雑談が「超絶苦手」なフリーランス、集まれ!元芸人さんに聞いた!思考が180度変わる雑談力の磨き方
こんにちは。
「梅ガム」が異常に大好きな、すだです。
私はライティングや企業広報のお仕事をしながら、イベントの企画・司会などもしています。
先日、下記テーマのオンラインイベントを開催しました。
フリーランスを始めとするビジネスパーソンのみなさん、こんなことはないでしょうか?
・打ち合わせ中、ちょっと間があいたけど何を話そうか、迷ってしまう
・クライアントと世間話をするけれど、すぐに会話が終わってしまう
・「最近どうですか?」と聞かれ、何を話せばいいか戸惑う
・気の利いたことをいわなければ、と焦ってしまう
こんなシュチュエーション、意外と多いように思います。
・楽に雑談したい
・仕事のやり取りだけじゃなく、雑談も楽しみながら、居心地の良い関係性を築きたい
そんなお悩みを持つ方のために企画したイベントのレポートをまとめました!ごらんください!
イベントゲストの「しばぴーさん」とは?
1986年兵庫県出身。2007年に芸人になり、キングオブコント2009、2011で準決勝進出。その後、2018年より作家に転身。
SNSでネタ作成依頼を募集すると依頼が殺到し、現在までに300組以上の芸人のネタを作成。ネタ会議を行った主な芸人には賞レースのファイナリスト、おもしろ荘出演者等も含まれる。
2019年より、イジメや人間関係の悩みを持つ人に「お笑いの技術を伝えたら救えるのではないか?」という考えから、芸人の技術を言語化して伝える『笑わせ学』を開講。講義やイベントの実施から始まり、現在ではYouTubeやTIKTOKでも幅広い層に芸人の技術を伝える活動をしている。
そもそも「雑談力」って必要ですか?
――しばぴーさん、いきなり問いかけます。そもそも「雑談力」って必要ですか?
必要やと思います。僕の場合、ネタ作家という仕事をしていて、芸人さんから依頼が来て、ファミレスで初めて対面して、僕がネタを提案するんですが、その前の雑談でどれだけ盛り上がったかで「ネタをどれだけおもしろく感じるか」が変わってくるんです。
――雑談のある・なしはそこまで関係してきますか……?
関係しますね。初対面でいきなり僕がネタの説明から入っても、話の内容をしっかり受け取れない状態になっていることがあります。打ち解けてリラックスした状態で「仕事の話しましょう」という流れにしたほうが「なるほど、いいですね」「こういうのはどうですか?」とフランクに話しやすくなる。これはどんな仕事でも一緒なのかなって思います。
――いきなり仕事の話をするより、雑談で打ち解ければ互いの人となりが分かって話しやすくなるみたいな。
雑談である程度、自分の人柄をわかってもらったり、相手の反応や人柄をみていないと、自分が発言する際に少し躊躇とかでてくるので。だから自分を救うものなのかな、とも思います。
――雑談が自分を救う……
親しみがわく人のほうが、仕事もらってたりしませんか?僕の知り合いにカメラマンさんの知り合いがいますが「どうやってお仕事とってますか?」と聞いたら「カメラ技術はそれほどだけど、声をかけてもらえる」と話していて。その方、キャラクターがあって話しやすいんですよね。だから「あの人と仕事したいな」「あの人は仕事しやすいよね」になるんじゃないかな。そのイメージをつくるのは雑談の影響も大きいと思う。
――フリーランスに声がかかるとき、クライアントさんも依頼内容が固まってないときがあります。そのときも「内容はまだフワッとしてるけど、あの人は相談しやすいし、先に声かけとこう」と思える人なら声がかかりやすいですもんね。
そうそう、「人で選ばれている」気がしますね。気が進まない条件なら「それはきついです、さすがに」「今回だけですよ!」とか本音を冗談交じりにいいやすくなるし。フリーランスの方はお金の交渉も難しいから、冗談交じりで「頼みますよ~」といえる関係のほうが楽なんじゃないでしょうか。許し、許される関係性、大事かなと思ってます。
打ち合わせ中、ちょっと間が空いた。何を話そう……?
