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たまごやき日記 0

私はいつまで卵を焼いていられるんだろう。
いつ飽きたり面倒になったりするか分からない、弁当を作ること自体に嫌気が差す日がいつかくる。
それまでに死ぬかもしれないし、仕事がなくなって弁当を作る理由がなくなるかもしれない。
生きるというのは安定とは無縁だ。
だからこそ安定を求める気持ちはみんな持っていて、社会的なあれこれに沿って生きていくことがよしとされている。
私はそれができなかったので、せめて卵は焼きたい。

普通のことが普通にできる人たち、ほとんどの人間に対してすごいな同じ生き物なのかな、と思いながら生きている。
でも普通のことができるようになるには、それ相応の環境とか努力があるからだ。
生まれてすぐに卵が上手に焼ける人間なんていない。
詰まるところ私は、普通のことをできるような環境に自ら身を置かず、努力もしてこなかった。
普通というのは当たり前に与えられるものだと思っていた。
私はただやってこなかっただけのことなんだけど、やってこなかったこと自体がもう普通ではないと思っている。
そうやって自分のことを何とか誤魔化してあげないと、やってられない。

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