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北川莉央の強気なエビデンス

モーニング娘。'20待望のニューシングル『純情エビデンス』のMVが公開された。

作詞作曲つんく♂、編曲平田祥一郎というゴールデンコンビによるほぼ打ち込みオンリーで作られたであろう今作は、つんく♂曲というより編曲のヒラショーっぽさが全開となっている。

それは、いい意味でも悪い意味でもクセのない曲という第一印象だったんだが、MVを観てガラッと印象が変わった。

MVを撮影したのは森田亮監督。ハロプロでは、つばきファクトリーの『I Need You ~夜空の観覧車~』で初めて関わり、『今夜だけ浮かれたかった』なども撮影している。

既存のハロプロMVとは一線を画した「メンバー個々の表情を大切にする」映像が評判だ。

最近ではアンジュルムの『限りあるMoment』も監督している。

ドローンも多用し、上下左右は勿論のこと画面の奥行き感も交えてダイナミックな映像を作られていて、それがハロプロメンバーの迫力ある「強さ」にマッチしている。森田監督は、けっこう制約の多いハロプロのMV撮影のなかで、最大限に新しいことを毎回盛り込んでくれる意欲的な若手映像クリエーターだと個人的に全幅の信頼を置いている(偉そうだ)。

そんな森田監督がはじめてモーニング娘。のMVを作られた。感想は「とても良かった」のひと言。森田監督はアンジュルムの『限りあるMoment』でもそうだったが、光と影のコントラスト表現が上手い。メンバーの美しいシルエットやキレのあるダンスを印象的に切り取ってくれるのが素晴らしい。

今作でもそれは遺憾なく発揮されており、またソロカットでのメンバーの切り取り方も画面に対して横位置でレイアウトするなど、視覚的なメリハリも多彩である。

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そんななか、今作で個人的にも世間的にも評判になっているのが15期メンバー北川莉央だろう。

15期の躍進と北川莉央

僕はアンジュルムを中心にハロプロを見ているので、日々隈なくモーニング娘。を追っているわけではないのだが、それでも15期メンバーの躍進には目を見張るものがある。今年はコロナの影響で各グループのコンサートもハロコンも出来なくなり、代わりにメンバーソロでの歌唱機会が増えたことで普段あまり観ることのない個人個人への注目度が増した。

以前「ソロフェス!」の感想でも触れたのだが、本当にモーニング娘。15期は素晴らしい才能と個性に溢れている。

特に気になるのが北川莉央だ。

加入当初は年少組ふたりの個性に埋もれがち、歌もダンス(ダンスはその場ジャンプすら出来なかったという)も未経験の高校生で、「ビジュアル担当で加入したのかな?」なんて穿った見かたをしてしまっていた。正直、モーニング娘。の新メンバーに対して嫉妬することも、ここ数年なかった。アンジュルムやJuice=Juiceの新メンバーの方が「強い」と思っていた。

それがハロコンやモーニング娘。の単独コンを観るたびに15期がキラキラと輝きを増し、ポンコツだと思っていた北川莉央がグイグイと存在感を増してきた。常に追っているわけではないので「何があったのか?」理由は分からないのだけど、とにかく北川莉央という女性は、モーニング娘。の新メンバーとして僕が久しぶりに感動するレベルの逸材であった。

研修生制度の功罪

近年、ハロプロは研修生からの昇格がメインとなっており、それはそれで即戦力の安定感があって良いことなのだが、どうしても若い頃からハロプロに染まっている為に没個性になりがちでもあった。

これはサッカーにおけるユース制度にも通じるが、画一化されがちな教育制度の弊害で突き抜けた個性が消えてしまうことが往々にしてある。個よりも集団を優先してしまうのは日本特有なのかもしれない。

