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[組織ブログ Ver.31]傾聴の「モードマネージメント」は令和の新しいスキル

「相手が話をしている途中に、相手が何を言いたいかを決めつけてしまっている」

こんな気づきを得たのが本当に最近のことでした。
皆さまもありませんか?例えば、仕事で親しくしているAさんがいたとします。Aさんが話をしている途中に、Aさんの言いたいことをなんとなく察して、それを決めつけて返答してしまう。僕は割とあるタイプで、相手が話している途中に、「自分の枠組み」に当て込んでしまうことがあります。この場合、自分自身が傾聴するときの「モード」を調整する必要があります。

これを、「モードマネージメント」と呼ぶのですが、本ブログについては、モードマネジメントについて記載したいと思います。




0. モードマネージメントとは?

モードマネージメントとは:
自分自身が傾聴するときのモードを調整すること。

傾聴とは:
相手の話を、相手の立場に立って、相手の気持ちに共感しながら理解しようとすること。相手の話を善悪の評価、好き嫌いの評価を入れずに聴くこと。

まず、「傾聴」という言葉は非常に奥が深いなと思っています。
少なくとも僕はできていませんでした。ただ、これを実施できるようなトレーニングを日々実施しています。

「評価を加えずに観察をする能力は、人間の最大の知性」

上記の言葉はNVCの界隈で有名な言葉のようです。この言葉も非常に深いと思っており、実行するのが難しいです。

皆さま、イメージしてみてください。
お一人、自分が少々苦手な人を頭の中に思い浮かべてください。その苦手な人が自分のほうに歩いてきました。そして話しかけられます。

「1つ伝えたいことがあるのだけど」

という言葉から会話がスタート。「●●さんは▲▲なところがあって…」と言う話が進んだとしましょう。この場合、あなたはその苦手な人の「話をしている内容」は一応聞いてると思うのですが、話をしている「途中」に「決めつけ」していたりしませんか?

僕の事例をお話しします。当社のメンバーの1人に、ネガティブなメンバーがいます。そのネガティブなメンバーから相談を受けた際に、相談を受ける前から「あ、今日はネガティブな話をされるのかな」と言う潜在的な気持ちが発生します。そして話をしている途中に、「同じ事象が別の方に発生した際に、ここまでネガティブに考える事はしないであろう」と言う決めつけが発生し、話を「評価」してしまっている。つまり「正確な」観察ができていない。こんなことが発生しています。自分で本ブログを書いていて、「説明しにくい」「話が複雑になっている」と言う感触があるのですが、この話はすごく面白いので、皆さまぜひ本ブログを読み進めてみてください。


1. モードの種類について

本ブログのメインテーマである「モードマネージメント」は、傾聴する「モード」を調整/管理することです。では、この「モード」はどのような種類があるのか?ご説明いたします。

1-1. レベル1:ダウンローディング(判別的/断定的)

まずダウンローディングとは何かと言うと、「自分の枠組みで物事を捉えている状態」です。自分の枠組みとは、自分のこれまでの経験をした範囲で物事を捉えることです。例えば、自分の意見を否定されて「イラッ」とする事はありませんか?なぜいらっとしてしまうかと言うと、自分が経験している「以外」の価値観で意見をもらうからだと僕は捉えています。
自分が理想としている事は、自分の「経験」が枠組みを作っており、その枠組み「以外」は、皆さまにとっては「経験したことがない」「予想したことがない」類いに該当します。

僕の事例で言うと、「時間通りに集合場所に現れない=だらしない」と言う決め付けがあり、その方にどのような言い訳をされてしまったとしても、「だらしない」と言う固定観念は簡単に取れる事はありません。もちろん、集合時間に現れない、と言う事象自体は、その人の信頼を損ねる行動だと思うのですが、その人にも事情があります。前のミーティングで、どうしても退出ができなかった、などの前提を聞くことなく、「決めつけ」が発生してしまう、そんなところです。

1-2. レベル2:議論モード(分析/観察的)

本項を説明するにあたり「議論」と「対話」の違いを知っておく必要があります。

まずは本ブログをご覧いただければと思います。
2023年にこれを学んでから、個人的にあらゆる方々とのコミュニケーションが取りやすくなりました。
議論は「勝ち負け」が存在する会話のことです。すなわち「能力」が起因する会話においては、議論は適切であると思います。ただ、年齢や年次問わずフェアな項目は何か?それは価値観や感情だと思っています。

