51.クジラが紡ぐ生態系 part.1

 ペルーで地球史上最大かもしれないの生き物の化石が発見されました。

 でっか!
 それにしても予想図の頭小さいですね。今でも不思議な見た目の生物はいますが、なかなかの珍獣度でしょう。
 現代の動物の骨を見ても元の動物想像できないことも多いですから、それもあるかもしれないですね。

 今回はクジラのお話。それも死後です。
 『鯨骨生物群集』という言葉はご存じでしょうか。比較的最近作られた(?)言葉で約35年前になります。

 1987年に米国カリフォルニア沖のサンタカタリナ海盆(水深1,240m)で奇妙な生物群集が発見された(1)。海底に沈んだ鯨骨 (図1) を基盤とする生物群集である。「鯨骨生物群集」と呼ばれるこの一群の生物は、熱水噴出域や湧水域で見つかる生物とよく似た動物群によって構成されていた。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu1962/45/6/45_6_439/_pdf

 クジラの死体を食べる生き物で一種の生物群が構成されてしまう、ということです。つくづくスケールがでかい生き物ですね。

「しんかい6500」の覗窓から見えたブラジル沖の海底(1)

 深海は栄養が非常に乏しいかつ広大な世界ですので、一か所に何十トン、何百トンという有機物の塊が出現するとそれだけで特異な環境になってしまうのでしょう。上で鯨骨生物群集という言葉が比較的新しいものだと紹介しましたが、ひとえに深海という未知の領域が関わっていたからですね。最近までしっかりとした探索ができていなかっただけです。

 鯨骨に集まる生物が熱水域や湧水域でみられる生物とよく似ていたことも気になるところの一つです。それでいてこの鯨骨の周りにしか見られない生き物も多くいます。謎呼びまくりです。

ブラジル沖鯨骨より出現した無脊椎動物(2)

 変な生き物(褒め)の数々…。地球の謎のほとんどは深海にあるのではないでしょうか。宇宙ももちろん魅力的ですが、もっと身近(物理的)な神秘を探求するのも良いと思います。深海まで200mです。走ったら30秒足らずですよ。

 太陽光が届かない特異な環境にある深海。太陽光エネルギーの届かない条件下で生きていく生き物はそう多くありません。だからこそ生き物の起源の手がかりになったり、はたまた地球外(太陽光が届かない場所)に生き物がいる可能性を探ったりと、過去未来どちらのヒントもあるのではないかと感じています。

 脱線してしまったので、part.2へ続く。


出典

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