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ニンニクを鶏に与えるとどうなるんだ!!


ニンニクといえば、料理に多用する。

ニンニクはサプリメントとしても販売されているくらい、健康に対する効果はよいイメージをもっているのではないだろうか?

https://my-best.com/5367


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畜産においても日本ガーリック株式会社という会社もあったりする。
(オーダーメイドプレミックスも作っているので、ペレット加工・顆粒加工に強そうなイメージがあるので、混ぜ屋でもあり、牛などの方が強いメーカーなのかもしれない(私は現場でお会いしたことはないの))

混ぜ屋としても原料として希望をいただく事もあるので、
取り扱うことも多くある原料だ。

そんな中でガーリックをニワトリに与えるのに、どれくらいあげたらいいのかという質問をもらったので、いろいろ調べてみた。



①和歌山県養鶏研究所

対象:採卵鶏
給与期間:中雛期
(29日~70日齢と推定)
給与したもの:ニンニク粉末
(状態不明)
添加率:0.1%添加及び0.5%添加

結果
・対照区よりも0.1%添加したことで、飼料消費量が増えた。
(0.5%添加でも対照区よりは増えたが、0.1%添加よりは下がった)
・ヘンディ産卵率が上昇した。
(生存した鶏の1羽あたりの産卵率)
・飼料要求率が改善した。
(値が少なければ、それだけの餌で卵を生産できた)
なお、卵殻厚・卵殻破壊強度・ハウユニットについては変化なし

見解
ニンニク粉末を添加することで、飼料消費量は0.1%で十分に増えたものの、それに伴って、鶏が死ななかったことから生産成績も改善した。
(コストとして有意であるかは不明)

pref.wakayama.lg.jp/prefg/070100/070109/seika/seikasen14/seikasen14_d/fil/h140211.pdf


和歌山県養鶏研究所
育成飼料へのニンニク粉末の添加が採卵鶏の産卵性能に及ぼす影響について



②佐賀県畜産試験場

対象:採卵鶏
給与期間:成鶏飼料
(産卵成績としての記録は、337~448日齢)
給与したもの:生ニンニクから抽出したニンニクオイルを配合した混合飼料
(ニンニクとしての量についてなどは不明)
添加率:0.2%添加

結果
・自然免疫機能が改善した。
(単球・マクロファージが異物に対して放出する一酸化窒素の産生量多い)
・獲得免疫機能が向上した。
(抗原刺激による反応が強く出た)

見解
鶏自身の健康に寄与し、自然免疫や獲得免疫について向上した。
産卵成績に差は認められないとした。



③岐阜県畜産研究所

対象:採卵鶏
給与期間:成鶏飼料
(252日齢から280日齢の4週間)
給与したもの:ニンニク葉乾燥粉末
(ニンニク茎葉を減圧乾燥後、粉末化したもの)
添加率:1%添加
なお、飼料用米を22.5%を完配飼料と置き換えを行った。

結果
・産卵率・飼料摂取量・産卵日量・飼料要求率及び、増体重において悪化
(3週間から4週間にかけて産卵率が改善したことから、餌に慣れるまで時間を要したものと思われる)
・卵質成績としては、ハウユニットは向上
 しかし、黄身の色として、赤色が減少し、黄色が向上した。

見解
食味アンケートとして、「強いニンニク臭がある」「苦みがある」ということであった。
また、添加量が多すぎる事が原因での産卵成績が劣っていた。
(さすがに、1.0%添加(10㎏/t)は間違いなく入れすぎだと思う)

https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2030811394.pdf


岐阜県畜産研究所
飼料用米給与とニンニク生産における未利用部分粉末添加による採卵鶏への影響



④香川県畜産試験場

対象:肉用鶏(ブロイラー)
給与期間:4週齢(30日齢)~8週齢
(おそらく育成~仕上げ飼料)
給与したもの:ガーリック粉末(商品名:ガーリックコース)
(乾燥ニンニク100%を粉砕したもの)
添加率:1%

結果
・試験区では、1羽当りの増体重は高く、飼料摂取量は低い傾向で、飼料要求率が改善され、増体性及び飼料利用性の向上がみられた。
・雌雄に関わらず、試験区の方が、と体成績も向上した。
・この試験ではコストの上昇もある程度抑えられたとのこと。

見解
ガーリック粉末1%の飼料添加において、成績が悪化しなかった。
また、と体成績と肉質についても向上し、腹腔内脂肪率は低下した。

https://www.pref.kagawa.lg.jp/documents/12654/12torigariku.pdf


香川県畜産試験場
ガーリック粉末がブロイラーの産肉性及び肉質に及ぼす影響



⑤青森県産業技術センター 畜産研究所

対象:肉用鶏(青森シャモロック雄)
給与期間:2002年10月10日(17週齢)~2002年11月7日(21週齢)
給与したもの:富士産業株式会社 畜産用混合飼料フジガーリック
添加率:0.3%添加

https://www.fuji-sangyo.co.jp/corporate/garlic.html


富士産業株式会社 畜産用混合飼料 フジガーリックA
(ニンニク粉末にビタミンB1を添加した製品)

結果
・添加区において、体重・飼料摂取量・腹腔内脂肪率が向上した。
・胸肉ともも肉の肉色が赤の色相が強くなった。
・ビタミンB1の含量が増加した。
・肉の締まり、加熱時の肉汁の滲出が少なくなり、クッキングロスが減る。

見解
報告において、「肉用鶏の発育および飼料の利用性に影響なく、特産の副産物を利用した高品質鶏肉生産の可能性が期待される」とのこと。
肉質変化についてのデータを見る限りは有意差というほどはない。
試験においては、1試験区あたり4羽で2回実施していることから、生産成績としては高いだろうという感覚。
ビタミンB1の含量は増加しているものの、給与しているガーリック製品にもビタミンB1を混合した製品であることから、単純にニンニク粉末でビタミンB1含量が向上するとは言い切れないと思う。

https://www.pref.aomori.lg.jp/soshiki/nourin/nosui/files/H17-9.pdf



まとめ

添加率の幅が、0.1%から1%と幅が広く、使っているガーリックについてもそれぞれ異なるので、何とも言えない。
0.1%から0.3%、0.5%などという場合であれば、まだわかる。
しかしながら、1%というのは、もはや飼料原料レベルとでもいうべき量。

人間においても、ある程度の量であれば問題ないが、食べ過ぎでしまえばテレビの話題にもなる程度には、体調不良になる可能性は否定できない。


noteでニンニクについて、記事を書いておられる方もいる。


正直なところ、「ニンニクをどれだけ鶏に与えればいいのかわからない」
けれども0.1%から0.3%くらいなら、コストとしてメリットがあると考えられる。
ニンニクを適量与えるのであれば、悪くないと思うが、混ぜ屋で混ぜるほどの少量での給与ではないと思うので、ガーリック粉末をそのまま飼料に混ぜた方がいいだろう。

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