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受託開発/制作企業の採用ブランディングの具体的な方向性を公開します

先日、当社メンバーからこんなブログをリリースしました。

直近で複数社様の「受託開発/制作企業」の採用ブランディング(魅力設計)に携わらせていただき、手応えがあった内容がありましたので、本ブログの執筆に至っています。

皆さまご存知の通り、「受託開発/制作企業」の採用活動における魅力付けは比較的難儀です。何を中心に打ち出していけば良いかは、悩まれる方が多いかと思います。

そんな中、当社が今回携わらせていただいたTRASPさんの事例をもとにご説明できればと思います。


0. TRASPさんの説明

大阪に拠点を構えるWeb制作会社様です。
他のWeb制作会社様と同じように、コーポレートサイト、プロモーションサイト、ランディングページなど様々なサイト制作の実績があります。


1. TRASPさんへのヒアリングをしてみて

当社ポテンシャライトでは、採用ブランディングプロジェクトを実施する場合、先方の社長様(取締役クラスの方)に対してあらゆる角度でヒアリングをさせていただいております。

一般的な質問から、少し回答しにくいトリッキーな質問まで幅広くさせていただいています。例えば、

◆一般的な質問
・会社概要
・設立背景
・ミッション/ビジョン
・事業内容

◆少しトリッキーな質問
・もし仮に御社の事業/サービスが、世の中の事業/サービスと比較して最も魅力的である場合、どのような理由が挙げられますか?

・もし仮に御社が掲げているミッション/ビジョンが、御社でなければ達成できない理由を作るとするとどのような理由が挙げられますか?

・御社が敢えてやりたくない事があれば教えてください。

このようなご質問をあらゆる角度でさせていただき、その企業様を理解するよう努め、そして魅力を探して参ります。

TRASPさんの話に戻ります。
いつも通りヒアリングしていると、いくつか偏った特徴が見受けられました。

 1-1. 事業/サービスについて

「受託開発/制作企業」では、携わるプロジェクトによって職務内容が大きく変わってきます。そのため、「受託開発/制作企業」は事業/サービスの観点において、魅力的に語ることが難しい状態と言えます。
ただ、携わっているプロジェクトがすごくエキサイティングな場合は、それが魅力になり得ることがあります。例えば、

- トヨタのウェブサイト構築をしている
- 日清食品のプロモーションサイトは一括で当社が請け負っている
- エアビーのサービスサイトを作ったのは当社です

など、誰しもわかりやすいようなプロジェクトがあると、魅力付けはすることができるかと思います。ただ、誰しもわかりやすいような魅力的なプロジェクトを獲得できている会社様ばかりではありません。そのため、80%程度の「受託開発/制作企業」は、この「事業/サービス」における魅力付けは難儀となるでしょう。

TRASPさんも、「当社の事業/サービス については、他のWeb制作会社とそこまで変わらないので、実態はお話しできますが、これが魅力に映る事はそこまでないのではないかと思います」とおっしゃっていました。僕もその通りだと思います。

 1-2. 週休3日制、年間休日156日、給与水準が非常に高い、というトリッキーな特徴

ヒアリングしていてびっくりしたのですが、本項の掲題に記載した通りの働き方をしているとのことでした。

まず週休3日制について。
社会人であれば誰しも「週休3日制」と耳にしたらポジティブな反応をするのではないかと思います。休みを多くいただきたい方はもちろんポジティブに感じるでしょうし、仕事をたくさんしていきたい方についても、週休3日のうち1日は自己研鑽をしたり日頃できないような業務に時間を当てることもできるかと思います。

次に年間休日156日について。
これは週休3日を続けていると必然的に休日がこの数字程度になるかと思います。誤解がないように申し上げると、TRASPさんは週休2.5日に近いような働き方のようです。つまり週休2日の週もあるようです。

では、なぜこのような魅力的な働く環境を構築できているのか。
この答えは、代表の森さんの原体験からでした。次項で説明いたします。


2. 魅力的な働く環境を構築することに至った背景

前項で記載をした働く環境について、なぜこのような環境にしているのかは、代表の森さんの原体験からでした。

代表の森さんは、もともとWeb制作界隈で仕事をしておりました。その際に、周りの方々から「独立(フリーランス)になったら年収3,000万円くらいいけると思うよ」と言われたそうです。各業界のプロフェッショナルな方はこの類の言葉を耳にした事はあるかと思いますが、会社に所属するよりも独立(フリーランス)した方が、プロジェクトの受注額も自身の収入に大きく反映させることができるため、この言葉はその通りかと思います。

