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TIMのさらにその先にあった「make insight」という概念

「make insight」

この言葉を聞いたことはありますでしょうか?
おそらくないはずです。僕が個人的に使っている用語になります。
この「make insight」が、当社で打ち出しているTI Mという特定ターゲットにおける魅力設計を凌駕することができる概念なのではないかと思い、本ブログの執筆に至っています。

まだ頭の中を整理している段階ではありますが、採用企業様における魅力設計において、もう一歩先のノウハウになるのではないかと思っています。
では、本ブログをご覧ください。


0. TIMとは?

こちらをご説明する前に採用活動において重要な概念である3Cについて 記載いたします。

3Cとは…
 - 自社(company)
 - 市場(customer)
 - 競合(competiter)
上記の頭文字を取って3Cと表現しています。

採用活動にこの3Cを当てはめてみます。下記ご覧ください。

仮に、これらのうち 1つだけを注力した自社採用における魅力設計をするとどうなるかを解説いたします。

company(自社)だけに拘るとするなら、頑固なお寿司屋さんのようになってしまう恐れがあります。「うちは最初はコハダ、次はあら汁と決まってます。それがうちのやり方です」という具合になるかと思います。

一方で、customer(求職者)は求職者さまがどのような魅力を求めているのか限りなくユーザー調査をして魅力を伝えていくことになるため、自社の独自性が薄くなってしまう恐れがあります。

competitor(競合)に関しては、競合が打ち出している魅力と自社が打ち出している魅力が重複してしまうと希少価値がなくなってしまいます。
話を戻して、TIMについて見てみましょう。TIMは当社が作成した略語ですが、customer(求職者)観点の魅力となっています。下記ご覧ください。

TIMはあくまでも「インサイト」を凌駕できるような魅力を打ち出すことができれば求職者さまに響くのではないか、という考えのもと成り立っている概念です。詳しくは下記ブログに記載しております。


1. TIMにおける問題点

誤解がないように申し上げますと、「問題」と表現してしまいましたが、TIMはものすごく良い魅力設計手法の1つです。
当社も2021年頃にTIMの概念を提唱しましたが、あらゆる企業様に導入させていただき、求人票における「魅力内容」やスカウトメールテンプレート、スカウトメール内の1to1の内容がリッチになっています。
ただ、TIMにおける問題が発生しました。それは、

「インサイトの数が少なければ少ないほど、似通った魅力になってしまう」

ということ。
例えば、バックエンドエンジニアの求人があるとしましょう。そのバックエンドエンジニアはSIer出身のエンジニアをターゲットの1つとして設定している。その場合、SIerのエンジニアのインサイトは想像できます。仮にそのインサイトが4つ設定してあった場合、その4つそれぞれを凌駕するようなメッセージング(魅力)を作成します。
ただ、ここでいう4つのインサイトは、ある程度固定化されている場合メッセージング(魅力)は似てきます。なぜならばインサイトを凌駕する=概ねメッセージングが決まってくるからです。

また、下記は当たり前の話ですが記載いたします。
例えば、昨今成長著しいSaaS企業の話となりますが、前提としてSaaSは特定ターゲットの「ある悩み」を解決するサービスを指します。「誰の」「何の」課題を解決するかが非常に重要です。ここでいう「ある悩み=何の課題」という部分は、ユーザー調査でぼんやり浮かび上がってきます。そして、その悩みが本質的な課題なのかを、プロダクトを使っていただきながら検証していきます。

ここでいう「悩み」は「インサイト」とほぼ同義です。そのため、SaaS企業様が総力を使ってプロダクト開発をしている根本的な「悩み」が、採用市場における「インサイト」なのです(山根はそう解釈しています)。
ただ採用市場において「誰しも予想ができてしまう」ようなインサイトを突いていくだけでは、魅力の度合いとしては薄くなります。
例えば、「Web制作会社出身」の方がいらっしゃったとしましょう。その方はおそらく「事業会社」に転職をしたいという気持ちがあるかと思います。これはインサイトではなく潜在ニーズ/健在ニーズに近いかもしれません。
そこで、ある採用企業様が「当社は事業会社だぞ!」という発信をしたとして、これを一定魅力には感じていただけるかと思うのですが、事業会社はたくさんあるわけです。つまり競合観点において魅力とは言い難くなります。

話を戻します。
TIMはターゲットを設定して、インサイトを設計し、そのインサイトを凌駕できるようなメッセージング(魅力)を設計します。
この手法自体は素晴らしいものですし、当社は今後も使用し続けていくかと思うのですが、そのインサイトが似通ってくると、候補者さまがそのメッセージングに慣れてきてしまう。

さてどうしたものか。
この問題に対して、解決することができる緒が見つかったのです。


2. 「make insight」という概念

make insightとは:
目の前にいるターゲット(候補者)に対して、インサイトを作り出すこと。
「自社が発信している魅力」が、「候補者が求めている魅力」である場合、とてつもなく大きな効果を生み出すことができます(ここで言う後者がTIMの概念です)。

ここで1つ考えてみましょう。
「候補者が求めている魅力」は、どういった背景/理由で、その候補者がその魅力を求め始めたのか?

