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にっくきコーヒー

仕事終わりに飲むコーヒーが大好き。
「今日の自分、おつかれさま」
そんな気持ちで飲む時間がいい。

でもコーヒーはわたしにとってとっつきにくい相手になった。
ほんの少し前まで、何の心配もなく飲めていたのに。

砂糖もミルクも、何も入れなくても飲めるようになってきた頃だった。
苦手だったフルーティーなフレーバーも受け入れられるようになって、コーヒーの味の違いに魅力を感じ始めていた。
大人の仲間入り、なんてすでに成人して8年目の自分が思うのは恥ずかしいけれど、憧れる大人の姿に近づけた気がした。

気になるカフェを見つけては赴くことが休日の楽しみのひとつ。
自らコーヒー豆を挽きたくなって、コーヒー好きの職場の人から手挽きミルを頂いた。
また豊かな時間が増えた。
これがわたしの趣味になる、拡がっていくってわくわくした。


2023年5月。不調に見舞われた。
コーヒーの飲みたくなさで体調が分かる。

わたしはPMS(月経前症候群)持ちで、よく生理前に飲みたくなくなるんだけれど、生理に関係ない時期だった。

PMSについては、
https://ja.wikipedia.org/wiki/月経前症候群 
をご参照ください。

はっきりした原因は分からない。とにかくいろんなことで悩んでいた。
自分で自分に呪いをかけたようなストレスで、自律神経はおかしくなってしまった。

自律神経は、興奮させる交感神経とリラックスさせる副交感神経の2種類のこと。
どちらが優位でもいけなくて、バランスが取れているのが理想的だ。

コーヒーに含まれるカフェインにはその交感神経を昂らせる効能があり、よく朝の目覚めのスイッチとして飲まれる方も多いと思う。
だけどそれが毒になってしまうこともあるのだ。

わたしの場合、交感神経が優位になった状態で、動悸、伴って吐き気、そして不眠。
その時々で症状は様々だが主にこんな感じ。
こんな状態で、すっかりコーヒーから遠ざかってしまった。
それは一時期では終わらなくて、
実は今でも悩まされている。
精神的な悩みを超えて、身体的な悩みの方が大きくなった。

まるっきりダメなわけじゃない!と思って、10時から14時までは飲んで大丈夫というマイルールを設定してみたけれど、飲んだ直後よりも夜になってるのに症状があるのがしんどくて、もう何も気にせず飲んでいた頃には戻れないと痛感した。
カフェインのことを気にし過ぎて、大好きだったコーヒーゼリーでさえも食べるのを躊躇してしまう。
少し前まで17時以降に飲んでも夜平気で寝れていたのに、まるで別人のような感覚だ。

正直思い返せば、以前から朝に飲むとドキドキしたり、お腹が緩くなることはあったから、元々カフェインには弱い身体だったんだと思う。

それでもあの苦くて茶色い飲み物を飲みたかったのは、
美味しさが分かった自分が好きだったから。そんな気がする。


しかし諦めたわけではない。
というか付き合い方を変えた。

今まで妊婦さんしか飲まないと思っていたカフェインレスコーヒー。
現在ものすごく助かっている。
と同時に、わたしのようなコーヒーを諦められない民が飲用しているのかもと考えが広くなった。

ただ時々虚しくなるのは、様々な企業のカフェインレス製品を飲んで楽しんでいるものの、豆の種類や焙煎によって味が変化するコーヒーの醍醐味を損なったこと。わたしにとっては物足りなさを感じる要因である。
すごく贅沢だけれど。


たかがコーヒー。
それでも自分の幸せの一部が欠けてしまったらどうだろうか。
多少の喪失感は感じないだろうか。

わたしにとってはコーヒーが幸せの一部で、これからもっと大きな存在になると疑わなかった。
思い通りにならない悔しさで自分の体質が憎たらしかった。


今はいろんなカフェインレスコーヒーを探している最中。
これはこれで楽しい旅だ。
苦しさを拭いきれてはいないけれど、大きな不満はない。

思うようにいかない日の方が多いのが人生で、
それをどう楽しむかが人生。

にっくきコーヒー。
それでもしつこく、付き合い続ける。
わたしが見つけた幸せな時間だから。

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