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会社史上初「フルリモート新人研修」を成功させるには? 研修リーダーが語る5つの秘訣

2020年春以降、急速に進むリモートワークの中で「新入社員研修」の運用に頭を悩ませた企業も多いのではないでしょうか。

パーソルプロセス&テクノロジー(以下:パーソルP&T) システムソリューション事業部でも、技術研修をフルリモートで実施することが決定。前例のない状況に研修担当の社員たちは大慌てでした。

カリキュラムの調整〜個別のフォローまで「若手社員で結成された研修運営チームに任せる」のが、この技術研修の特色。今年度の運営チームは、入社6年目のリーダーを筆頭に、2~5年目社員の計8名で構成され、全員が新卒入社者です。

「例年と異なる環境で発生する問題をどう乗り越えるか」。未経験の事態に順応できるよう考え、研修を進めることは、運営チームにとっても大きなチャレンジでした。

今回の記事は、研修リーダーとして奮闘した金子理人さんの寄稿記事です。

「フルリモートだからこそ」の研修の在り方を探して

こんにちは!グループソリューション統括部で、プロジェクトリーダーを務めている金子理人です。

今回の研修では、新入社員72名全員がフルリモート環境でも「開発の基本をしっかり身に付けられること」が、求められました。研修リーダーとして日々悩みながらも、かけがえのない財産になったこの貴重な経験を振り返ってみます!

フルリモートでの技術研修実施の決定後、最初に取り組んだのは「カリキュラムの見直し」でした。

例年オフラインで行っていた新人研修の内容を踏襲したカリキュラムを、そのまま「オンライン化」すればよいわけではないと思ったんです。オフラインでのみ効果を発揮する内容を外したり、リモートで実施可能な講義を強化したり。

新人研修をサポートしてくださっている技術統括部のエグゼクティブマネジャーに「最善となる研修のカタチ」を相談しながら、カリキュラムの再設計を行いました。

もう一つの大きな課題は「リモート研修用の環境づくり」。研修参加者が終日自宅で研修に臨めるよう、VPN/Zoom/Teams/クラウド開発環境を活用するなど、短期間での環境整備が必要でした。

とはいえ、「個室が確保できない」「通信環境が整っていない」といった状況は人それぞれ・・・。個別に相談を受けながら、総務部門の協力を得てポケットWi-Fiを貸し出すなど「モノ」の用意を含めた対応を進めました。

また、新たに決めるべき「リモート研修用のルール」も多々あり、かなりバタバタとスタートしたのを思い出します。

新入社員に、ホンネを聞いてみた!
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伊敷 綾華さん(左):Global Bridge COMPANY グローバルサービス部
菅原 大夢さん(右):DXソリューション統括部 NewITソリューション部
ーーフルリモートの研修と聞いて、最初どう思った?
伊敷:正直「オンラインだけで、きちんと学べるのかな?」と不安でした。私は文系出身で、プログラミング知識ゼロの状態だったので・・・。実際にスタートしてからは、Zoomの画面共有やチャットを活用したサポートを受けられて、安心しました!

菅原:フルリモートで研修を受けること自体より、準備に手間取った人が多かった気がします(笑)。ネットワーク環境を整えたり、自宅内の有線でつなげる場所を確保したり・・・、みんな苦労していたみたいです。

チームみんなの理解度を最大限に高めるために

研修の前半では、プログラミングなどの技術系基礎講義と提案書作成などのビジネスワークを中心に。

後半では、スキルレベルごとにチームを組んで実習を行いました。初級チームは自分が苦手なところを徹底的に復習できるようサポート。

中級・上級チームは、より実践的な課題として当社のプロダクトである「HITO-Link CRM」の簡易版を開発するプロジェクトにチャレンジしてもらいました。

その中で、特に工夫してきた5つのポイントをご紹介します。

<その1>:ZoomやTeamsなどのツールをフル活用!

フルリモート研修において、まず詳細に検討すべき重要な要素の一つが「ツール活用」です。

「ただ人が話すのを聞いているだけ」にならず、集中できるようにするには「リアルタイム性」が大事。

そのため、Zoomの機能活用は重要なポイントでした。画面共有機能を利用してオンライン授業のようにスライド資料を映写したり、操作を見せたり、質問したり・・・。さまざまな工夫をして進行しました。

また、研修参加者だけではなく、研修運営チーム内での情報連携も重要です。今回の研修ではMicrosoftのTeamsをフル活用。

日常的にTeamsで会話するようになり、コミュニケーション頻度を高められたので、運営チームの間でも新入社員一人ひとりの課題や状況が共有できるようになりました。

<その2>:カリキュラムごとに、チーム替えを頻繁に実施

「せっかく仲良くなったのに、新しいチームに変わってしまう!」と残念がる声もありましたが、今年はカリキュラムごとに他のメンバーとも一緒に実習できるよう、頻繁にチーム替えを実施。

出社して一緒の部屋で研修を受ける場合と異なり、今年は同期同士の接点も減っています。フルリモートであっても、チーム替えによってなるべく多くのメンバーと会話できる環境を提供したかったんです。

<その3>:初の試み「スキルレベル別の実習」

新入社員は、学生時代の専攻や入社前のスキルもバラバラ。そのため同じ研修を受けていても、どうしても理解度には差が生まれます。

そこで人と比較して悩むのではなく、個々が自分のレベルを上げることに専念してほしい。

そんな思いから、従来にないスキルレベルによるチーム分けを実施しました。思い切った試みでしたが、反応は上々。チャレンジできてよかったと思います!