そこで大切なのが外部からのオーディションによる新風だ。アンジュルムでいえば上國料萌衣、伊勢鈴蘭という今や次世代アンジュルムのエース争いをしているメンバーは2人ともオーディションによる加入だ。一番若いグループであるBEYOOOOONDSも里吉うたの、平井美葉、小林萌花の3人は伊勢鈴蘭と同じONLY YOUオーディションを経て加入した。

いわば中途採用の子たちなのだが、彼女たちは全員が逸材だ。

なぜオーディション組は逸材が多いのか。ひとつには学生生活を普通に送っていたことが大きいんじゃないだろうか。特殊な環境下であるハロプロでは、どうしても上下関係が中心となり同世代での生活よりも「社会性」や「協調性」が必要となる。

だが、学生生活を送るなかで養われる「協調性」は、もっと緩いものだ。今の学校だと「個性」を尊重する風潮も強いだろう。また、そんな生活の中で「アイドルになろう」と思うくらいだから、自分というものを持つ(意識する)力も普通より強い気がする。

なんだろ、よく例えられるがハロプロはミッション系の全寮制スクールのような隔離された環境で、そこに公立高校から転校してくるような感覚がオーディション組にはある。

なんかそんな内容のマンガとかラノベをよく見かけるが。

ここが凄いよ北川莉央

北川莉央という子は主人公っぽさがある。お嬢様でドジっ子で、時に年下にはお姉様っぽい振る舞いもありつつイジられキャラだけど、やる時はやる子。たまに見せる「憂い」もハッとさせられる『セーラームーン』の月野うさぎ感があると思うのだ。

「ああ、この子は本当はプリンセスなんだな」

そんな想いで周りが自然と集まってくるカリスマ性も備えている。それは天性の才能なのか分からないが、この先に待ち受けるモーニング娘。の世代交代のなかで北川莉央という子が特別な位置に来るであろうことは想像に難くない。

『純情エビデンス』のアウトロで力強くも妖艶なダンスを魅せる北川莉央に僕は完全ノックアウトされた。あまりに素晴らしいカットだったので、スクショを載せつつ解説したい。

まずスタートは画面左に腰だけを映し

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躍動する腰からカメラは顔へPANし美しい表情が見えてくる

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そのまま挑発的に見下し左手で誘惑(ここがまず良い)

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ニヤリと不敵な笑みを浮かべ(更に良い)

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ここでグッと溜めながら下唇を噛むのがポイント(小悪魔)

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スパっと左手を振りぬきつつ右手でリズムを取り(緩急を表現)

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一気に右手を振りぬいて(この時も下唇噛みしめて挑発的)

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最後はズバン!と髪を振り乱して後ろを向く

わずか2秒ほどのカットなのだが、この2秒に「可愛く、美しく、妖艶で、挑発的で、気高い」北川莉央の全てが詰まっていると言っても過言ではないと思うのだ。

そりゃね、この直前の佐藤優樹による「可愛いでしょ」も確実にコンサートではヲタがワーキャー発狂すること間違いなしだと思う。

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『What is LOVE?』における「Is it necessary?」と同じくらいの破壊力だと思う。とても素晴らしい佐藤優樹節だと思うが、僕はこのMVにおける一番のインパクトは北川莉央に贈りたい。モーニング娘。の新時代の幕開けを感じさせる15期に贈りたい。

モーニング娘。には「6期最強伝説」が存在している。

僕も6期こそが最強であり究極かつ至高だと信じてやまないヲタクだ。だが、15期の3人こそ最強と言われた6期の個性を超えていく世代なんじゃないかと最近考える。あの伝説の横浜アリーナでの『大きい瞳』を超える可能性を秘めた子たちなんじゃないかと夢想する。

モーニング娘。にそんな子たちが現れたことを幸せに思うヲタは多いのではないか。

同時に「だがしかしアンジュルムの新メンバー3人だって逸材だぞ!」とアンジュルムヲタである僕は声を大にして言って締めたい。アンジュルムも素晴らしいのだ。JuiceもつばきもBYOOOOONDSも全部違って素晴らしい。

そう、ハロプロの未来は明るい。


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