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最近の記事

撮影者は歌う|竹久直樹

共有不可能な経験を共有するための拡張子。 「写真とは何か?」なのか? ――以前、竹久さんと話したとき、2010年代あたりから生まれた写真の流れにたいして、ちゃんと写っている/写っていないという観点から話してましたよね。それが面白くてもう少し聞いてみたいな、と。 酒井さんがおっしゃっているのは、例えば 港千尋さんと後藤繁雄さんの共同キュレーションの展覧会で扱われていたような流れですよね。自分はもろにそういうものを見て育ってきた世代です。大学入学くらいのタイミングでCha

    • 充満する光|遠藤文香

      光で満たされた自己と他者の新たな親密圏。   自然に触れる瞬間が救いだった。 ――個展“The belief in Spiritual Beings”(2022年9月開催)(*1)について聞かせてください。石や山肌の写真が中心で、色彩だったり質感だったりが前面に出ていると感じました。これまでの動物や自然の風景とは別の関心に移ったのかなと感じたのですが、どうですか? 前作《Kamuy Mosir》(*2)では動物や自然のシリーズをつくっていたのですが、そこまで意識は変わ

      • ここかどこかで会えたら|濵本奏

        廃墟での即興的な展示で「ここ」と「どこか」が重なる時空間を現前させる写真家の「いつか出会う」という希望。 夜の海と逢魔時の光。幽霊的な曖昧さ。 ――1冊目の写真集『midday ghost』は、いつ頃撮ったものをまとめているんですか?セレクトには明確な基準があって、濵本さんが何に目を向けているのかが端的に示されているシリーズになっていると思いました。 2016年くらいからなので、本当に全部から選んでいて、撮りはじめて1本目のフィルムの写真も入ってます。異常な枚数を毎日

        • デフォルトで削除|Jon Uriarte “Delete By Default”

          元記事:Jon Uriarte “Delete By Default” Unthinking Photography 資本主義後期の影響を受けながら、生きて抵抗するためには、批判的な想像力を必要とする。 気候変動や相次ぐ経済危機、戦争や困窮の時代において、哲学者のマリナ・ガルセスは、それらの本当の意味合いと、そこから派生する物語をどのように切り分けることができるのかを問いかける。現状が成り行きのまま不可避の未来となる時、そこには遵守するか否定するか、ユートピアかディスト

        撮影者は歌う|竹久直樹

          写真はただの道具なんだもの|宇田川直寛

          写真への信仰、正しさに疑問を持ち続ける宇田川直寛が発見した、芸術と日常の間にある「空白」について。 * 写真というものを指す内容が、空白だと思って。普段使う「写真」と、作家や評論家が使う「写真」と、言葉の意味がかなり違うな、という。 ーー以前僕から「写真について書いた文章ってあるんですか?」と宇田川さんに聞いたことが、自分のなかにある写真論について考えるきっかけになったと言ってましたよね。そこまで深い意図があって投げかけた質問ではなかったのですが、責任を感じたというか

          写真はただの道具なんだもの|宇田川直寛

          写真のリアル |Tristan Garcia "The Photographic Real"

          元記事:Tristan Garcia "The Photographic Real" Glass Bead 写真の存在論1850年代以来、写真はわれわれの表象における現実の主要な供給者となった。個人的な記憶、あるいは、視覚芸術、宇宙論、顕微鏡、医学、アイデンティティ管理、エロティシズムとポルノグラフィー、戦争報道、歴史の再構築、法的証言、そして広告。これらすべては、写真という産物にたいして存在論的な信頼を置く自然主義的な態度(*1)によって発展し、表象を操るさまざまな分野に

          写真のリアル |Tristan Garcia "The Photographic Real"

          『セルフィー』のセルフィー|制作の背景について

          前提にしているのは、誰もが写真を撮っているという現代の状況です。スマホを持っていれば、まったく撮らないというのはありえないんじゃないでしょうか。回数、頻度ともにこれまでになく撮っています。フォルダには、無数の思い出やメモとしての写真があふれているはず。なんなら自分の意思とは関係なく撮らされてもいます。例えば、オンライン上で登録を行う際、身分証明として免許証やパスポートを撮影し、送信させられる。それは誰もがカメラを持ち、いつでも撮影できることがあたりまえとされているからこそ可能

          『セルフィー』のセルフィー|制作の背景について