僕の答えとしては「原体験」です。学生生活、そして社会人生活のある場面においてモヤモヤを感じたり、また価値観が形成されたりします。そのモヤモヤを解決するために転職活動をする方もいます。モヤモヤを解決するために、というより、自分(候補者)も文言化できていない潜在的な希望が発生しているのだと思います(インサイトですね)。
では、インサイトは自分の「原体験」でしか生まれることはないのか?
そんなことはありません。その候補者は、原体験で生まれたインサイトを意識して転職活動をするかと思います。ただ、次に勤める企業に入社をしてみて、「あれ、こんなはずではなかった」と思うことってありますよね?これは価値観の不一致です。自分はそう思っていたけど、入ってみたら違った。ただ、「あれ、思った以上に良かったぞ」というポジティブな事象も発生するかと思います。
ここでいうポジティブな事象が「make insight」につながります。
これまでの話を整理しましょう。

- ターゲットのインサイトを解決することができるメッセージング(魅力)を設計する
- ただ、インサイトが硬直化している場合は、メッセージングも似通る
- その場合は「make insight」が有効
- make insightとは、「思った以上に良かったぞ」という未来のインサイトを設計すること


3.「メイクインサイト」の具体的な事例

例えば、受託開発企業でのエンジニア採用における事例の話をしましょう。

ターゲット
- Java、PHPを用いた開発経験がある方(受託開発出身者イメージ)

インサイト
- 上流工程を経験すること=キャリアアップという定義があり、自身としては技術に寄ったキャリアアップをしたいと考えている
- プロジェクト単位での仕事はやりがいがあり楽しかったが、そろそろ1プロダクトの開発/事業会社での開発にキャリアをシフトしたいと考えている
- より技術力を上げていきたい、という想いを持っているがSIerの理想としている思想とは離れており、Web系企業にチェンジしたいという気持ちが芽生えてきている
- プロジェクト工程の中でも、特に開発(実装)フェーズに力を入れたいと考えている

メッセージング
- 上記インサイトを解決することができるメッセージング(魅力)を策定する
(本ブログでは割愛)

このようなTIMがあったとします。
筋は通っていますが、割と一般的な内容になってしまいそうではありますよね。

ここでmake insightの概念を入れて考えてみます。
例えば、この受託開発企業様の案件が幅広いことを想定してみましょう。幅広いとは、業界やフェーズ、請け負うサービスの種類が多いことをイメージします。その場合は下記のようなmake insightをすることができます。

  • 異なる「業界」「サービス(プロダクト)」「フェーズ」のプロダクト開発に従事できる

    • 業界

      • 金融・医療・建築etc...

      • 各業界によってIT/Web化/DXが進むタイミング、スピード感が異なる。

      • また、時代のトレンドによって成長するITに資金を投下する業界は異なる。

      • つまり、特定の業界だけではなく、あらゆる業界のトップカンパニーや、その業界の課題に一石を投じるようなあらゆる企業と取引ができていることは大きなメリットとなる。

    • サービス(プロダクト)

      • マッチングプラットフォーム、SaaS、Fintech、その他●●techなど

      • サービス(プロダクト)が異なると、ユーザーペルソナが異なり、ペルソナのインサイト/ペインも異なる

      • そのペルソナのペインをどのように解決していくのかを考えることは、ITパーソンとして貴重な資産(経験)となる。

      • なぜならば、ITの活用目的は「課題解決」だから。

      • つまり、実装は手段であり、その上流における「課題解決」をあらゆるサービスにおいて経験すればするほど、ITパーソンとしては成長できる。

    • 「フェーズ」

      • 0⇒1フェーズ、1⇒10フェーズ、10⇒100フェーズ、100以上フェーズ

      • プロダクトのフェーズによって求められる職域が異なるため、職種問わず経験の幅が広がる。

      • 上記の通り、さまざまなプロダクトが存在することで、メンバーにとって成長のキッカケとなる。

今回は、分かりやすいように受託開発企業様の事例をピックアップしました。
「当社のクライアントの業界は多岐に渡る」
「当社のクライアントのフェーズは多岐に渡る」
というメッセージング(魅力)を打ち出している企業様は多いかと思うのですが、それは魅力になり得るかもしれません。
ただ、重要なのはその魅力が「自分(候補者さま)にとって重要であるか」を気づいていただくことです。
その「候補者さまにとって重要であるか気づいてもらうこと」=「make insight」であるとご理解いただけると良いかもしれません。

話を整理しましょう(しつこいですが、おさらいです)。

・ターゲットのインサイトを解決することができるメッセージング(魅力)を設計する
・ただ、インサイトが硬直化している場合は、メッセージングも似通る
・その場合は「make insight」が有効
・make insightとは、「思った以上に良かったぞ」という未来のインサイトを設計すること
・選考段階/情報提供段階において「候補者さまにとって重要であるか気づいてもらう」ことを実施する

こんな感じでしょうか。


4. 最後に雑談

内容がちょっと複雑になってしまったので、もしかしたら理解しにくい内容だったかもしれません。
山根としてはこの「make insight」の概念はすごく腑に落ちているのですが、「候補者さまにとって重要であるか気づいてもらい」、そして「魅力を発信する」というアクションが重要だなと感じました。
採用活動における魅力設計、魅力の伝え方にゴールはありません。
そろそろやり切ったかなと思った矢先に、新しい概念が生まれます。
仕事は楽しいですね。


最後に

皆さんいかがでしたでしょうか。
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