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アメリカの公立高校では今 -「オンライン学習」への移行に向けた努力- その1


 日本では、3月初旬から新型コロナウイルスの感染拡大防止策として全国の大半の学校が休校になった。他方、私が暮らすアメリカ東海岸の州では、3月12日木曜に州知事の決定により、一日の猶予しかないまま、翌13日金曜を最後に学校閉鎖となって1か月が過ぎた。教師も生徒も十分な準備がないまま、先の見えない長いトンネルに入ったようなものである。

 新型コロナウイルスの蔓延により、急に世界中で「オンライン授業/学習」を導入する動きが出ている。ついこの間まで、当たり前のように生徒が学校に通い、教室で授業を受けていたのに、学校閉鎖になったからと言って、すぐにオンライン授業に切り替えられるものなのだろうか。これから何回かにわたり、アメリカの公立高校に通う子どもを持つ一人の保護者という立場から、カウンティ(地方自治体)教育委員会の公開情報を元に、公立高校のオンライン学習への移行プロセスについてまとめ、考えてみることにする。

 アメリカの初等・中等教育行政は地方分権であり、具体的な教育制度やカリキュラムなどは、国(Federal)より州(State)レベル、それより下のカウンティ(County)に大きな決定権が委ねられている。そして保護者への情報公開が徹底して行われているのだ。そのため、こうした緊急事態が起こった際も、あらゆる手段を使って情報共有がなされている。逆に、あまりに多い情報の洪水に、一体何が重要は情報なのか、すぐにはわからない場合が多い。ただ、どんな長いお知らせを受けても、最終的にカウンティが目指すのは「学習の継続(Continuity of Learning)」だということはよくわかる。

 突然の学校閉鎖が起こってから最初の2週間は、雪やその他悪天候の日の臨時休校と同等の、緊急閉鎖(emergency closure)扱いとなり、学校から生徒への学習連絡他は一切行われなかった。しかしその間、カウンティの教育委員会は、新たな学習継続モデルとしてオンライン学習を始めるべく準備が着々と進められ、その進捗状況が教育委員会のウェブサイト特設ページ(Continuity of LearningおよびCoronavirus (COVID-19) Information)をはじめ、保護者宛のメールや電話、公式ツイッター、公式フェイスブック、に随時挙げられていた。

 カウンティとして「学習の継続(Continuity of Learning)」を掲げ、そのために何を、どのように行ってきているのか。次回のコラムで詳しく書くことにする。

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