そんな中、森さんは「よし、フリーランスになろう」という判断なのではなく、

「よし、自分が会社を作って、自社メンバーが様々な項目において恩恵を受けられるような会社を作ろう」

という考えに至ったようです。
ここでいう「恩恵」とは、わかりやすいところで言うと「給与」。先程の説明で割愛してしまいましたが、TRASPさんは一般的なWeb制作会社様と比較すると給与水準は1.3〜1.5倍程度です。
また、前述した「休日数」。繰り返しになりますが、週休3日/年間休日156日を実現されていらっしゃいます。

本項では、「働き方」にスポットを当てて話をしていますが、重要なのは「なぜその働き方を選択しているのか」です。ここに強い意志がなければ、「ただただ、働きやすい会社」となり、メンバーにその強い意志が伝わりません。

なぜこのような話をしているかというと、皆様こんなことを感じませんでしたか?

「週休3日、年間休日156日である事は良いと思うけれども、メンバーがきちんと給与への対価に見合う業務クオリティーになっているのか?」

僕が代表でもそう思います。
つまり、休日が多く、仮に給与が高かったとしても、少ない時間でハイクオリティーな実績を上げていただけるのであれば、メンバーに文句は一切ありません。ただ、仕事への価値観が少々微妙な方がいらっしゃった場合、ただ休日が多くだらけてしまう方も発生してしまう可能性があります。
ただ、TRASPさんはそういったことにならないように様々な対策を講じていたのです。


3. なぜこのような働く環境を構築できているのか?

週休3日制、年間休日156日、高い給与水準を担保するためには、何かしら対策が必要になります。一般的な企業様と同じようなケース、同じようなルールで仕事をしていては実現することが難しいです。なぜならば、それが実現できたら、日本のすべての企業様が 週休3日制/年間休日156日を実現できてしまうからです。

TRASPさんが素晴らしいと思ったのは、「なぜこの働く環境を構築できているのか?」という質問に対して明確な回答を持っていました。そのいくつかをご紹介したいと思います。

 3-1. 採用基準

まずはメンバーとの入り口である採用基準を明瞭にしています。これらを実現するためには、メンバーにもリスペクト観点を持ってもらいたい、という会社の意思があります。

- スキルは二の次で、人間性が第一のポイント
- コミュニケーションにおいて少しの違和感があれば採用しない
- 首尾一貫をしていなければ採用しない
- 過去の経験/実績のみ信用する。未来の志向は信頼しない。理由は不確実性が高いから

という明確な採用基準を作っておられました。この採用基準は他の企業様からしてみても「それはそうだろう」と思われるかもしれませんが、何より重要なのはこの採用基準にしている「目的」が明瞭であることが素晴らしいと思っています。目的というのはこの働く環境にアサインできるかどうか、という意味合いです。

 3-2. メンバーの性格/特性

メンバー同士の不和が無いように強く意識しています。なぜならば、これらを実現するために、日々の業務「以外」のストレスがかかる時間を限りなくゼロにしたい、という思いを森さんが持っているからです。従業員同士の仲に不和があると仕事に大きな支障が出るため、それが限りなく無くなるようにしています。
前項とやや重複しますが、TRASPさんが重要視しているメンバーの性格/特性としては、

- 明朗快活
- 自走できる
- 仕事の成果にこだわる
- 良い意味でサバサバしている
- 必要以上に感情移入をしない

などを提起しています。

 3-3. メンバー同士のコンフリクトへの対処

もしメンバー同士のコンフリクトが発生した場合は、代表の森さん自身が解決を手伝うようにしています。前項では、採用時点において明瞭にすべきことを記載しておりましたが、本項は「発生してしまった際の対処」について記載しています。

 3-4. 高い生産性を担保するために

週休3日、年間休日 156日を実現するために2つの施策を実施しています。

1) スケジュールは30分単位で上長とコンセンサスを取る
メンバー自身の生産性を強く意識してほしい意志があります。一般的な企業が法定通りの週休2日が限界なのは生産性を追求できていないから、という意見をお持ちで、メンバーが働きやすい環境(休日数など)を実現するために、スケジュール/生産性は強く意識されています。

