息が詰まる毎日だけど、息が詰まるような『進撃の巨人』が今、面白い。
『進撃の巨人』が凄い。最新31巻がとんでもない。
多様性なんて糞喰らえだと言わんばかりの排他的な選民思想と差別、排斥、ヘイト、過去の呪縛に正義という名の暴力と負の連鎖。現代社会の闇の部分を剥き出しの状態で見世物小屋のように読まされているような居心地の悪さで吐き気がする。
諌山創という漫画家はとんでもないマンガを生み出した。
30巻で一気にクライマックスへ突入し、その衝撃に惹き込まれ貪り読んでいるのだが、全く心が追い付かない。一周半くらい回って正義と正義がぶつかり合いながら新たに生まれた正義に立ち向かうべく共闘していく。
世界中のファンが『進撃の巨人』を読んでいる。そしてアニメを視聴している。前に海外のリアクション動画で、黒人女性がアニメを見終わった後に泣きながら「これは私たちが受けているものだ」と呟いたことがあった。すごく身近な問題として受け止める人たちが海外には多い。
日本人はどうなんだろう?
ある意味で今の展開は日本と韓国、中国などの関係とオーバーラップする部分が多い。互いのヘイトで本質が見えず、過去に捕らわれて身動きが取れないもどかしさに正論で殴り掛かってきているように感じる。
「まだ話し合っていない」
最初期に居たエレン達の同期のマルコが死に際に残したセリフ。これが今になって重要なキーワードとして出てくることに感嘆すらしてしまう。どこまで最初から考えていたことなんだろう。伏線の張り巡らせ方の狂気さが怖いくらいだ。
31巻の戦いは凄惨という言葉では片付けられないレベルで辛く、醜く、酷い。もはや誰も未来の幸せなんて想像できないし、誰が得するのか、何のために戦っているのかすら分からない。
だが、これが長い歴史の中で培われてきた連鎖の結果なんだろう。
翻って現実の世界はどうだ。
未曽有の疫病が蔓延したポスト・アポカリプスへと進行している世界において分断化が始まるのか、それとも団結して立ち向かうことが出来るのか。平和な日々なんて戻らないんじゃないか。まさかこんなにリアルな感情で読むことになるとは連載当初は思いもよらなかった。
諌山創という漫画家は本当に恐ろしい。
こんなにシリアスで危機的な状態の最終局面にあって31巻の続きがそのまま2話も読める別冊少年マガジン最新号の表紙で、これでもかと最高にふざけている。
なんでサウナに仲良くみんなで入ってんだよ。そんな場合じゃないだろ。そう思いながらもKindleで購入して一気読みしてしまった。
早く続きを。。。
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