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「最近のV系を語る会」に行ってきたよ 4回目

相変わらず土曜のお昼時に歌舞伎町でタピオカミルクティーを飲んだり、カレー食べたりしながらV系シーンの悲喜こもごもを語り合う超牧歌的なイベント。

前回の話題は「令和元年となってV系界隈はどうよ?」だった。

今回は昨年秋に開催される予定だったのが台風で延期された為、令和元年のV系総括的な感じで始まった。

■時代はサブスクとの向き合い方

去年末にラルクが全楽曲とMVのストリーミング配信を解禁した。

時代の波はV系界隈にも急速に押し寄せている。それに上手く乗る者、様子を見る者、あえて独自の道を模索する者、様々だとは思うが現実問題としてCDが売れなくなっている事実がある。

イベントでも日常におけるサブスクリプションについての話題になった。挙手によるアンケートでも参加者の半分以上は何れかのサブスクサービスを利用して音楽に接していた。僕もSpotifyを使っている。

コアにバンドやアイドルなんかを追いかけている層には、まだまだCDの需要はあるが、それでも大多数は実際に聴く時はデータにして持ち歩く。また、コアに追いかけている層であっても、例えばイベントや対バンなどで観たバンドが少し気になった時には“お試し”という意味でもサブスク上に楽曲が展開されている方が、今の時代はありがたかったりする。

最近はライブ後にサブスクでセットリストを公開しているバンドも出てきているらしい。これは素晴らしい試みだと思った。逆に言うと手軽に聴けるサブスク上に無いというだけで、まず「知ってもらう」という機会の重大な損失となってしまっていると思う。

だが、サブスクは正義か?といえばそうではない。cali≠gariの青さんが新譜のインタビューで切実なバンドの裏事情を告白しているのが話題になった。

読んでもらえれば分かるのだが、とにかく単価がシビアだ。10曲入り3000円のアルバムをサブスクで同じように利益を出すには3000回くらいは聴いて貰わないと難しいらしい。

グローバルに展開している海外アーティストのように分母が巨大じゃないと、とてもじゃないが商売にならない。

壇上のスクリーンに「Spotifyの今月のリスナー数」が紹介された。

どメジャーで満を持して解禁されたラルクで35万ユーザーくらい。これがどれくらいかといえば、韓国のグループ防弾少年団は1000万ユーザーくらいだったようだ。桁が違う。

ラルクでこれなんだから、日本のほぼ全てのバンドは太刀打ち出来ない。日本国内のシェアだけでは最早ビジネスとしては難しい。いかに「海外から発見されるか」が重要になってきている気がする。

BABYMETALとかが良い例なんじゃないかな、この辺。

ビジネスとしては難しい。だが、特に若手バンドなんかにとっては、まず聴いて貰う、知って貰わないことには始まらない。

「若手こそサブスクなんじゃないか」

という事で、若手で積極的にサブスクを取り入れ始めたHAKLOが紹介された。面白い試みなのが、サブスクでベストアルバムを作って入門編として配信している。

こういうのは面白いと思う。

サブスクの良いところ悪いところ、様々な分野で広がるサブスクの波だが、音楽の分野でどうやって広がって定着していくか。

ここで今回は客席にも意見を聞くコーナーが突如始まって、Spotifyじゃないサービスを使っている方が「摩天楼オペラ関係が充実している」的な理由から使っている事やラルクが解禁した事で、関連のイベントに行く時に「予習が簡単に出来るようになった」等、サブスクの利点を紹介。セッション系のイベントなんかで知らないバンドの曲があっても手軽に確認出来るのは良いですよね、というディスカッションが繰り広げられた。

イベントの途中でディスカッションが始まる展開も良いですよね。

■復活・凍結・脱退

復活といえばNIGHTMARE。という事で来月2月11日に横浜アリーナで活動再開をするメアの話題。「もう、来月ですよ。早い」という藤谷さんの言葉に全力で「わかる!」とわかる棒を揚げる。満場一致で「良かった。良かった」という雰囲気。

