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Behavier【利他行動】~「他者ファースト」で幸せになる💛

 利他主義の実践を「他者ファースト」と呼ぼう。それは、利他の心をもち、かつ利他の行動を習慣にすることだ。宗教的のみならず社会的にも「利他心」が善とされるのは、承前のとおりだ。しかしながら、いざとなると「利他」ではなく、ついつい「利己」のふるまいをしてしまう。利他が人類という種を保存する本能ならば、利己は自分という個体を生存させる本能なのかもしれない。

 しかしながら、パンデミックに直面している現在、人類が遺伝的に授かっているという「利他心」を発動し、「利他行動」を実践することは人類という種をつなぐのみならず、個々人の命を守るにも不可欠な戦略だ。種と個は一蓮托生だ。自分と家族の命を守るためにも、「他者ファースト」は欠かせない。なぜか?

 サイエンス・オブ・ハピネスの多彩な研究が、幸せな人は免疫力が高く、健康で長生き、生産的だから成功する…という事実を報告している。そして、幸せな人の特徴も解明し続けていて、それは「感謝・親切・つながり」を習慣にしていることだ。筆者はこれらを「3大ハピネス・プラィクテイス」と呼んでいる。

 「感謝」によって、私たちは持っているものに焦点をあてることができる。持っているものを当たり前ではなく有難いと思い、充足感を味わえる。感謝は、「社会的比較」つまり自分と他者が持っているものと比べて、不足を憂い、他者を羨ましいと思い、恨んだり、怒ったり、みじめになったりするネガティブな気持ちを遠ざけるのだ。

 「感謝」によって、私たちは持っているものに焦点をあてることができる。持っているものを当たり前ではなく有難いと思い、充足感を味わえる。感謝は、「社会的比較」つまり自分と他者が持っているものと比べて、不足を憂い、他者を羨ましいと思い、恨んだり、怒ったり、みじめになったりするネガティブな気持ちを遠ざけるのだ。

 「親切」は、親切にされた相手を幸せにするだけでなく、親切にした自らをも幸せにする。人が喜んでくれた時に嬉しかった経験は、誰にもあるだろう。他者を支援することをとおして、私たちは自分が価値ある存在であると実感する。社会的な役割を果たすこともできる。健康増進にも効果がある。これは、ボランティア活動についての研究が解明した事実だ。

 「つながり」の効果は、グラント研究として知られる「ハーバード大学成人発達研究」が実証している。1939~2014年にボストンで育った貧しい男性456人と1938年から75年間ハーバード大学の卒業生268人を対象に人格タイプからIQ、飲酒習慣、家族関係などの心理的、人類学的、身体的特徴(「陰嚢の吊り下げ長」まで💦)を測定し、人間の繁栄にとって最強の要因を探ろうした研究だ。これを1972年から2004年まで指揮したジョージ・ヴァイラント教授は75年と2000万ドル(約20億円)をかけた調査で分かったことは、幸せとは「愛、以上」と述べている(2013年)。大切な人とのつながりが、私たちをいかに幸せにするかは科学の力を借りずとも、私たちも経験則として実感しているのではないだろうか。

 「感謝、親切、つながり」の3大ハピネス・プラクティスによって、ひとりひとりが幸せになれば、免疫力が高まり、ストレスに強くなり、創造的で生産的になって、それぞれとその家族を守れるようになる。しかも、3大ハピネス・プラクティスが「他者ファースト」の実践における基礎体力となることは言うまでもない。

 宗教的にも社会的にも遺伝的にも、人は「他者ファースト」を実践できるはずなのだ。そして、実践すればするほど、その効用が私たちを動機づけ、「他者ファースト」は強化され、習慣として定着していく。…はずなのだ。そして、「他者ファースト」が社会の文化になれば、それぞれが他者に奉仕して他者を幸せにしつつ、自らの幸福度も高め、社会全体の福祉を向上するという循環を築ける。…はずなのだ。

 これまで、拙稿では「利他」への理解を深めてきた。それは、「人はなぜ、利他の心をもち、行動するのか」という「他者ファースト」の動機を理解して、その理解を行動への架け橋にしたいと意図している。

 この後は、「他者ファースト」をそれぞれが習慣化し、時代のウェーブにするためのエッセンスをひも解いていく。「利他心」を「利他行動」へつなげるには? そもそも「利他心」はどのようにして沸き起こるのか? 「利他心」や「利他行動」を学習するための理論やメソッドやエビデンスなど、万華鏡のように多様な視点からアプローチしていく。

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