――ここからはシチュエーション別の対応について教えてください!この前3人で打ち合わせ中、電話が入って1人抜け、1対1になったんです。3人でないと話が進まないから、世間話するなって空気が流れたときに、ちょっと時間が止まりまして。おそらく、もう1人の方も雑談苦手だったんですね。
ありそうですね~。お互いに雑談が苦手なことが判明する瞬間(笑)。これは……、「中身のある話をしないといけない」という思い込みがあるんじゃないでしょうか?
――え、中身のある話のほうがいいんじゃないですか?
いやいや。中身なんて、なくていいんですよ。もしかして「意味のある会話をしなきゃ!」とか「どういう質問されたら嫌かな?」とか、いろいろ考えてません?
――めちゃくちゃ考えてます。
だからひと言目が出ないと思うんですよね。こういうときは、いかにつまらないことがいえるかどうかです。要は会話のハードルを下げる。つまらないことを自分からいえるかが大事です。
――つまらないこと……?
うん。例えば「見てくださいよ、この服。めちゃくちゃ毛玉ついてるんです。やばくないですか?」くらいのレベルです。
――毛玉……!
そしたら「ほんとだー」とか「めちゃくちゃ毛玉だらけですね」って返ってくると思うんです。そしたら「そうなんですよ、もう4年着てるんで」みたいに続ける。つまらないですよね、この会話。
――……実家でする会話みたいな。いや、実家でもしないかも。
ですよね。そのくらいしょうもないですよね。でも、そうすると向こうも「あ、こんなつまらないことでいいんだ」って思ってくれるはずです。すると、会話しやすくなりませんか?
――なります!なります!
こっちが「最近お仕事どうですか?」「お忙しいです?」と始めてしまうと、話が固くなりますよね。距離が埋まりそうで埋まらない。そもそも仕事の話がまじめなのに、雑談のフィールドまでそれをやる必要はない。だから雑談ではしょうもないことをいう。そのほうが距離もグッと縮まります。
――そうか。雑談のときは、しょうもなくていい。
仕事の延長線上と捉えると、雑談に意味を持たせたくなっちゃうんですよね。でも雑談と仕事は別物。そんな感じで考えるといいかもしれないです。
話が盛り上がらない、誰か話術を教えてください
――しばぴーさん、私はよく会話が1ラリーで終わってしまうことがよくあります。どうしたら会話が続くんでしょう?
「話が盛り上がらない」こと、ありますよね。それは「自分が率先して盛り上げないといけない」という思い込みに縛られているんじゃないかな。
――え、盛り上げなくていいんですか?
はい。盛り上げなくていいです。さっきの話と通じますが、つまらないことでいいから自分から口火を切っていきましょう。会話が終わったなら、それまでのテーマだっただけです。次へいきましょう。ちなみに1ラリーで終わる会話って、どんな感じですか?
――この前は「さっき、黒猫を見たんですよ」と話しかけました。
うん、それは「そうなんですね」しか返せないですね(笑)でも、いいですよ。おそらくそういわれた相手は「自分の話は、これよりつまらなくはないな」って、安心してもらえたはずです。
――おお!やった!毛玉作戦を知らないうちに実行していました!
毛玉作戦発動ですね。例えば、企画会議でも「おもしろくないことをどんどんいう」役割の人がいたりします。いい案を出す会議なので、案を出すハードルが高い。みんな「この案、しょうもないと思われたくない」って思ってて言えない。そのときに「つまらない案を出す人」がいると、そのあとの意見が出しやすくなる。雑談も同じで、つまらなさは自分と相手の会話のハードルを下げる効果があるんですね。
――そうか……!いろんなところで通じる話なんですね。
女性にモテる男性の話なんですけど「見てこれ、深爪しちゃってさ。超痛いんだよね」とか「だから何やねん」と思うようなことを言う人がいます。でもそんなハードルの低い会話ができる人のほうが、女性も安心して会話できて、モテたりするんですよ。
――なんと!モテテクにもなっている……!
つまらない話をするのも難しいという人や、それでも会話が盛り上がらないという時の最終手段に、お菓子をあげるという手もあります。「このお菓子おいしいですよね」とかつまらない雑談にも繋げられるし、お菓子をもらって嫌な気持ちになる人はいないですよね。もし「このお菓子苦手なんで……」と言われてしまっても、「え?昔からですか?」とか話が膨らむこともあります。
――奥の手として、お菓子常備しておきます。
ぜひ(笑)お菓子作戦、オススメです。
リアクションは磨いたほうがいい?
