Z級の日々:無音のルンペン

この記事は2021年10月2日にはてなブログに書いた私の記事を一部修正して転載しています。

みなさん、お元気でしょうか。最近めっきり寒くなったせいで、私はまた脳の緊箍児が発動しています。朝が辛いです。
 

ゾンビ、ボランティアを始める

さて、休職から半年が経ち、気候も過ごしやすく体調が回復傾向に向かい始めた9月ごろから、ツテで小学生の家庭教師をするようになった。
体調が良くなったことで、趣味とは言え映画鑑賞にもやや飽きてきた頃、どこか地域のボランティアにでも参加しようかと相談したら、偶然紹介してもらったのだ。
特筆するような趣味は余りないので、そりゃ毎日朝から晩まで映画とYouTubeの往復をしていたら、当たり前だが暇になる。
 

先生として求められるもの

と言うことで、「塾講師のバイトもしてたし何とかなるだろう」と、週に1回の家庭教師をカジュアルに引き受けてしまったのだが、よくよく先方の話を聞いてみると、少し自分には荷が重いのではと不安になり始めた。
それと言うのも、勉強を教える小学生さんが「本の虫」であり、家庭教師に求める最優先事項が「たくさんの本を読んでいること」だった。
今回家庭教師を検討するにあたり、親御さんが「先生にどんなこと(=科目)を教えてもらいたい?」という質問に迷うことなく、「自分が読んでないような本を教えもらいたい」と答えたらしい。
愛読書は「古事記」と有川浩、児童書では満足出来ず、毎月10冊の単行本小説を図書館で借り、本屋では平気で3時間過ごすという猛者の小学生さん。
ちなみに、小学生さんは映画も「一人で行きたい派」という、かなり完成しきったいい趣味の持ち主で、「私も映画は一人で見たい派だよ、感想をしばらく自分で噛み締めたくって」というと、静かにこくこくと頷かれた。小学生さんとは間違いなく生涯の友になれるだろう。

いざ、図書館へ

自分に似ているなあと親近感を覚えつつ、社会人になってからめっきり図書館通いどころか読書の習慣も無くなった私が、一体何を紹介できるのか。焦りを感じて、2年ぶりに「図書館」という空間に足を踏み入れた。

ちなみに私が社会人になって図書館に行かなくなったのは、忙しさ以外に、度々この記事で出てくる件(くだん)の「同期」がここでも原因になっている。
研修で関東住まいをしていた頃、地元とは比べ物にならない規模の図書館が近くにあったので行ったのだが、「図書館なんてホームレスの溜まり場じゃん」と馬鹿にされたのだ。同期は図書館どころか読書すらしないタイプなので、何も考えずに言ったのだと今なら分かる。が、当時の私は真に受けてしまったので、色々考え込んで図書館から距離を取ってしまった。
何だかこうして振り返ると、同期によってかけられた種々の呪いを解くのが私の鬱病治療なのでは、と痛感させられる。

ゾンビ、小学生と心を通わせようとする

話が逸れてしまったが、小学生さんとの話題作りのために私は読書を再開した。小説はもちろん、古典文学に芸術書、科学系とあれこれ手に取っている。人とのコミュニケーションのために自分から努力するのは久しぶりだ。本当に「社会人になってから」という言葉が繰り返されて情けないばかりだが、ずかずかプライベートを踏み荒らされたり、趣味を小馬鹿にされることが多く、他人に飛び込むことを避け、当たり障りない話題で会話を済ませ続けてきた私が、今、自分の意志で相手の懐に飛び込もうとしている。これが「人間」になることなのかもしれない。
 
図書館通いの再開ついでに、かねてからの野望であった「図書分類法の番号順に毎週本を借りる」ということにも挑戦している。簡単に言えば、本の棚ごとに毎週1冊借りて、様々な知識を吸収するということだ。図書館には、歩き回らないと見つからないようなところに魅力的な本があることが多く、こうして網羅的に棚を見るのが楽しいのだ。
 
毎回、授業の最後におすすめの本を2冊、小学生さんに紹介しているが、今のところはとても気に入ってもらっているようだ。もう少し打ち解けてきたら、小学生さんのおすすめも聞いてみたい。
 

(補足)
前回の授業で小学生さんに紹介した本はこちら。
◆岡本裕一郎、『哲学の世界へようこそ。』
https://www.poplar.co.jp/book/search/result/archive/8008263.html
◆山下景子、『オトメの和歌』
https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784625644047

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