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AIシンガー全盛だからこそ身にしみるVOCALOID(ボカロ)の良さ

今回は音声合成ソフトの話です。

それはAIきりたんから始まった

2020年2月。
それはちょっとした事件でした。

AIきりたん爆誕。

上がっている動画を観てみたら、そこには生身の女性シンガーがいました。
自然にしゃくるし、サビでは力強くドーン。

嘘だろ、と全国5000万人のDTMerがつぶやいたとか、そうでないとか。

間違いなく新時代の到来を感じた瞬間でした。

その後も勢いは続く

AI系の音声合成ソフトは、NEUTRINO、Cevio AI、Synthesizer Vなどがあります。
それぞれ、無償or有償、エディターの有無、対応OSなどに違いはありますが、音声ライブラリーをかませて歌ってもらう、という基本線は変わりません。

ライブラリーもどんどん追加され、今やAIシンガー全盛期と言っても過言ではないと思います。

みなさんの楽曲を聴いてみたらば、すごくいいですもん。

それまでピアプロスタジオを使ってボカロ曲を地道に作っていた僕も、AIシンガーには前のめりになりました。

どのくらい前のめりになったかと言うと。
上記に挙げたソフトは全部導入。

お、ここで突っ込みが一つ入りました。

「あれ? ぽとふさん、Macユーザーやん。CevioはWin専用では?」

すみません、AIシンガーのためにWindowsマシンを買いました…
(Parallels Desktopではうまく行かず、「どうせ仕事でも使うだろうし」と言い訳しながらドスパラでポチりました)

おいおい、ですよね。

そして2022年8月現在、AI音声合成ソフトによるフル尺の曲は一つもできてません。

惨敗です。

AIシンガーは難しいです

AIシンガーに関しての評価をざあっと拾ってみると、概ね高評価です。

・とにかく歌が自然、人間っぽい
・ベタ打ちでも驚くほどナチュラル
・NEUTRINOは使い勝手に難ありだが、Cevio AIやSynthesizer Vは使いやすい

…と言ったところでしょうか。

しかしですね。
実際に使ってみると、なかなかどうして上手くいきません。

以下、トライしてみて「むずっ」と思ったところを箇条書きにしてみます。

①AIシンガーは「人間」なので、ボカロに比べると音域がずっと狭い
②ピッチが不安定
③普通に歌ってほしいところで、妙に力が入ったりする
④ソフトによってはプラグインとして使えるけれど、バックトラックを聴きつつ、1音ずつ声を確かめながら作っていくのは困難(詳細は後ほど)

こんなところです。

さて、上記④について。
ボカロ(ピアプロスタジオ)と上記3つのAI音声合成ソフトを簡単に比較してみたいと思います。

【プラグインとして使えるか】
 ○ ピアプロスタジオ
 × NEUTRINO
 ×  Cevio AI
 ○ Synthesizer V
 

【1音ずつ音声で確認できるか(入力してすぐに確認できるか)】
 ○ ピアプロスタジオ
 × NEUTRINO
 ○  Cevio AI
 × Synthesizer V

自分にとっては、上記2点が非常に重要で、その2つともクリアしているボカロ(ピアプロスタジオ)は、何よりも代えがたい頼れる相棒なわけです。

歌メロをMIDIで打ち込んで書き出して、という手間が省けることは本当にありがたいですし。
DAW上で歌メロと曲を同時に作っていける(歌詞も同時に流し込める)というのは、一度慣れてしまうと他のやり方になかなか馴染めません。

もう一つ付け加えると。
特にNEUTRINOやCevio AIは、実際に歌わせてみるまで「感じ」がわからないので、DAWとエディターとの行ったり来たりが多くなり、制作にかかる労力が大きく感じます。

肝心の歌はどうなのか

さて、ここまで主に使い勝手を中心に論じてきましたが、肝心の歌はどうなんでしょうか。

これは、好みによるところが大きいので、どちらの勝ちと言えません…とだけ書いて逃げるのが楽なんですけど、それじゃつまらないので本記事ではボカロを援護射撃したいと思います。

ボカロとAIシンガーを比較した場合、
「ボカロは歌い方が不自然に聞こえる」
「ボカロ曲は無理な高音域を歌わせているのが多くて好きじゃない」
といったご意見が聞かれます。

まあその通りではあるんですけど、調声次第ですし、何よりベタ打ち段階での仕上がり具合(安定感)はボカロに軍配が上がると思います(あくまで個人的意見です)。

もう一つボカロの利点としては、(ライブラリによって違いはあれど)歌声のテイストが複数準備されている点です。

例えば初音ミクなら、ORIGINAL・SWEET・DARK・SOFT・SOLIDの5種類あり、これを切り替えるだけで結構印象が変わります。

なので、あくまで僕の感想ですが、短時間でイメージに近い形に仕上げようとするならボカロの方が向いていると思います。

最後に

自作曲の同じフレーズをボカロやAIシンガーに歌わせて比較してみる、という企画で締めようと思いましたが、それだと「Jリーガーにフォークボール投げさせたら、全然落ちないんだわw」という悪趣味なものになってしまいます。

なので、「ボカロも捨てたもんじゃないですよね?」という気持ちを込めて、なかなか良くできたと自画自賛の自作曲を貼って終わりにしたいと思います。

↑「作者も何を言ってるか分からないシリーズ」です。
 ビブラート控えめが筆者の好みです。

↑そんなに時間かけて調声していないのに、何この可愛らしさ!?

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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