の入園条件をクリアできていて、
”たまたま”プリコグのようなフレキシブルかつ福祉に理解のある会社に出会い働くことができたから。

つまり結局は、”たまたまタイミングや運が良かったから働くことができた”から。

まさに運否天賦。体感としての現実はこれに尽きると今でも思います。

ただでさえ保育園探しに苦労する昨今、我が家の保活状況としても本当に入園できるかどうか、ギリギリまで50/50の確率。入れなかったらどうしよう、という思いが常に付き纏いました。そして在籍中の現在でも息子の状況に変化があれば在籍し続けることに課題が発生する場合があり、気持ち的には常に綱渡りです。

運や状況に左右されることなく、働きたいと望んだ人が何にも制限されることなく働くには制度整備は最初のほんの第一歩。その次のステップとして当事者(家族)がどうしたいか、どうしたら気持ちよく働けるかを関係者が一緒に考えることが次に繋がっていくと感じています。

いちアドミ担当者としては、今後雇用の観点で相手が本当は何を望んでいて、会社として何をどこまでできるのかを考えていけるといいのかな、と個人的には思っているところです。
常に相手の気持ちを考えていられたら、見えないハードルを少しは下げるお手伝いができると思っています。

週末はインクルーシブ公園を探してよくお出かけします

地域で暮らす、とは?

現在我が家が利用している社会資源は多岐に渡ります。

保育園、児童発達支援(児発)、訪問看護ステーション×2ヶ所、訪問リハビリ、訪問薬局、往診医、往診歯科医、病院、・・・etc

日常的にお世話になっているだけでもこれだけ。羅列してみてあまりの多さに自分でもびっくりです!笑

その他にも見えないところで多くの方に関わっていただく日々。これらの利用日程を調整したり、福祉利用なので書類記入や役所申請が伴うことも。それだけ家事育児仕事の傍らでやることが多く、もちろん夫と分担しているとはいえ何かが並行して進むと本気で訳がわからなくなり「もう何もやりたくない!!」モードになることは結構あります。

そして正直、記載している社会資源の中で絶対に利用しなければいけないものは何一つありません。どこにもお願いせず、家族だけで暮らしていくことは不可能ではないです。

それでも制度を利用したり各所のお世話になることを選んだのは、地域のソーシャルワーカーさんが仰ったことが印象的だったから。

「お母さんたちが全部やっても良いけれど、支援先とのコミュニケーションや連携を今から取ることで、仮にこの先(息子)くんが1人になっても暮らしていける社会にしていくことが大切」

という言葉は、保活に苦労して社会からの断絶を感じそうになっていた時にはかなり救われました。

そして親としても「地域社会で多くの人と関わって、たくさんの経験や刺激を得てほしい」という想いがあります。

日頃お世話になっている訪問看護や保育園、児発等などの支援者にもその考えが強く根付いているので、息子のことは地域で育ててもらっているような気持ちになります。

そしてたくさんの方のおかげで、息子の心配事から他愛のない話まで(時には愚痴や推しの話まで!)日常的なコミュニケーションを密にとることで、家族自身も孤独にならず外に意識を向けることができています。

本当にあたたかい人たちばかりで周りに恵まれているな、と感謝してもしきれない日々です。

訪問リハビリ中の一コマ!飼い猫も表情チェックのお手伝い(?)
児発のお散歩でゲーセン。足よ。

まとめ

医療的ケア児と暮らしながらどのような紆余曲折があり、今はどんなふうに就業しているかを簡単に書いてみました。

本当は息子の生い立ちや保育園以外の利用先、1日のスケジュールなんかも書けたらよかったのですが、思った以上に想いが溢れ長くなりそうで‥あくまで今回は医ケア児母がどんな風にプリコグで働いているか一端のご紹介に留めました。笑

"働くことを諦めなくてもいいように"。

冒頭に大きなテーマを掲げてしまったので、まとめ・・・どうしようかな、と思ったのですがここまで書いてみて思ったことが1つ。結局は何事も"相手に対して興味を持つこと"から変わっていくのではないかということ。普遍的な考えですが、知らないことはやはり怖かったりどうしていいかわからない。

余談ですが私自身も息子が退院するためには家で医療的ケア≒医療行為をしなくてはならないとなり、手技を練習しました。はじめは『怖!私ってば素人だけど本当に大丈夫?!』と毎回大汗をかきながら看護師さんに習っていました。

でもわかったらどうしてこうなっていて、ではどうしたらいいかを一緒に考えられる。答えが出しづらい問題・・・例えば社会も、会社のしくみも、障がいへの考え方も、介護も、育児も、結局は全て"興味を持つこと"から変化していくのだと思います。

無関心の反対は愛。

誰に対しても、相手への関心とリスペクトを持って一緒に考えることができたら自分が接している世界を少し変えられるかもしれないな、と思ったのでした。

最後に

働き方の面で少しでもプリコグに興味を持ってくださった方へ。

プリコグは社員/アルバイト関わらず、子育て中の方やご自身も創作活動中の方などさまざまな人が働いています。代表の中村自身も子育てをしながら日々精力的に活動中。

私も時には息子の体調が芳しくない時には週1休みの定休日をズラしたり、出社の日は保育園のお迎えに間に合わせるために退勤時間を調整させてもらったりしています。決して特別扱いではないけれど、困っていることに対してとてもフレキシブルに対応してくれる環境にとても助けられています。

もし柔軟に働く方法を探している方がいらっしゃれば当社ホームページ内にリクルートページがあります!

基本的には中途採用が中心になりますが、ポジションや適性などによってはご一緒するための相談などからお問合せ可能です。直接のお問合せもOK!ぜひお気軽にご連絡ください。

メールアドレス:recruit@precog-jp.net

最後までお付き合いいただきありがとうございました。


文:福本さくら(アドミニストレーション部)


株式会社precog(プリコグ)は、芸術祭、映画祭、演劇・ダンス公演、スクール事業など、舞台芸術をはじめとする、さまざまなアートプロジェクトの企画・運営を手がける制作会社です。近年では、アートと福祉の取り組みにも力を入れ、芸術に関する新たな事業の開発にも取り組んでいます。

【スタッフnote】では、プリコグスタッフの日常や、仕事を通して得た新たな気付きや知見の数々、プロジェクトにかける想いなどをお届けしていきます。


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