――会話のハードルを自ら下げることのメリット、多いことが分かりました。ではでは、またご相談です。私リアクションが下手なんです。大げさにやると嘘っぽいし、小さいと悪いなと思ってしまって。自然にリアクションするの、難しいですよね。
そうですね……。ただリアクションは分かりやすく、大きいほうがやっぱりいいかなと思います。相手の話に「え!ほんとですか!」とか「それでそれで?」といえば盛り上がってるなと感じて、話してるほうは嬉しいですよね。
――嬉しいですね……。話過ぎてしまうときは、大体リアクションをしてくれる人と話していることが多いですし。
こんなに盛り上げてくれるなら、しょうもない話をしても大丈夫だなっていう安心感が生まれると思う。だからこそ率先してリアクションで盛り上げていくのは大事かなと思います。
――リアクションをしっかりとることが、相手への安心感につながるんですね。
そうそう。「上手いトークするためにどうしたらいいですか?」とか、自分目線の質問が多いんですけど、相手の満足度を上げたかったら聞き上手になったほうが良いですよ。人の欲求には「自分の話がしたい」という欲があります。食欲、性欲、睡眠欲の次に「喋り欲」っていわれてるぐらい、人間は話したい生き物なんです。
――そうなんですね。
例えば知っている話でも「ねえねえ、この話知ってる?」といわれて「あ、それ知ってる。Yahooニュースで見た」というより「え、何?何の話?」と返せると、聞き手としての能力が高いといえますよね。相手の気持ちを盛り上げているので。
――ふむふむ。「知ってる」とバッサリいわれたら、ちょっと落ち込みます。
ですよね。女優さんが番宣でTVに出たとき「ハムスター3匹飼ってるんです」といったら芸人たちが「ええ!3匹!見たいわぁ」というのも、本当にハムスターが見たいわけじゃない。女優さんの話をどんどん引き出したいから、気持ちを盛り上げてるわけです。
――ああ!そうか!
話が苦手な人もなかにはいるけれど「話してもいい」と思える場所なら話せた分だけ人の満足感は上がるから、相手に話してもらおうと意識できたらいいですよね。
――相手のためなんですね。
そうそう。野球の話になりますが、ピッチャーにボールを投げさせるブルペンキャッチャーという役割の人がいます。彼はボールをキャッチするときに「バーン!」という、良い音を鳴らせるんです。その音を聞いたピッチャーは多少調子が悪くても「あ、いい音出てるな。自分調子いいな」と感じる。気持ちが上がってくるんです。それぐらい人の心ってシンプルで。受け手としての行動次第で雑談の盛り上がり方が変わるから、リアクションも大事なんですよね。
――めちゃくちゃ分かりやすいです。会話が続くテーマにしよう、とかじゃなくて、返ってきた言葉に対して自分もリアクションを考えていきたいです。
そうそう。さっきの「黒猫を見たんです」の話も「あ、そうなんですね」と返ってきて、もう会話が続かなそうだったら「すみません、今の話、めちゃくちゃつまんなかったですね」なんていってもいいですよね。
――あ、そういうつなげ方もあるんですね。
僕は人の弱い部分とか、かっこ悪い部分を見せたほうが「得がある」と思ってるんです。めちゃくちゃ仕事できる人に「黒猫見たんですよ」っていわれたら「何?天然?」とか思いませんか。「今の話、めちゃくちゃつまんなかったですよね、すみません」といわれたら「あ、笑かそうとしてくれたのかな?」って思いますよね。そういう会話って、人間性を表現すると思うんです。
――人間性……
漫画のキャラクターも弱点が考えられてますよね。強く頼もしいのに方向音痴とか、女性に弱いとか。そのほうがキャラクターとして愛されることを漫画家の人はみんな知ってたりする。だから弱いところ、ダサいところを見せられると相手は安心する。弱点を見せること=人間味を出せるになるので仕事関係の人との雑談ではどんどん見せたらいいのに、と思いますね。
――弱さやダサさを見せる……。最初の一発目は勇気がいりますね。
1回目は確かに勇気がいりますよね。そんなときは「自虐」がいいかもしれない。「今月残り4800円でやりくりしなきゃダメなんです」とか「サブスク解約しようと思うのに、もう入り続けて2年です」とか。
――ちょっと、もう笑えますね……
芸人の世界でも何を考えてるか分からない完璧な後輩より、すぐ何かこぼしたり、言い間違えたり、ダメなところがある人のほうが「自分が何とかしてあげないと」という先輩心をくすぐります。よく可愛がられる人はそういう人が多い。だから弱さは「得」と考える思考に持っていけたらいいのかも。
――弱さを見せるのは得……!