例えば、ある映画を3人で見たとしましょう。おそらくその3人の映画に対しての「感じ方」は異なるはずです。その「感じ方」、すなわち感情について「あなたがそう感じるのはおかしい」「あなたがそう感じるのやめたほうが良いよ」と言う会話をしている場合、これは価値観や感情の「押し付け」になります。この文章を読んで、さすがに違和感を覚える方は多いかと思うのですが、僕らは社会においてこれをよくやってしまっています。

もう少し具体的な話をしましょう。
例えば、20代中盤のメンバーがこんなことを言っていたとします。「30代前半のAさんが話していることが、どうしても自分のことを攻撃してるように聞こえてしまうのです。」それに対して皆さまであれば、どんな言葉をかけますか?例えば、

「いや、Aさんはそんなつもりはないでしょ」
「いや、それはあなたの考えすぎでしょ」
「そうゆう考え方をやめたほうが良いよ」
「社会にはそんなことたくさんあるから、気にしないほうが良いよ」

こんな感じの言葉を伝えるのではないでしょうか?
仮に3つ目である場合、これは「議論」に該当します。この20代中盤のメンバーがどのように感じたかは、その方の価値観や感情が起因しています。これまでの20数年間生きてきた中で構築された価値観が、そう感じさせています。もちろんそのメンバーとAさんの関係性も起因しているかと思います。

一方で、何か仕事を進める上で「決めなくてはならない」事象も数多く発生します。例えば、当社はHR支援の会社であるため、採用活動におけるネクストアクションをジャッジしなければなりません。そこまで時間がない中で、スピーディーに次のアクションを決める。その場合は「議論モード」になるわけです。左に進むのか、右に進むのか、ジャッジをしなければならないタイミングで「感情や価値観」にアプローチすることもしますが、「ここは議論モードで行くぞ」と言う共通意識を取り、次のステップに進むことがあります。これは議論モードのわかりやすい事例となります。

1-3. レベル3:内省的対話モード(共感的)

前項でお伝えした通り、議論と対話の違いを理解した上で、本項については「対話」に該当します。
特に、センシティブな1on1ミーティングの場合、議論モードで話を聞いてしまうと、何も物事が解決されない場合があります。特に「組織」や「人間関係」についての話題は、議論で解決することが少なく、少なくともこの「対話」のモードに変換する必要があると感じています。

例えば、4人のグループにおけるコミュニケーションに違和感を覚えていたとしましょう。これを問題として捉えると、問題の複雑性は非常に高いです。なぜならば、4人の価値観や感情が入り混じっている可能性があるからです。仮にこの場で「この4人のグループの明確な指針を立ち上げて、その指針通りに動くことにしよう!」と言ういわゆるポリシーを作成して動く、この施策は一見正しいように見えます。おそらく最初はそのポリシー通り従うかと思うのですが、そのポリシーに「納得する人」「違和感を覚える人」が発生します。ポリシーを作ること自体は僕も非常に賛同するのですが、そのポリシーを策定した後に、どのような価値観や感情が生まれるのか?これを想像する必要があります。この会話について「議論」をしてしまうと、そのメンバーの価値観や感情をつぶしてしまうことになるため、本質的に納得感がある、安全性が高いチームを作る事は難しいでしょう。

前項で話をした「議論」は、その会話をする話題に対して「勝ち負け」を決める、もう少しマイルドな言い方をすると、「結論を出す」ことを目的としています。「対話」は強引に結論は出しません。なぜならば、今この場で解決をするかどうかわからない問題だからです。皆さまも「解決したいけど、数ヶ月/数年解決しない問題」はありませんか?
その類の問題は議論で解決をできない場合も多いです。議論で解決できるのであれば既に解決がなされている。継続的に残っている問題であれば、対話で解決できる可能性もあります。もし解決できない場合、「攻撃」「逃避」のいずれかになることがあります。そして、それが「表面化」しない場合も多いです。それは負債として蓄積されてしまい、最後はお別れ(退職)につながることもあります。

1-4. レベル4:生成的対話モード(生成的)

本項については、テキストの説明が非常にしづらく、ただこれを感じることができれば、異空間にいるような感覚を覚えることができます。
このモードの特徴としては、

・家族に似たような
・深い絆
・絶対的な信頼
・同じ釜の飯を食う
・同志

これらがこのモードの「関係の感覚」になります。
このモードの説明を受けて、僕が感じたのは、「好きなアーティストの音楽のライブ」「帰属意識が高いスポーツチームにおける試合」で一体感を覚える際にこのモードに入ると思っています。ただ、仕事をする上で、このモードに入ることができれば素晴らしいことだと個人的には思っています。ただ、ほとんどの場合、会社(仕事)の場において、このモードに入る事はありません。なぜならば、僕らは「ホールパーソン」になることが極端に難しいからです。

