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親知らずとオランウータン 2

はじめて親知らずを抜いてから3か月。先日もう1本の親知らずを抜歯した。1本目と同じ真横から生えている左下の親知らず。

前回の親知らず、あんなに恐れていたのにあまりにも簡単に抜けて安心していたが、いやいや、今度こそ大変だという気持ちと今回も大丈夫だよ~という気楽な気持ちが同居していた。

前回持って行ったオランウータンのぬいぐるみは迷ったけど一応バッグに忍ばせた。

前回と同じくレントゲンを撮り、麻酔が効くまで待つ。今回は先生が「覚悟できてますか?」と聞いてこない。あれ?意外と今回も順調にいくのか?と思い、オランウータンは出さずにバッグの中にいてもらう事にした。

口の中に器具が入る。ガリガリガリガリ。前回このあたりでもう抜けたはずだ。ガリガリガリガリ。痛い。口全体が痛い。歯も痛い。左手を挙げると、麻酔を追加してくれた。

すぐに続行。ガリガリ。先生が「全然抜けん」と小声でつぶやく。不安になる。ガリガリ。まったく抜ける気配がない。痛い。痛い。 あーあー言ってると「どこが痛いですか?」と聞かれる。口の横が痛い。器具が当たるのと、全力で口を開けているので口の横がめちゃくちゃ痛い。痛みが歯ではないので麻酔の追加は無く、そのまま続行。

痛い痛い。とにかくつらい。口の中も痛い。もう限界なのに全然抜ける気配がない。気づいたら無意識に号泣していた。自分でもわからないけど涙が止まらない。「助けて。助けて。」と言ったけど、口を開けているので先生にはもちろん伝わらない。ただ泣く事しかできなかった。先生も「なんだこれ…」などブツブツ言っている。

約20分後やっと抜歯が終わった。どうやら歯茎の中でカーブしていて時間がかかったようだ。抜いた歯を見せてもらい、持って帰るかと聞かれたが、恐怖でまだ放心状態の私は断ってしまった。前回ウキウキしながら持って帰ったのに。

いい歳をして歯医者で号泣するとは思わなかった。前回に続き恥ずかしい思いをした。でも今回こそオランウータンのぬいぐるみの出番だったな。

帰宅して鏡を見ると、口の横が裂けていた。

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