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女性のためのヨガの教科書28

パートナーと自分


恋人や結婚相手をパートナーと呼ぶ傾向が高まったのは近年のことでしょうか。

パートナーはもちろん男女の関係のみならず、
同姓同士のカップル、ビジネスパートナー、
一緒に暮らしている猫や犬もパートナーになり得る幅広い言葉です。

パート=断片 な訳だから、
二人で一つとかそういう感覚、対等とか、お互い尊敬し合っているとか?

パートナーって緊張感のある恋愛のその先の関係、って感じ。
私は結構早くに子供を持ってしまったから、
母親の役割を占める自分の中の責任感が最優先事項になって、そこを誰かと共有する気になれなかった。

本当はリラックスしあえる相手だと思うんですよ。
だから一緒に戦えるというか。

でもそのパートナー同士でまず戦いが生じるのも人の性。

セックスをしてもしなくても、
触れ合った時に安心できて、
愛情ホルモンと呼ばれるオキシトシンが分泌されるような関係は、
一朝一夕ではなかなか作られるものではないと思うし、
現代において死にそうになったところを助けられたとか、
偶然何度も出会ってどこか通信のないようなところに閉じ込められるとか、運命を感じるようなドラマティックなシチュエーションはそうそう起きない。

ただ、恋愛やセックスに、
そういう安心感よりも緊張感があった方がセクシーという価値観でさまざまな恋愛マーケティングは成り立っている。

戦後の国民統制計画として、「3S=Sports(スポーツ中継)、Screen(TV、映画)、Sex(色恋ごと)」は有名な話。
民衆の関心を政治に向けさせないためのGHQの政策らしいですが、現代は、整理、整頓、清掃の3つで3Sなんだとか。

スポーツに関心がなくても、映画やTV(や動画配信など)を見る時間がなくても、
恋愛は自分の人生になくてはならず、ないと幸せになれない、との刷り込みは10代、20代30代、40代くらいまではずっと本人の生き方を時に苦しめ、時に悩ませ、時に落ち込ませ、そしてその感情がまたうまくマーケティングに利用されている。

皆がそれほど恋愛に意識を取られれてしまうのは、
緊張感=ときめき、との脳の錯覚の構図が成り立つからであるし、基本的には本能でもある。
男性は特に視覚で興奮する生き物であって、
その興奮が男性ホルモンのテストステロンの分泌を活発化させるから、安心感のある相手とセックスに至らない、のは身体の仕組みだったりする。
ただ女性は興奮されるより、まず先に安心感を築きたいと願うもの。
なんでも話せて、自分のコンプレックスも気にしないで良くなるような関係性を理想としている。

セックスの力学的にも、
それをした後の妊娠出産子育ても、
女性が思うように動けない不利な立場になるわけだから、
そこは安全を見極めた選択が第一になるかな。

「優しい人が好き」というのは自分を受け入れてもらうことが関係性のベースだからね。

結局パートナーとの触れ合いって、
時を経ていくと、
お互いの健康チェックだったりも兼ねていて、
自分の気付けない異常にパートナーが気づいてくれたり、
そういう裸で関わる相手がいるから健康でいようと努力するみたいな、
基本的には隠すものである自分の裸を曝け出せる相手がいることといないのでは、
美容意識も含めて生涯健康寿命にも大きく関わるそうです。

世界一セックスレス家庭が多いと言われる日本に於いて、
高齢になっても触れ合っている夫婦の割合ってどのくらいなんだろうか?
セックスレス夫婦は2022年で約5割だそうで、
これは挿入以外での触れ合いも含むのだそう。

仲の良い関係性は、男女に関わらず、
スキンシップが自然と行われる。
人間って、すごく嫌いなものに対して触れることが一番難しいんですって。

先ほども記したように、触れることによって発生するオキシトシンは、
もちろんマッサージやヨガの対面クラスでのアジャストなどでも発生します。

これは結構何人もの男性ヨガインストラクターが言っていたのだけれど、
性的に欲求不満の解消にヨガをする人が実は意外と多いよねという話、
そしてそういう方々は潜在的に「触って触って、私を気持ち良くして」
というエネルギーが凄すぎて怖いとも、
むしろそこを掴めば離れないみたいな、
ホストみたいなことを言う輩もいましたね。

女性同士であっても意外と隠れた性的なニーズは多いですよ。

セクシュアルな感覚って、
すでに幼児の中にも芽生えているもので、
性的感性の高い子って男女どちらにもいますよね。
これだけSEXの情報が溢れている日本だから、
今よりもっとしっかりとした性教育は割と早い段階から必要なのかなと思いますが、
先に自分の身体や心のことを知らないとね。
自分とのパートナーシップの構築が出来ていなければ、
他の周りとの既にある関係の焼き直しを繰り返して
DVを繰り返す父から逃れて付き合った相手にもまたDVをされる、
なんて話はよくあること。

パートナーシップの落とし穴は、
自分の安心感と興奮に対して、
それが良いものであってもあまりよくないものであっても、
依存的になってしまうことです。
そうすると本当の感情との間にギャップが生じ、
それを相手に埋めさせようとしてストレスや喧嘩、争いに発展するという点ですね。
または、その関係の許容量の中でしか生きられなくなること。

