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【最新】 #朝ディナー の全貌公開|sioのトリセツ

2021年1月12日午前8時半、いつもよりも早い時間でも活気のあるキッチンははじめのお客様を迎えるにあたり緊張感のある顔つきでお米やお味噌汁の準備を進めている。僕らの新しい取り組みが幕を開けた。

コロナ禍で一気にライフスタイルが変化する中で、

『朝、ゆっくり食事をしたい』
『午前中に贅沢して、午後はゆっくりしたい』
『夜は子守りもあるし出かけられない』

というお客様がいると感じたシェフは今回に1月8日発令した緊急事態宣言を機に朝からディナーと同じフルコースを召し上がれる″朝ディナー″を考えた。

通勤しながらTwitterで発信したところ大きな反響があった。


次の日には予約を開始し、1月の朝ディナーはすでに満席となっている。

朝からディナーに食べているようなコース料理の体験を作る。それは時代の変化に合わせて、時間軸をずらすチャレンジである。今回は僕らが新しく提案する朝ディナーについて解説していきたい。

※ここから先はネタバレがあるため、#朝ディナー の内容を楽しみにされている方はご覧になるのをおやめください※

sioの #朝ディナー 取扱説明書

全8皿6,000円の #朝ディナー 限定コースに、ティーペアリングを用意した。

まずはティースパークリング。紅茶をベースにディルやセージなどのハーブを合わせ、白ぶどうのジュースでほのかな酸味と甘味を加えた。徐々に鼓動が強くなる朝に心地よく染み渡る。

1皿目には、舞茸の香りを移した鶏出汁のスープでまずは体を癒やしながら、起き抜けでまだ本調子でない体をゆっくりと温めていく。

湯呑スタイルなので、香りがダイレクトにフワッと鼻を抜ける。

2皿目の馬肉のタルタルへ。何度食べても美味しい僕らのスペシャリテである。

続いてのペアリングは、シンプルに広東紅茶。じんわりと水出しすることでタンニンを抑えながらも香り高く抽出された。3皿目、ホタテのグリーンサラダと一緒に召し上がってていただく。

グリルしたホタテとベーコンの旨味、ジューシーで甘酸っぱいキウイ、グレープフルーツの弾ける酸味、ケールやアーモンドなど口に運ぶたびに異なる食感のコントラスト、蛤出汁と芋ピューレをベースにしたクラムチャウダーのドレッシングが全体をまとめる。お箸でていねいに食べ進めることでゆったりとした気持ちになれる。

4皿目は、シンプルに素材の美味しさを楽しんでいただく料理もご用意。朝といえば、オムレツ。レストランは作る究極のオムレツは、フォンダンショコラのように、中は半熟とろりと卵が流れでます。
生クリームのまろやかさ、チーズのコク、ビネガーの心地よい酸、トリュフオイルの香り。多幸感に包まれます。

5皿目は、鰆のポワレを蕪のソースで。ディナーコースでも好評いただいている鰆のポワレを焼き魚がわりに。オーブンで出し入れすることでしっとりふんわりと焼き上げた鰆に、蕪のピューレをたっぷりつけて口に運ぶと、はじめは優しい蕪の甘さと柚子の香りが広がり、ほろほろとほぐれる身から鰆の旨味がじんわりと押し寄せる。


合わせるティーペアリングは、豆のような優しい甘味のある緑茶。水出しすることで口あたりはなめらかながらこちらも香りが広がる。

6皿目は、ほっこり思わず笑みが溢れるメインのお皿。風で乾燥させた上でしっかりとバターでアロゼし(スプーンでバターを回しかけながら火入れする調理法)パリパリに仕上げた大山鳥を甜麺醤のソースで。付け合わせは根菜トリオ、かぼちゃのピューレと小蕪とじゃがいも(きたあかり)。

メインに合わせ、中国のプーアル茶にカカオビネガーを加えることで甘味、酸味、香りの奥行きがあり、赤ワインのような果実感を感じられるドリンクを甜麺醤のソースとペアリング。

〆の7皿目は、ご飯膳。バーミキュラで炊き立てのあきたこまちはそれだけでご馳走だ。赤味噌の味噌汁、べったら漬け、野沢菜漬け、柴漬け、しいたけの煮物、山利のしらすにうずら卵とにら醤油がけ。

もう一度言うが米の感動が半端じゃない。一粒ひとつぶが立っているため噛めば噛むほど甘さが出る。お漬物とお米だけで贅沢な気持ちになれる。おかわりは自由なので、お腹の具合に合わせてお召し上がりください。

8皿目、デザートはsioの定番アイスブリアサラヴァンを使用したミルクジェラート。これを超えるアイスはないから、とオープン時から繰り返し作られているできたてのアイス。口溶けのなめらかさに、食感の楽しさ。クランブルのサクサクとした食感が心地よい。

最後にダージリンでホッと一息ついて時計を見ると11時15分。

食事開始が9時半だったのであっという間の2時間弱。これはすごい。早起きしてしっかりご飯を食べながら頭も使ったからか、脳がクリアな感覚がある。

#朝ディナー は、全身が喜びを感じられる体験になった。有り難いことに1月は満席を頂戴しているが、今後も新しい生活様式は日常になるだろう。心身ともに健康な生活は食事がベースとなる。1日における食事のウェイトをご自身のライフスタイルに合わせて少しずらしてみるとこれまでとは違う身体の声が聞こえてくるかもしれない。

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