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【今日から使える開発ノウハウ】現場のインフラエンジニアが解説!Windows Virtual Desktop導入のポイントとは?

「テクノロジー起点で社会・顧客のDX(Digital Transformation)/ITX(IT Transformation)を実現する」をミッションに掲げるDXソリューション統括部。今回は2019年9月にGA(一般公開)されたばかりの新サービス「Windows Virtual Desktop」導入のポイントについて、現場で活躍されているインフラエンジニアの内田恭平さんに寄稿してもらいました。

ついにGAされたWindows Virtual Desktopとは?

こんにちは、DXソリューション統括部 DXプラットフォーム2部でインフラエンジニアをしている内田恭平です。2018年4月にパーソルプロセス&テクノロジー(以下:パーソルP&T)に入社して以降、Microsoft Azureを中心としたクラウドサービス関連のさまざまなプロジェクトに参加してきました。

今回は、DXソリューション統括部で積極的に展開しているWindows Virtual Desktop(以下、WVD)についてご紹介します。

WVDは、2019年の9月にGAされたデスクトップ仮想化サービスで、最大の特徴はWindows10でマルチセッション(1つのホストPCに対して同時に複数人が接続する方式)が初めて可能になったことです。

もともとのWindows10のクラウドサービスは、稼働させた分だけ課金される料金形態のため、複数人の従業員がそれぞれのマシンを利用した場合、高額な費用が発生してしまいます。そのため、導入をためらわれるお客様もいらっしゃいました。

ところが、WVDでマルチセッションが可能になると、従業員の方が普段使っているデバイス経由で1つのマシンに複数人が入れるので、料金をぐっと抑えられます。しかも開発に必要な管理サーバーは、すべてMicrosoftが管理してくれるので、クライアント企業は、実際に使う環境のコンピューターだけを管理すれば良いのです。

実はこのWVD、開発・運用のコストを大幅に下げられることから、市場に登場する2年ほど前から話題になっていました。

従来のサードパーティ製のデスクトップ仮装化サービスは、高額なライセンス料に多くの人が頭を抱えていましたが、WVDは、すでに支払っているWindows10のライセンス料のみで使用できるという「待望のサービス」だったのです。

今、デスクトップ仮想化サービスのニーズはとても高まっています。「リモートワークの導入は必須だと思ってはいるけど、在宅で働ける環境が全く整っていないのでどうにかしたい」というご依頼を多数いただいており、WVDはまさに「時代に求められている」サービスだと感じています。

グローバル展開を支えるITインフラの構築に活用

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私が担当したWVD導入プロジェクトについて、1つご紹介しましょう。

宿泊業のお客様が、国内拠点と共通の環境を海外拠点にも整備する目的で、WVDを導入した事例となりますが、お客様のWVD導入のメリットは大きく3つありました。

1つ目は、前述のとおり、管理するサーバー量が非常に少ないので、運用のコスト負担や作業負荷が少ないこと。

2つ目は、従業員の方が海外拠点のパソコンを使ってAzure上のシステムにアクセスする際に、WVD環境からのアクセスに限定できるので、セキュアな接続ができること。必要に応じて複数拠点から1つのシステムにAzure経由で接続することもできるようになりました。

3つ目は、現地での運用時に何かあったときにもスムーズな対応ができること。海外拠点でシステムを使うホテルスタッフは現地の人ですが、システム運用も含めた教育担当者はオープン後には日本に帰国します。しかしWVDの環境なら、帰国後に問題が発生しても日本から対応することが可能となります。

こうした背景を踏まえて導入が決定しました。短納期でのプロジェクトでしたが、無事WVD環境を構築することができ、現在スムーズに運用が進んでいます。

最大の課題は、情報の少なさ。手探りで進めた開発

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ご紹介したWVD導入プロジェクトは最終的に成功したのですが、正直に言うと、プロジェクト進行中はかなり難航しました。

このサービスに私たちSIerが触れるようになったのは、パブリックプレビューが行われた2019年3月。一般公開されたのが2019年9月末で、プロジェクトが発生したのは同年の12月です。日本語の公式ドキュメントさえ更新が追いついてない、ホットなサービスだったため、まだ国内にほとんど情報がない状況でシステムを構築する必要がありました。

この状況の難しさは、リリースされたばかりのサービスを導入したことのあるエンジニアの方ならわかるかと思います…。

英語のドキュメントを読み、不明点をサポートに問い合わせても、十分な回答は得られません。そこで、海外のエンジニアコミュニティの掲示板でWVDのトピックにアクセスし、今直面している問題を英語で相談して、ヒントを得ながら手探りで進めていきました。

<ここがポイント!>新サービス導入時、特に注意しておくべきこと

こうして苦心しながら、WVDを導入していった経験の中で、改めて実感した「気をつけておくべきポイント」が2つあります。それは…

1.お客様に実際に運用していただきながら開発する

WVDは新しいサービスなので、ITに詳しい情報システム部の方であっても、初めて触れるケースがほとんどです。環境構築はお任せいただいていても、実際に利用されるのはお客様なので、都度「サービスを触っていただく」機会を設けましょう。

私たちが「どう使うのか」を把握するためにも、お客様に「何がどこまでできるのか」を理解いただくためにも、運用上の不明点を普段以上に細かく確認しながら進めていくのが望ましいです。

2.営業担当者との認識相違が出ないようにする

お客様とのファーストコンタクトを取るのは、基本的に営業担当者になると思います。その人が十分にサービス内容を理解していないと、入り口の部分で誤った説明がされ、お客様を不安にさせることにつながりかねません。

一般的にGA段階から日が浅いサービスは、情報も少なく、すぐにわからない部分も多いので、「できる・できない」の安易な判断は危険だと、改めて部署外にも周知しておきましょう。

WVDの場合、特に注意するべき点としては、画面のデータがインターネットを経由するので、ファイアウォールの設定変更が必要になる場合があることです。その際はお客様側で対応していただかなくてはいけません。こうした注意点を事前に知っておいていただくためにも、まずは社内で営業担当者にしっかりレクチャーすることを心がけるといいと思います。

技術ブログ「Cloud Steady」で知見を積極的にアウトプット

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WVDに興味を持った方は、DXソリューション統括部が運営している技術ブログ「Cloud Steady」をぜひ覗いてみてください。

「Cloud Steady」では、WVDをはじめ、まだ日本語の情報がほとんどない新技術も幅広く紹介しています。ドキュメントに書かれている一般的な内容はもちろん、実際に触ってみてわかった注意点なども記載しています。

国内ではまだ「埋もれている」優れた技術に光を当て、どのような利点があるのかを多くの方に伝えられるよう、エンジニアの現場からしっかり発信していきたいと思っています。

ところで、DXソリューション統括部はなぜ自分たちのノウハウを積極的に発信しているのか、疑問に感じた方もいるかもしれません。

実際、日々業務がある中で記事を書くのは大変ではあるのですが、このブログの根底には「パーソルP&Tの先進的な取り組みを知ってもらいたい」という思いがあります。

今後も、自分たちの知見を自分たちだけのものにするのではなく、積極的に公開することで、社会に役立てていければと考えています。そして、このブログを通じて、パーソルP&Tに興味を持ってくださる方が増えたら、とても嬉しく思います。
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◇内田恭平さんに関する記事:

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