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【正しく集める、正しく見つめる】デザイン制作における“良いリサーチ”を考えてみる

こんにちは!BACKSTAGEデザイナー兼デザイナーチームマネージャーのmineです。最近トカゲを飼い始めました。とても可愛いです。とても可愛いのでトカゲの話をしたいのですが、仕事なので今回も一生懸命デザインの話をできればと思います。トカゲの話はまた後で聞いてください。トカゲ….トカ…

デザイナーの皆さんにとって、パターン出しや資料集め、デザインの観点を増やす習慣などは永遠に取り組む課題ではないでしょうか。

これらの要素は独立して存在せず、全てがアウトプットのクオリティに影響を与えます。
資料を集めることやデザインの観点を増やすことは、コンセプトの軸を複数提案するためのパターン出しにつながります。この地味な活動がモノづくりにおいて説得力を生み出すのです。

本記事では、デザイナーにとっての制作前の準備における重要な要素を「リサーチ」と称し、より良い行動やアウトプットへの影響を改善するためのコツをご紹介します。

ぜひ最後までお読みいただき、デザインの世界におけるリサーチの極意を探求してみてください!

ムードボード?参考サイトを眺めるのは好きだけど、それが役に立っているかと聞かれると…

改めて、デザイナーにとって頻繁に起こる作業というと「リサーチ」だと思います。そして正しいリサーチを行うことはとても難しいと感じます。

「とりあえずPinterestで参考画像を探していたら知らないうちに数時間経っていて何もできていない!」という悲しい現実だったり、「べらぼうにムードボードを作ってみたけれど、思い返せば最終アウトプットに特に反映されず…あれは本当に必要な中間成果物だったのか?」と枕を濡らしたり。

私たちは常にこの「リサーチ」フェーズに苦しみながら前に進んでいます。

資料を集めて、見るということ

そもそも私たちはなぜデザインをする上でリサーチをする必要があるのでしょうか?
私は今までの経験から、デザイナーは下記の観点のためにリサーチをすることがほとんどだと考えています。

・アイデアの着想を得るため
・ジャンルにおける作法や流行を知るため
・コンテキストを多く含んだアウトプットで説得力を高めるため
・チームで共通言語を作り、制作中に方向性を見失わないため

まず一つ目は「アイデアの着想を得るため」です。これはもっともポピュラーなものでみなさんも心当たりがあると思います。とりあえずいろいろ見とくか〜と言った具合で何気なくリサーチを開始し、筋のいいアウトプットを収集していったりすると思います。その過程の中で徐々に頭の中にアイデアの雛形が出来上がっていきます。

二つ目は「ジャンルにおける作法や流行を知るため」です。
デザイナーは常々「今まで世の中になかった新しいモノを作りたい!」と思いがちです。決して悪いことではないのですが、そのせいでリサーチを行わずに当てずっぽうでアウトプットしてしまうこともありがちです。(過去の自分に幾度とない心当たりがあります….)しかし、型を知らなければセンスのいい“外し”もできませんし、そもそもそのジャンルにおける異質なアプローチになってしまうとユーザーから受け入れてもらえるかも怪しくなってしまいます。 例えば日本酒のパッケージはほとんどが習字体で書かれている酒名のロゴが配置されています。あれはもうすでに「日本酒のロゴといったら習字体」というようなメンタルモデルが出来上がっているため、それを知らずに作ることが適切な場合は少ないでしょう。

三つ目は「コンテキストを多く含んだアウトプットで説得力を高めるため」です。
私はアウトプットには強度というものがあると思っています。その強度というのは単純なクオリティ(丁寧な仕事)というものと同時に「コンテキストがあるかどうか」というものが重要だと考えています。時代の流れやそのジャンルにおける文脈のサンプリングが正しく行われているアウトプットには説得力があり、強度があります。 表層だけを真似たデザインではなく、そのデザインが生まれて大衆化するまでのコンテキストを知った上で自身のアウトプットに持ってくることが重要です。

最後は「チームで共通言語を作り、制作中に方向性を見失わないため」です。複数人でチームを編成しデザインワークを行なっている人やクライアントワークを中心に活動しているデザイナーはこちらもとても重要な項目でしょう。デザインワークというのはある種没頭できてしまう作業なので、制作しているうちに迷走していることに気付かぬまま進んでしまうことがあります。そのため全員で同じモノをみて作る必要があるためリサーチをし、共通言語としてのムードボードを作成すると認識齟齬が起きにくくなります。

これらは一例であり、あくまで私の中の観点ではありますが、リサーチをするためにはいくつかの目的があります。ですからこの目的を達成できるようにリサーチを行う必要があります。