ヨガをすることで身体が健康的になり、
以前よりセックスそのものを楽しめるようになったという話は多いです。
逆に制欲が抑制されたという話もまた然りです。
身体が求めるものって、
刺激なのか安心感なのか、
興奮なのかリラックスなのか、
それぞれその時々によって違いますし、
その選択を誤ると健康にも人間関係や仕事などの社会活動的にも悪影響になりかねません。

セックスに求めるものとしてもそうですし、
ヨガに求めるものも同じです。

一時なら刺激や興奮は自分自身が本当に快楽を感じられる世界を垣間見せてくれる扉になるでしょう。
でもそこはドラッグと同じで、
一瞬見てそこの空気を一回大きく吸い込んで、
そしてパタンと扉を閉めて余韻で微笑む、
くらいの嗜み方でないと、人生破滅していきますし、
自分そのものがどんどん弱くなっていくものです。

興奮快楽物質の代表であるエンドルフィンって、実は人間が死ぬ間際に最大に分泌される脳内麻薬です。

エンドルフィンは、
神経が痛みを感じた際にもますし、ランナーズハイのように、自分を追い込んでいる時、褒められたり、恋愛感情でときめいたりする時、脂肪分の高いもの、チョコレートやチーズを食べた時にも同じように脳内でエンドルフィンが作られる。

ただ健康に生きていくためには、脳内でより腸内で多く作られるらしいセロトニンの分泌を意識した方が良く、これは睡眠の質を向上させたり、精神を安定させて幸福感を得やすくする働きが、長期的に大切だからです。


ですので、ヨガの八枝則の中のアパリグラハ(不貪)を意識できるかどうか、私は結構人としてそこを見ております。

人間誰だって心地よいこと、楽しいこと、ワクワクすること、嬉しいこと、みんな大好きだし、されたらもっともっととなりますよね。
そうそう、道端で犬や猫を撫でてあげて、その犬や猫が急にお腹を出してひっくり返ってもっともっととしてくる感じ。
申し訳ないけど私はそこで心を開いてくれたとは思わず、
動物だなって思います。

子供もね。
ふざけて楽しいことをすると、
もっともっとって10回でも100回でも要求してきますよね。
そこに応えるのは2~3回で良いんじゃない?
私は「今度はもっと自分で楽しいこと考えたら」って言いますし、それが教育ですし。
でも、言わなくても「じゃあ今度はこうしよう」とか、
「今度は自分が楽しませる側になるね」などと言ってくる子供が稀にいます。
そう言う子は将来絶対伸びますね。
クリエイティビティがあるからね。
そういうタイプの子にはいろいろやってあげたり教えてあげたりしたくなるし、教えてもらえることが自然と増えるから伸びていく。
大人も同じですね。
こういう風に楽しませるんですよ、
こういう喜ばせ方があるんですよ、
こういう心地良い方法があるんですよ、
そういうアイディアを見せてくれている相手に対して、
自分はそれを享受する、貰うだけというは発想は完全にただの消費者です。

損得勘定以外に関わる意味がない。

ね、そういう関係性のパートナーシップを抱えたまま死ぬまで生きるの辛くないですか?

パートナーってお互いが認め合えるようなクリエイティビティを持ち合った関係性のことではないでしょうか?

一方がいつも「高い高い」をして相手を喜ばせて、
見返りにセックスをしたり、甘えさせたりして、
そのあげたあげないを引き合う関係ではなくて、
お互い楽しいことをクリエイティブに考え合って、
どうやったらお互いがもっと心地良くなるかを共有する間柄が長く続く縁となります。

ヨガがパートナーシップを考える上でとても良いのは、
まず自分がどういうことに対してどんな感情や反応を持つのかが明確にわかるから。

だから承認欲求を満たすために、何かが出来るとか見た目がどうとかって目的設定するのもまた今のヨガの在り方の一つなのかもしれませんが、内観して、基本の呼吸や姿勢というところに意識を研ぎ澄まして、
周りから何か「ホンモノ」を貰おう、受け取ろうとするのではなく、
自分の中の「ホンモノ」を感じて引き出して頂ければ幸いです。

パートナーシップに皆が求めていることって「ホンモノ」かどうかでしょう?
それを「愛」と言ったりもする。

愛は素晴らしい。
愛は素晴らしいものだけど、
発生源が自分でないと、
如何なるパートナーシップも結局は、
自分が幼いときに「高い高い」をして貰った記憶をリピートしているに過ぎないのかもしれません。

なんて私は思っていて、
世間一般のパートナーシップ自体があまり得意ではないのですが、
世間一般のパートシップを超えた感覚を持ち合うパートナーと、
50を超えた今、もっとしっかり向き合っていこうかなと思っておる次第です。

次回は「自立」

ヨガインストラクター歴は18年。既に成人した息子をシングルマザーとして育ててきた経験から、ヨガを軸に、女性の生き方、医療でカバーできない健康のこと、などを発信していきます。