常に完璧でいることのほうがきついと思うんです。仕事のハードルがどんどん上がっていくじゃないですか。仕事での評価しかないから、求められることも上がっていきますよね。人は人間力を見たうえで「許す部分」が結構あると思うので、仕事だけで人に評価してもらうのはジャッジの材料がそれしかなくて、大変なことだと思います。
――わあ……、共感しかないです。
気の利いたことがいえない自分にしょんぼり……
――また違うシチュエーションなんですけど、たまにすごくおもしろい話をされる方がいて。私も気の利いた返しをしたいんですけど、つまらないリアクションしかできないんです。おもしろくて楽しいのに、話が終わったあとはドッと疲れてしまって。
ああ、これは自分だけの問題じゃないですね。気の利いたことしか話さない相手も悪い。例えばおもしろい話ばかりされて「どうですか?」といわれたら「自分もおもろい話しなきゃ」って思いませんか?
――はい!話すハードルがぐんぐん上がってます!
そうですよね。ハードル上がりますよね。僕、それでずっと失敗してたんです。女の子とご飯を食べにいって、がんばっておもしろい話をして。今度はその子に話を振ったら「私、そんなにおもしろい話できないから」って。おもしろい話って、相手にもプレッシャーを与えるんですね。
――なるほど。とすると、おもしろい話をする人にはどう応じたら?
「なんか疲れんな、この人。ちょっと離れとこ」くらいでいいですよ。
――えー!
離れれば、疲れません。会話って重く捉えすぎると、どんどん嫌いになっていくんです。だから話していて疲れるときは、半分は相手のせいだと思えばいい。誰にでも「この人と話すと、いつも楽しい」相性のいい人がいますよね。だから相性もある。疲れるなら「あの人、なんか嫌。近づかんとこ」でいいですよ。
――えー!いいんですか?
はい。僕も昔の自分に言ってやりたいです。「つまらない話をしろ」と。あのときは「笑った姿を見たい」とか「自分のこと、おもしろいと思わせたい」という自分本位な気持ちしかなかった。完全に僕が悪い。会話は相手がいてこそ成り立つから「どうすれば喋りやすいかな?」とか「この話をするのは今は違うかな?」とか。そんなことが大事なんですよね。
「雑談」は歩み寄るもの
――そうか、相手あっての雑談ですもんね。
そうそう。雑談が上手くできないと感じて「なんで苦痛なんだろう?」とか「もっとこういえば良かったのかな?」なんて考えれば考えるほど、悪い方向に進んでしまう。考えすぎて泥沼みたいになって、最終的によく分からない感じになる。だから「合わなかったな」「しゃべりにくかったな」で、決着をつけるときがあってもいいんじゃないかな。
――早めに決着をつける……
そうそう。自分が大きく変わる必要はないんです。会話をしんどく感じないためには、どうしたらいいのか?そこを考えると良さそうです。
――……しばぴーさんも、会話していて疲れることはありますか?
そらありますよ。僕も自分が話したことを気にするし、考えて疲れてしまうタイプです。だからこそ、みんなには会話をもっと楽しんでほしい。心を楽にして、互いに盛り上がるために、お互いの気持ちを良くするために自分の許容範囲を超えない程度にリアクションして盛り上げる。それで上手くいかなくても、自分1人のせいだと重く受け止めないでほしい。
――そっか。お互い歩み寄るための雑談ですもんね。
そうなんです。会話を嫌いにならんといてほしい。フリーランスの方はみなさん責任感のある方ばかりだと思う。だから雑談にも責任を感じることがあるのかもしれない。でももっと、気を楽にして大丈夫。会話を楽しんでいきましょう!
まとめ
今回のイベントで感じたこと、それは
おも~く感じていた雑談、持ってみたら意外と軽いじゃん
ということ。
今まで雑談というものを重く考えすぎていたかもな~、とイベントを振り返って思いました。そう思わせてくれたしばぴーさんに感謝です。
しばぴーさんは本を出されていて、今回のイベントで話された内容にも通じるところがあります👇
興味ある方はぜひ読んでみてください。
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