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詩『罪状』

「死にたい」と言う少女に聞こえないように「死ね」と言った。
余命宣告を受けた人のブログの更新が止まるのを指折り数えて待った。
夜更けに叫ぶ隣人の言葉をノートに書き留めて狂人か否かを占った。
土下座したホームレスの後頭部を眺めながら雨が降れば良いと思った。
仰向けになり今際の際でのた打つ蝉を側溝にけり入れた。


待ち焦がれてもその時は訪れず。
要らぬ気遣いか。
さもなければ勿体ぶった采配か。
呪詛を求めて勤勉に奉仕してきた。
それではまだ足りぬ、ということか。

詰まらぬ状況証拠ばかりが積み上がる。
鏡の向こう側にあった血だまりは乾き、
ケロイドの痕は惨めな線を引く。
青白い顔した陪審員は退屈そうに賽を振る。
それが証拠の全てだった。

言い残すことはないかと問われ、
生まれてこの方、罪とは無縁だが、
もはや有罪か否かはどうでも良かった。
俺はお前たちが飽くまで永久に控訴する。
そして何度でも吊られるだろう、と。

そううそぶいて、
彼は胸に抱いた赤児の首を捻った。

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