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ビートルズとMRIの意外な関係

久しぶりにMRI検査をした。何年ぶりだろう。前回は偏頭痛が酷くて頭痛外来へ行った時に念の為、と言われて検査した。初体験だった。そして、その時に自分が軽い閉所恐怖症だという事を自覚した。

MRI検査をした人は分かるだろうが、特に頭の検査の場合は頭部が動かないように完全に固定される。それがまず辛い。そして顔全体も装置で覆われ筒状の機械に胸の辺りまで入れられる。この、機械に入れられる瞬間が一番怖い。「あ、もう見動き取れない。息も出来ない」そんな気持ちになる。生きたまま棺桶にでも入れられる気分だ。

落ち着く為に深呼吸をする。目を閉じ深く息を吸う。すると医者から「動かないでくださーい」と無常の通告。浅い呼吸が、恐怖感を増すのに。

そんな状態に追い打ちをかけるのが、頭の周りで繰り広げられる大音量の機械音。まるで耳元でボーリング作業を色んな方向からされているような不快極まりない騒音が鳴り響く。僕はこの音自体は大丈夫なんだが、ダメな人は合わせ技でギブアップしてしまうだろう。

なんで医療技術も進歩しているのに、あの不快な音とかは改善されないんだろう? 不思議だ。

前回は本当にギリギリ耐えた。もう後1分長く検査が続いたら右手に握っていた緊急ボタンを押していた。地獄だと思った。

そして今回は通っている大学病院で受ける事になった。けっこう最新設備になっているらしい事は知っていたが、まず検査室が広かった。そして部屋全体の壁紙がアメリカの子供部屋みたいな青空のイラストだった。更に大音量でビートルズが流れている。

「Love Me Do」がエンドレス再生されている。

なんでだろう? でも、この青空の壁紙とビートルズのおかげで前回よりも心の余裕を持って望めた。目を開けると見える隙間から青空が広がっている開放感。そして陽気なビートルズ。不思議と心が落ち着いた。

ビートルズには癒やしの効果でもあって、だから流しているんだろうか? 気になって帰りに調べてみたら驚きの関係があった。

MRIはビートルズのヒットによって生まれた⁉

ビートルズは世界中で愛されたバンドですよね。それによってレコードを出していた英国のEMI社は大儲けしたんです。そしてそのお金を使って、医療用のCTスキャナを発明し、商業化に成功した。

ビートルズのヒットによって研究費が生まれCTが進歩していき、その技術が輸出されて当時まだ商業化されていなかったMRIも世界中に広げられたらしい。ビートルズがいなかったら現在のMRIは存在しなかったのかもしれないのだ。

そういえばダニー・ボイル監督の新作が「ビートルズのいない世界」を描いた作品だが、あの世界にはMRI技術は無いのかも。そう思うと俄然、映画にも興味が湧いてくる。見てみようかな。

しかし、そんな背景を踏まえてビートルズを検査室でずっと流していたんだろうか。

なんてオシャンティで粋な演出なんだろう。

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