<その4>:「オンラインだと伝わりにくい」問題は「1on1」で解決

研修を進めていく中で、最難関だったのがフルリモートで行うコミュニケーション。「同じ部屋にいれば、なんとなくわかる気分や状況、抱える課題」が画面越しには伝わりにくく、一人ひとりの様子を掴み取ることが難しくなります。

社会人経験のほぼない新入社員に「言語化」してもらうのもハードルが高く、悩ましかったですね・・・。

加えて対面で話せる時間は限られており、メールやチャットのテキストコミュニケーションが基本。「文面だけだと冷たく感じてしまうのでは?」「細かなニュアンスが伝わってないのでは?」と、ジレンマを感じることも多々ありました。

この課題を解消するため、研修運営メンバーの私たちと、新入社員が1対1で話せる機会を定期的につくり、抱えている課題や悩みをこまめに確認するように。例年以上にバックアップを強化して新入社員それぞれの様子の把握に務めました!

<その5>: Zoom飲み会でコミュニーション by新入社員

これは運営チームが主導したわけではなく、 新入社員同士が自発的に「お互いに深く関わる機会をつくろう」と、不定期にZoom飲み会を企画・開催してくれたものです。

週末や業務時間後に「やりたい!」と思った人が企画し、気軽に参加できるのが「Zoom飲み」のよさ。

「時間を気にせず、他の拠点に配属された仲間とも一緒に楽しめて、同期同士の横のつながりができた」という声が多く、絆が深まったことが研修時のモチベーションにもつながっていたようです。

【新入社員に、ホンネを聞いてみた!】

ーー課題にチャレンジして気付いたことは?
伊敷:実践的な開発プロジェクトの課題は大変でした!オンラインでつながっているとはいえ、席を並べているわけではないので、チームメンバーの進捗がとにかく見えづらくて・・・。
だからこそ「あと少しで終わりそうです」ではなく「何がどこまで終わっているのか」と、具体的に進捗を確認・報告する大切さに気付きました。

菅原:大学でプログラミングを専攻していたので、コーディングの基礎は身に付いていたのですが、ワークを通じてビジネス文書を書くのが苦手なのを実感しました。自分1人ではなかなかできない、苦手なことに取り組めたのがよかったです。

「物理的に初めて会えた」配属式の感動

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3か月の研修を経た7月1日、各部署への配属式を迎えることに。この日初めて、いつもは画面越しに会っていた新入社員たちと「物理的に」対面できました。

イレギュラーな状況で不安も多かったと思いますが「ここまで本当にみんなよく頑張ってくれたな」と、感慨深かったですね。

今回の研修は、単に知識を身に付けるのではなく「学ぶ姿勢、技術者としての考え方を学んでほしい」という思いで運営してきました。

配属先では新たな壁の連続だと思います。でも大丈夫、最初から全部できないのは当たり前。これからも失敗しながら学び続けて、将来の目標を実現してほしいと願っています。

【新入社員に、ホンネを聞いてみた!】

ーー配属後、研修から得た「学び」で役に立っていることは?
伊敷:与えられてやるのではなく、能動的にPDCAサイクルをまわして「自分から行動する」ようになりました。迷いや疑問があっても、待っているだけでは何も解決できない。解決の糸口を見つけるための質問や相談自体からも、たくさん得られるものがある。この気付きをアサインされたプロジェクトでも、しっかりと活かしていきたいです!

菅原:「コードは自分だけでなく、全員のもの」という意識が芽生えました。研修が始まった頃の目標は「配属されたその日から、実践で使える人になる」でしたが、実際の業務に入ってみるとわからないことが半分以上。
自分の力を過信するのではなく、周囲の力を借りながら「みんなで」開発する姿勢を学べたのは本当によかったと思っています。
また、学生時代はプログラムを「書き捨てる」だけだった自分を「書くことでお金を稼げるようになる」状態まで、育成してくださった研修チームのみなさんには感謝しています!

指導は新人だけのためならず

振り返ってみると、研修リーダー経験を通じて、実は何よりも自分自身が「成長できた」のを実感します。

今回の研修をきっかけに「後輩たちにどれだけ今後の成長の基盤をつくってあげられるか」「そのために今、何を、どのように指導すべきか」を、かつてない深さで考えました。

自分の中で仮説を立てながら、目先のことだけではなく、その先、もう一歩、二歩先のことを考える。研修リーダーとしての経験には「勉強になることしかなかった」と断言できます。

私は現在、日頃の業務ではプロジェクトリーダーを務めていますが、将来はより大きな組織をマネジメントできるようになりたいと思っています。

今回の研修は、新入社員の成長だけではなく、私たちが大きく成長できる、またとない機会となりました。この学びを活かして、いつも、どんな状況下でも最善の行動とアイデアを発揮できるように邁進していきたいですね。

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