2) 各業務の費用対効果を数値化している
各従業員の時給を換算して、自分が時給通りの仕事ができているかの確認をしてこられたようです。
仮に時給2,000円の方の場合、2,000円に見合う仕事を160時間できているのか?もし自身にとって費用対効果が悪い業務の場合は自分が実施する必要性は薄いと判断しています。


4. TRASPさんが実現したい会社の思想は何か?

本ブログでこれまで説明をした内容についてはご理解いただけたかと思います。これらの内容の総括として、「TRASPさんが目指したい会社の世界観、思想は何か?」と聞いてみました。

すると、明瞭な回答をいただくことができました。

「僕は日本をこうしたい、世界をこうしたいという想いは、他の企業様と比較して少ないかもしれません。ただ、メンバーがTRASPを選んで良かったと思っていただけるような会社は目指したいと強く思っています。そのため、まずはメンバーを幸せにして、幸せになったメンバーが顧客に価値提供して顧客を幸せにして、その結果 日本、世界がより良くなっていけば良いのかなと思っています。そのため、メンバー第一主義というのでしょうか」

とおっしゃっていました。
僕は、会社の価値観は多様で良いと思っています。誰のために働くのか、という問いについては、まず自分なのか、顧客なのか、日本なのか、世界なのか、などはその会社/個人の価値観に大きく寄与すると思っています。

そんななか、TRASPさんは代表の森さんから「メンバー第一主義」という言葉をいただき、確かにヒアリングしてきた内容の全てにおいて、メンバー第一主義という軸が様々な会社のやり方やルールに紐付いているなと感じました。

何が言いたいかというと、週休3日制、年間休日156日、高い給与水準、という文字が並ぶと「事実」でしかその内容を把握できないかと思うのですが、

そうではなく、「メンバー第一主義」が根本的な軸にあって、それを実現するために週休3日制、年間休日156日、高い給与水準という「施策」になっているという解釈が正確であり、そして採用活動において求職者様にうまく伝わりやすいのかなと感じました。


5. 「受託開発/制作企業」の魅力設計で大事なこと

具体的な事例を先行して説明したため、本ブログの冒頭に記載をした「受託開発/制作企業」がどのような採用ブランディング(魅力設計)をすれば良いかという判断が遠回りしてしまいましたが、結論を記載します。

 5-1. 会社の意志/思想を明瞭にすること

ここで言う「意志/思想」というのは、対外的な内容でも良いですし体内的(社内)な内容でも良いです。会社における様々な施策を出来る限り1本の線につなぎたいです。その軸にある意思/思想は何か を明瞭にできると、採用活動は圧倒的に強くなります。
TRASPさんの場合は「メンバー第一主義」が軸になり、会社の活動における様々な施策についてはこの「メンバー第一主義」に全て紐づいているという考え方となり、採用活動を進めるうえですごく整理できました。

 5-2. 事業/サービス内容、職務内容での差別化を無理にしなくても良い

「競合/同業企業と比較して、こんな面白い事業/サービス/職務内容なんですよ」

採用活動で無理にアピールしなくても良いかと思います。誤解がないように申し上げると、自社プロダクト(サービス)をお持ちの企業様であれば、それをPRするのは必須かと思うのですが、「受託開発/制作企業」においては、他の項目の軸を作ることを優先的に考えていただいて良いかと思います。

現在、TRASPさん以外の「受託開発/制作企業」様でも採用ブランディング/魅力設計プロジェクトに携わっていますが、同じように別の項目で魅力の軸を据えています。

そのため、無理に事業/サービス/職務内容での違いにこだわり過ぎずに、別の項目で魅力の「軸」を据える事はオススメですので試みていただければと思います。

ただ、このようなご意見もあるかもしれません。

「事業/サービス/職務内容以外の軸と言われても、そんな軸ないんだけどな…」

という場合は、おそらく御社は採用市場において「選ばれない」会社なのかもしれません。なぜならば、競合/同業企業様と比較して、何も特徴がないからです。言い換えると特徴を打ち出す「意志/思想」がないのかと思います。これがもしないようであれば早急に作るべきだと思います。大げさに言うと、自社の特徴を「採用活動のために」作り出すのです。どのように作れば良いかわからない、という方はご連絡いただければご相談に乗らせていただければと思います。


最後に

皆さんいかがでしたでしょうか。
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