だがここで「最新アー写の咲人の布が少ない」問題が勃発。「復活前より布が少ないなんて最高じゃないか」というオザキさんの言葉は全咲人ギャ共通の見解だと思う。

「布が少ないアー写、出ます?」とアー写を壇上で探す展開になったが、「布、布、布が少ない」と呟きながら探す光景はシュール。なかなか見つからなくて当日は断念したけど、これですね。

個人的には「YOMIの顔の両サイドの布」問題も気になっている。

宮城県出身バンド繋がりという事で、RAZORのドラム哲也(宮城県出身)が脱退した話題。ただ、繋がり的にはどちらも事務所がC-block繋がりでもあるのよね。活休中はNi~yaがソロプロジェクトでお世話になっていたし。

11月30日の赤坂BLITZは入り切らないくらいの大勢のファンが詰めかけたらしい。沢山の人に見送られ、ステージ上には見たこと無いくらいの高さの台にドラムセットが組まれ、どこからでも哲也が見られるようにと演出されたようだ。

とにかくメンバーの雰囲気も会場の熱気も、全てがエモくて良い脱退ライブだった、というか「卒業式みたいだった」というのが印象的に感じた。確かにバンドの脱退ライブでなかなか清々しさや暖かさって出そうで出ない。

そして年末、R指定の凍結が発表された。

あまりにも急な発表だったので、年末にV系界隈には激震が走った。僕も縁あって行く予定があり、凄く神妙な気持ちで両国国技館に向かう事となった。

「バンドの停止ライブで、あんなに綺麗なものは観た事ない」

そう藤谷さんが感想を言っていたが、本当に綺麗な、もうバンド凍結の理由に直結するが、本当にこれ以上無い完璧なライブだった。

この段落の最後、謎のメモが残されている。

推しが肉を焼いている

なんだっけ?これ。なんか元バンドマンが焼肉屋かなんかやってて、どうのこうのな話があったが完璧に失念。謎のメモだけが残っている。まるで自由律俳句みたいだ。

■ヴィジュアル系とヒップホップ

休憩を挟んで後半戦。

令和元年の話題といえば「ヒプノシスマイクへLeetspeak monstersが楽曲提供」の快挙だろう。

このニュースを知った時は、バンドが日の目を見る瞬間というのは予想もしない所からやってくるもので、愚直に真摯に音楽と向かい合っているとチャンスの神様は現れるものなんだなぁと感動した。

確実にLeetは今後、ヒプマイのイベントへゲスト出演もあるだろう。何万人もの前でライブパフォーマンスをする機会が得られる。すごいことだ。

すでにYouTubeのコメント欄もヒプマイからの新規が続々と書き込んでいる。拡がりとは双方向だ。アニオタからV系へ、そしてバンギャルもまたヒプマイの沼へ引きずり込まれている。

■𝙲𝚊𝚣𝚚𝚞𝚒'𝚜 𝙱𝚛𝚞𝚝𝚊𝚕 𝙾𝚛𝚌𝚑𝚎𝚜𝚝𝚛𝚊

令和元年はソロプロジェクトも活気に満ちていた。という話からiCONEさんの話題。

ちょっと変化球な感じだけど、最近のネット文化にシッカリと沿ってTikTokなんかにも積極的で、バンドのてんさいとかのアートワークやってたりと才能の塊みたいな若手が出てきている。

ラップのフローもKpop要素も入ってて今風全開。

からのソロと言えばでCazquiさん。元ノクブラのCazquiさん。ソロやってるのは知ってたけど、聴いていなかったから流れた音源聴いてたまげた。

超好みだった。

ヴォーカルが架神さん(DEXCORE)、ベースが太輝さん(DEVILOOF)、ドラムがZyeanさん(JILUKA)でギターにCazquiさんでしょ。そらそうだ。好きよ、そんなの。

現代の凶悪な音を奏でる猛者達が一堂に会した夢のようなプロジェクトだった。こういう通っていなかったのが知れるのも語る会の醍醐味だ。

ノクブラといえば、Cazquiさんと共に脱退したDaichiさんのソロプロジェクトも紹介された。

こちらはCazquiさんともまた違う、趣のある「浸れる」感じが良いですね。それぞれビジュアル含めて“山と海”で全然方向違うけど、どちらも素敵という話で締められた。

