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Z級の日々:楽天家の手抜かり

体調、というより脳の調子が良くなったのと、家庭教師先の小学生さんに本をおすすめする義務が発生したのとで、この4ヶ月ほどずっと図書館に通い本を読んでいる。仕事をしていた頃は、読書なぞはコスパが悪いというか、時間がかかる趣味だと距離を取っていた。しかし今はうつ病で休職中の身。悲しいかな、時間だけはほぼ無限にあるので1日の大半を読書に費やしている。

ちなみに、うつの初期症状の状態では、読書ですら脳への負担が大きいので、満足に読めなかった。本が読めるほどに回復して本当に良かった。

さて、地元の図書館には幼稚園の頃から通い詰めているので、「今さら読む/誰かに薦めるようなものなんてあるの?」と思っていたが、書棚をじっくり眺めながら10分歩くだけでも興味を惹かれる本が3,4冊は見つかる。何も考えずに行くとあっという間に貸出上限になってしまう。

いくら有川浩好きのオマセな趣味の小学生さんとはいえ、流石に過激な内容は家庭教師として品位が疑われるので、ジャンルが偏らないよう気を遣いつつ、「あ、これは自分も早く読んでおきたかったな」という本を選ぶようにしている。

ちなみにその小学生さんとの出会いの話はこちら

そんな時にふと、高校の世界史の先生のことを思い出した。授業を途中でやめて、自分の突拍子もない数々の体験(宗教勧誘に興味本位でついて行ってみる、アゼルバイジャンで誘拐されかける、等)を淡々と語り、クラスの爆笑を掻っ攫っい続けたあの先生。その人気はまさにカルト的で、夏休みの特別講習「高麗人参」講義は90分の長丁場でありながら、事前予約で満席になるほど。自分も例に漏れずその「信者」だった。先生がよく授業で、話の脱線ついでに面白かった本を紹介してくれて、みんなで必死にタイトルをメモしたものだ。

そうだそうだ、あの先生のおすすめの本なんか良さそうだ、と早速図書館のパソコンから、蔵書検索にタイトルを打ち込む。が、無情にも「検索条件に一致する資料は見つかりません」という赤字が表示された。

仕方がないのでAmazonで注文しようか、でも折角図書館にいるんだし、取り寄せでもいいかな。
パソコンの横にあった取り寄せリクエストの用紙に、タイトルや著者名など、必要な情報を記入する。用紙は購入リクエストも出来るようになっているが、大体の本は取り寄せで済んでしまうので、購入になることは滅多にない。

書き終えた用紙をカウンターに渡す。「外部図書館の蔵書を調べるので、ちょっと待ってくださいねえ」と、顔馴染みの司書さんが対応してくれた。4ヶ月前に久しぶりに本を借りた時は、「あら、お久しぶりですねぇ、何年ぶりかしら」と気さくに話しかけてもらったのが懐かしい。次々とウィンドウが開かれるデスクトップを眺めながら、今度はどこの図書館から本がやってくるんだろうと、ワクワクしていると、
「あらぁ…?」
なんだか雲行きが怪しい…。
「あの〜、この本、ちょっと古いみたいで、県内の図書館にも蔵書がないから、購入になりそうです、また届いたら連絡しますねぇ」

えぇ〜、こんな貴重な購入リクエスト1冊目が、まさかこの本になるなんて…他の本にしとけば良かったかな………。

(補足)
最近小学生さんにおすすめした2冊です。
・岩田圭介、『宇宙を撮りたい、風船で。』
・ユペチカ、『サトコとナダ』

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