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ドラマ『ふたりモノローグ』でソーシャル・ディスタンシングを学ぶ。

コロナ禍において、啓蒙的な映画として『コンテイジョン』が話題になった。9年前の映画だが、未知のウィルスによる世界的なパンデミックによるパニックを描いており、その内容が現実の状況と酷似しているという。

確かに「ソーシャル・ディスタンス」とか今や毎日のように聞く単語も沢山出てくるし、感染経路のリアルさやギリギリな対応策の取り方も現実と同じだ。だが、もはや以前よりも「そらそうだ。そんな対応じゃダメだわ」という冷めた気持ちにしかならなかった。

数あるゾンビ映画や『ウォーキング・デッド』みたいな作品の方が感情を揺さぶられると思ってしまうのだが、それは斜に構えすぎだろうか。

で、たまたまAbemaTVで暇つぶしのドラマとか探していた時に見つけたのが『ふたりモノローグ』という6話完結のドラマ。公式YouTubeに1話がアップされている。

原作はサイコミで連載していた百合漫画。全6巻で完結している。そしてドラマも2017年にAbemaTVとTOKYO MXのみで放送という超局地的な配信だったので、今まで知らずにいてしまった。

気になったので原作も読めるかなと思ったら、なぜか先月末で配信停止になっててKindleとかも消えてしまってた。なんでだろ?

ドラマは全6話しかなく序盤の序盤しか描かれていないようだけど、それでもとても面白かった。

いい距離感。

そんな言葉がしっくりとくるドラマ。

小学生の時に親友となったふたりだが、すれ違いの末に離れ離れになる。離れている間に、ひなた(福原遥)は極度のコミュ障、みかげ(柳美稀)はギャルに変貌していた。

みかげはひなたのことが小学生の頃から大好きだった。その歪んだ愛情が突然の離別という切っ掛けでダークサイドに堕ちて肥大化。高校で運命の再会をしたが、自分が「みかげ」だと言い出せずに半年が過ぎていた。

ひなたも小学生の頃の面影はなく物凄いコミュ障になっていた。いつも下を向いて生活していたので、隣の席に座っているギャルがかつての親友「みかげ」だと半年間まったく気が付かなかった。

1話で突然、ひなたがみかげの存在に気付く。

そして、一気にふたりの距離は近づく……と思いきや、お互い意識しすぎて(思い込みと負い目で)おかしな距離感になってしまい、ふたりのもどかしい思いのモノローグを繋ぐ形でドラマは展開していく。

お互いがお互いを思いやり、自分が相手にとって不快になっていないかという必要以上の心配で、気持ちは通っているのに距離は開いていくという、まさに「ソーシャル・ディスタンス」「ソーシャル・ディスタンシング」をナチュラルに実行しているのが面白い。

これ、今だから余計そう思うのかも。

なにより、ひなた役の福原遥が良い。最近は女優だけじゃなく声優としても色々活躍しているだけあって、とにかく声質がよく(アニメ声)て可愛いし、キョドった演技も上手い。そして、みかげ役の柳美稀もサイコな狂気さを爆発させている。

彼女は『賭ケグルイ』でも一番のヤバい役を熱演している。こういうの上手い人ってサスペンスでもコメディでもハマっちゃうんだろう。

シチュエーションも演出も異質なドラマだけど、演技派かつビジュアルも良いふたりだから成り立っている。そして、とても淡々と進む短編集のような構成も心地が良かった。

「人との距離を取りましょう」と言われているご時世だけど、ただ距離を取るのではなく「思いやりを持って」離れることが大切なんじゃないかと、ぼんやりドラマを見ながら思わせられた。

まあ、勝手に思っただけではあるが。

AbemaTVで全話無料で観られるし、1話20分ほどの短さなのでサクッと観れるし、6話視聴完了した瞬間に続きを欲してしまうこと必至だろう。

ところで、このドラマのOPは元NMB48の山本彩が歌っている。この曲がすごく良い。あんまり48系は聴かない人間だけど、彼女はミュージシャンとしても素直に良いと思える。しかも作詞作曲も本人がしているからすごい。

主題歌も飛ばさずに是非とも観て欲しい。良い百合ドラマでした。




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