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「読書する人だけがたどり着ける場所」齋藤孝

なんでそんなに本が好きなの?

よく聞かれる質問ですが、どうも納得のいく答えができない。好きなものが好きである理由を説明するのってこんなに難しいのか、といつも思います。
でもこの本にはその理由がすべてありました。
書店に行けば読書をすすめる本はたくさんあって、その中の多くが、効率とかビジネスでの成功とか成果とかそういうものを前提に読書のすばらしさを説いています。それはそれでいい。でもなんか足りない。
齋藤さんの語りからは、あゝこの人は本当に読書を信じているのだな、ということが伝わってきて、会ったこともないけど味方になってくれるような嬉しさがあります。私たちは資本主義からは逃れられないけれども、一度資本主義的な要素を脇に置いて、読書が人生に与えてくれる豊かさを教えてくれます。
これもまた読書の醍醐味のひとつですね。会ったこともない素敵な人が自分の味方になってくれること、自分の人生を肯定してくれること。

そしてこの本を読んで、わたしがいままで読書に費やしてきた時間が、寿命が報われたような、救われたような気持になってうれしかったです。本を愛する人ほど、この本を読むべきかもしれません。

気になったポイント(要約)

・読書について語るとき、先人の教えを文章で学ぶor経験、という二択が使われるが、読書と体験は矛盾しない
・教養は雑学や豆知識ではなく、ばらばらとした幅広い知識を自分の中に取り込んで統合し、総合的に生かせること
・情報をとらえるのは読者の人格
・ジブリが面白いのは、宮崎駿がたくさんの本を読んで深い認識力を持っているから。ジブリだけを見ていても教養は身につかない
・教養がないと新しい発見に驚けない、というかそもそも発見がない
・知識は細胞分裂のように増える

やってみようと思ったこと

・流行った本は斜に構えず一度読んでみる
・読後にその本の紹介文を考えてみる
・気になる文を3文は見つける
・関連知識の書籍で本棚を作る

本書で紹介されていた本で、気になったもの(備忘)


☑『方法序説』ルネ・デカルト
☑『論理哲学論考』ヴィトゲンシュタイン
☑『五輪書』宮本武蔵
☑『寝ながら学べる構造主義』内田樹
☑『君主論』ニッコロ・マキアヴェリ
☑『ファスト&ロー』ダニエル・カーネマン
☑『饗宴』プラトン
☑『歴史とは何か』E・H・カー
☑『日本思想全史』清水正之
☑『常用字解(第二版)』白川静
☑『銀の匙』中勘助
☑『論語物語』下村湖人
☑『論語と算盤』渋沢栄一
☑『旧約聖書を知っていますか』阿刀田高
☑『自由への大いなる歩み』M・L・キング

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