■令和元年は終盤に名盤が

DEZERT「black hole」はこれまでのDEZERT全部乗せという感じで、今までの総決算的な音作りの多彩さが全面に出ている作品。神谷さん的には『感染少女』がオススメという事でした。

YouTubeに全曲トレーラーがアップされているけど、Spotifyにはフルでアップされていたりもするからすぐに聴いてみた。たしかに多彩。

続いてLUNA SEA「CROSS」の紹介。

30年間ずっとセルフプロデュースで制作してきたLUNA SEAが初めて外部プロデューサー(しかも海外から)を招聘した事でも話題になったアルバム。30年という年月を重ねて、デビュー当時より今の方がこんなに澄んだ美しいサウンドになるバンドなのが凄い。良いスピーカーで聴くと、しみじみ良い。という総評だったが、本当にRYUICHIさんの歌声が澄み切っていて、冬の満天の星空のようだと思う。

それぞれアルバムの中で好きな曲を登壇者が言い合って、まあ結論「全部良い」に落ち着いたけど、個人的には『宇宙の詩 ~Higher and Higher~』が大好き。「機動戦士ガンダム THE ORIGIN 前夜 赤い彗星」の主題歌としてテレビから流れてきた瞬間、全身に鳥肌だった。

なんかシャアの孤独、怒り、悲しみ全部がRYUICHIさんの歌声と共に伝わるようで、圧倒された。なんでしょね、このバンドは。

最後にNEVERLAND「PSYCHEDELIC」をオザキさんが紹介。

元々オシャレなトラックにメロディアスなサウンドを乗せるバンドだったのが、よりスタイリッシュで現代風になってきた。更に歌い方も少しウィスパーで甘い歌唱法になってきたのがポイント。という事で、確かにしばらく聴かないうちに雰囲気変わった。

■休憩中の金爆

紅白に出なかったけど、年末年始でゴールデンボンバーはテレビで爪痕を残してたという話から、『首が痛い』が流れ出す。

ライブで暴れて色んな箇所が痛い、だけでこんな面白い曲になっちゃうのはやはり天才なのかもなぁと観ながら思う。

『LINEのBGMにしてるとモテる曲』も、ただただ巫山戯ているのにMV300万再生しちゃってるんだもん。あらためて鬼龍院翔という才能は正当に評価するべきだなぁと思った休憩中。

■神谷さんの深読み話

・ザアザア『普通の恋』
・キズ『黒い雨』
・ゴールデンボンバー『さらば』

神谷さんから3曲が解説された。共通するのは「誰宛の曲なのか」という事。ザアザアだったら「スタンダードな恋愛に乗れなかった人」であり、キズは「罪悪感の強い、感受性の強い人」、ゴールデンボンバーは「鬼龍院翔自身」を歌っている。

後悔だったり、罪悪感だったり、不幸の先に何かあるんじゃないかという、そういう感情の反対側に見えるであろう事を歌った3曲。

特にゴールデンボンバーの『さらば』は、すごく綺麗なバラードで、こういう引き出しもキリショーさんは持っているんだというのが、ずるいなぁと思ったりした。

詳しくは神谷さんがYouTubeにも解説動画をアップしているので。

■参加者も登壇して語る

今回も最後はお客さんも登壇して、お薦めバンドを語るコーナー。蘭図(たまに森羅万象でREIGNと対バンしているので知ってる)をお薦めしてくれた方、RAZORの哲也脱退が発表されたライブのトラウマ話やキズ『黒い雨』絡みで広告展開の話があったり、DOFでソロ活動しているのに全然告知していないから誰も知らないyuyaさんの赤羽での話も面白かった。

特に印象に残ったのは栃木の白塗りバンド、便所の草。なんて名前だよ、と思ったが、ライブカメラマンでもある登壇者の方が実際に撮影したアー写やライブ写真なんかも交えながら紹介。

でも今は活休しているようで、気になったんだけど残念。

僕は復活したナイトメアの事とR指定の活休ライブに行った話をしたけど、せっかくだから桂りょうばさんの話したら良かったかなぁ。短い時間でまとめられるか自信がなかったので止めたんだが……やっぱり話したかったので、note貼っておきます。

という感じで内容も盛り沢山な楽しい3時間のイベントは終了。今回はタピオカミルクティーも飲みました。






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