ここからはリサーチするための目的である

・アイデアの着想を得るため
・ジャンルにおけるお作法や流行を知るため
・コンテキストを多く含んだアウトプットで説得力を高めるため
・チームで共通言語を作り、制作中に方向性を見失わないため

の4つを軸に、どのようにすれば目的を達成できるか?の極意をいくつか紹介できればと思います。

訓練にもなるよ!より良いリサーチの極意

目的を持って、しっかりとしたリサーチすることでよい資料集めができる。これはデザインスキルを向上させる訓練にもなります。ここでは具体的に良いリサーチをするために意識したい観点をまとめてみました。

アイデアの着想を得るために

数を出すこと

シンプルですが、なかなか難しいこと第一位!数を出すことです。前提アイデアというのは頭の中に偶然生まれるのではなくコンテキストとコンテキストの掛け合わせであることが多いです。 ある対象のある部分と別の対象の別の部分を掛け合わせることで今までになかったアイデアが生まれます。ですから、アイデアの着想を得たいと思ったら数を多く集めることが重要です。 一つだけでは要素が足りず、掛け合わせる別の要素が無いと単純な真似事になってしまうため、かなり注意が必要です

一見、関係ないところからも探してくること

数を出すということはとても難しい作業ですが、それが「まあいけるかも?」と思える方法があります。それは関係ない分野からも資料を集めてくるということです。 デザイナーにとってこの世界の全てがPinterestだと思えると良いと思います。バナーを制作するからバナーの資料をたくさん集めるのではなく、ポスターや本の装丁、説明書のエディトリアルや写真作品の構図などたくさんのものから素材を集めることで、参照するアウトプットの幅が広がるのです。

❸ 実際に外に出て探したり、偶然出会ったサイトを常に分析する習慣をつけること
私たちは制作を意識していないリラックスした状態でアウトプットを見るときに気づくことがたくさんあります。自分のデッサンの正しさを知るときにひっくり返して眺めてみたりとか、シャワーを浴びているときに思いつくアイデアなど、人は作っていない時の観察や思考が思いもよらないアイデアにつながることがあります。だからこそ、スマホやPC画面で一生懸命検索するのではなく、図書館へ行き資料を探すことで出会うものがあります。自分のリサーチモードを外した上で世の中を見渡してみましょう

ジャンルにおける作法や流行を知るために

コンセプトのあたりをつけておくこと
ジャンルにおける作法や流行を知るためには、まずそのジャンルのことを知らなければいけません。なのでリサーチをする前にある程度のコンセプトや軸が必要でしょう。これはムードボード制作におけるコツでもあります。提供したい相手が子供であるなら子供を対象にしたデザインを中心に集めることで、子供向けデザインの総和を知ることができます。

集めてきたモノをまとめること

ある方向性に沿って資料を集める際は、カテゴリごとにまとめてみると良いでしょう。これは資料集めの方向性を見失わないための方法です。
例えば、「優しい印象」を持つデザインを集めている場合、赤やオレンジなどの暖色を多く使ったデザインが多いことに気づくかもしれません。すると知らないうちに「優しい」ではなく「赤い」に目的がすり替わって資料集めをしていることがあります。
このようなことが起きると、本来の方向性がずれていきます。 そのため、目的に沿って集めた資料を大きくグルーピングしながらまとめておくことで、目的とズレた資料を明確にすることができます。

コンテキストを多く含んだアウトプットで説得力を高めるために

普段から自分の辞書を作っておくこと
コンテキストを多く含んだアウトプットで説得力を高めるためには毎日の勉強が大事だったり、デザイン以外のカルチャーについて深く知るという行動が必要になってきます。そのため普段自分が良いなと思った詩の一節やバナーやポスター、道路に貼られたステッカーなどを細かくスクラップしておくことが重要です。冒頭でも記載しましたが、我々デザイナーにとってこの世界の全部がPinterestであると思えると、世界の全てがリファレンスになります。

まとめ:デザイナーには時間がない!だからこそ蓄えている手札の数とそれを組み合わせる力が大事

いかがでしたでしょうか?記事として書いてみるとごくごく当たり前のことのように思えますが、これをしっかりと遂行するのはとても難しいと思います。

私もたまに方向性を見失って「何のためにこれ集めてたんだっけか?」となることもあります。しかしある程度自分の中での指標や注意点をまとめておくだけでも意識が変わっていくので、皆さんもぜひリサーチして資料を集めていく前にこの記事を読み返してみてください。

トカゲの話はまた今度にしますね。ご精読ありがとうございました!

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