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京都滞在記② コンパクトゆえに濃密

2週間のアーティストインレジデンスを終えて、結果的に作品は京都市内と亀岡市の計4ヶ所に残してすことができた。関わってくださった皆様、ありがとうございました!成果物やその展示を求められない滞在ではあったけれど、やはり自分として成果を目に見える形にすることは大事。下の写真はまだ滞在初期、iPhone12Proの3Dスキャン機能を使ってまちなかをスキャンし3Dプリンタで出力するということをしていた時期。狸谷山不動院のタヌキたち。

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今回も時間、物質、場所的制約という限られた条件が自分の制作スタイルに合っていた。2週間という時間の中毎夜寝る前に次の日の計画を立てるけれど実際はとても流動的。京都の人々と街に良い意味で翻弄されながら、軌道修正しながら、粛々と制作を進めていく。

作品に使う素材は全て現地調達。鴨川で拾った石だったり京都の絹糸屋さんだったり、街を歩いていたら見つけた京都出土の漆塗りの器だったり、iPhoneのスキャナー機能で採取したまちなかの植え込みだったり。現地の物がこんなにポンポン手に入ったのは、ひとつに京のまちがコンパクトなことだと思う。現地の方に良く聞かされていた話だったけれど自分の足で歩いてみてそのコンパクトさがよく分かった。碁盤目のまちづくりだし、通りの名前が四条、三条というように数字で表されているから地図を読むのが苦手な自分でも頭脳が追いつき体感的に楽というか。

そしてまた、外部の人間である自分にとって"京都"といって思い浮かべるものの様々が、実際にまちを歩けばそこかしこにあったこと。これも京都に暮らす人々が言っていたことで、自分も京都伝統産業ミュージアムに行ってみて思ったことだけれど、京都には"京〇〇"と頭に京のつく物事が多い。が、実は京都らしいものに定義はないのだそう。その昔、天皇の宮城が置かれ首都であった京の都には全国から様々な良き品質の物が集まってきた。そうしたものを皇室に献上するためさらに良き品質にするために、技術が磨かれた。京都とは何か物の産地というより技術の産地なのだそうだ。京都伝統産業ミュージアムでたくさんの"京〇〇"を見て、正直「なんでも京をつけてしまうのかい!笑」とお腹いっぱいな気分になったのだけど、街歩きをしていてすぐに京都らしいと思えるものに出会えたのも、自分の中に無意識に京〇〇がたくさん蓄積されていたからなのだろう。

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作品の実制作はFabCafe Kyotoで行なっていた。アーティストインレジデンスでの滞在ということで、ここにいるだけでたくさんの方をご紹介いただいた。Fabツールを使用していると隣で制作している人との交流も生まれた。工芸の世界の方々のトークショーも頻繁に催され、この世界の一端にでも触れられたことがまた嬉しい。FabCafeにいるだけで刺激的な人々と触れられた。そういう意味でもコンパクトゆえに濃密な日々だった。

今回の作品構想にあたっては、今後作品を生む際に踏まえたい3つのこと

①地域の素材を使う。時に地域の人と協働する。

②変化変容する作品

③ニットという太古のテクノロジーに最先端テクノロジーを"密やかに"組み合わせる。(テクノロジーを魅せるためのテクノロジー・アートにしない)

を踏まえられたと思っている。①については年始の記事で触れているので読んでいただけたらとても嬉しい。

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作品自体の良し悪しは全く別の話だけれど、今回も自分に合った環境下で作品を作れたことがとても嬉しく良い経験になった。3月20日から予定されている、BnA Alter Museumで開催されるアーティストインレジデンスの成果展にも、ここに残してきた作品を出品することになったのでお近くの方にはぜひ来ていただけたら嬉しい#。詳細はBnA Alter Museumをチェックしてください!

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