ホールパーソンとは:
仕事やプライベートの場面問わず、同じ自分であること。

「プライベートの自分と仕事の場の自分は、異なるんですよね」と言う当たり前のように出る会話があると思うのですが、これに否定は全くありません。むしろ日本人の99.99%が該当すると思っています。僕もそうだと思います。ただ、ホールパーソンではない場合、何かしら自分を「抑えたり」「演じたり」「隠したり」と言う行動が必然的に発生します。「抑える」「演じる」「隠す」という3つの要素について、皆さまは全業務時間の何%時間を使っておりますでしょうか?

僕は新卒1社目の会社においては、40%ほどがこの時間に使っていました。周りに仕事ができないと思われたくないですし、舐められたくない、そうすると新しい仕事が回ってこない、またシンプルにプライドが傷つくのが嫌だ、馬鹿にされたくない、と言う自己防衛反応がそうさせていたと感じています。そのため、新卒1社目の自分は全くもってホールパーソンではありませんでした。

2社目は取締役でした。そのため、1社目よりもホールパーソンになった気がしていましたが、おそらく20〜30%ほど、前述した「要素を隠す作業」をしていました。

3社目、当社ポテンシャライトの代表になって、僕はホールパーソン「である」と思い込んでいました。ただ「そうではない」と感じたのがつい先週末の事だったのです。僕は会社の代表です。もちろんメンバーには気を遣っていますが、おそらくメンバー以上に僕の方が気を使わなくて済むような役職である事はなんとなく自認しています。ただ、代表である僕も「ホールパーソンではない」とはどうゆうことか?これは別のブログで説明したいと思います。本項についてもう少し補足します。
生成的対話はホールパーソンでなければ本質的には難しいと記載しましたが、ホールパーソンを創出するためには「安全性」が絶対的に必須です。安全性がない状態で、自分自身のことをさらけ出すことはほぼ不可能だと思っています。

少し話がそれますが、僕自身は「心理的安全性」という言葉を嫌悪するタイプでした。ただ、うすうす感じてはいたのですが、なぜ嫌悪していたかと言うと、心理的安全性が「目的」になるチームに違和感を覚えていたからです。心理的安全性は「手段」であって、本質的な「心理的安全性」とは何か?を気づく機会が、先週末にありました。

先週末に発生した出来事は、おそらく10,000字を超えるブログになってしまうので、本ブログでは割愛いたしますが、ご認識だけいただければと思います。


2. モードマネージメントとは?

全項で傾聴の「モード」について説明をいたしました。では「モードマネジメント」とは何か?を説明したいと思います。

その名の通り「モード」を調整/管理(マネージメント)をすることです。
もう少し具体的に説明します。僕ら人間は様々な方と会話するにあたり、自分自身の傾聴のモードが「勝手に」切り替わっています。例えば、

①苦手な人との会話はダウンローディング
②お客さまにコンサルティングをしなければならない場合は議論
③気心知れたメンバーとの1on1ミーティングは対話
④ものすごく安全性が高い親友or家族とは生成的対話

こんな感じです。
③と④については特に言及する必要はないと思います。なぜならこれは皆さんにとって心地の良い時間になっていると思うからです。
ただ、皆さんのモードが①や②に固定/変換されてしまっているとしたら、それは損をしてる可能性があると思っています。僕ら人間は、知らぬ間に相手が言っていることを「断定」します。もしくは「分析」します。相手が「断定」「分析」を望んでいないのにも関わらず、そうしてしまう生き物だと僕は思っています。また「相手」が誰なのか?によってもこのモードは変わってきます。前述した①〜④について

「苦手な人」
「お客さま」
「気心知れた」
「安全性が高い親友 or 家族」

と記載しましたが、相手が誰かによって決まってくると思っていただいても良いかもしれません。


3. なぜモードマネージメントが必要なのか?

  • 自分も相手も納得感を持って、本質的な方向に進みやすい

  • 特に相手にとって居心地が良くなる

この2つでしょうか。

僕は今このようなトレーニングをしているのですが、ミーティングや全体共有の場で、自分自身のモードが何だったのか?を記録して振り返るようにしています。これはすごくオススメで、自分がいかにダウンローディングor議論の目線で決めつけてしまっているのかがよくわかります。また、あえてモードを限定されることもオススメです。

例えば、僕でいうとお客さまとのミーティングにおいて、

「HRにおける答えを今すぐほしい!」
「山根さんのアドバイス通り実施するから教えて!」

という方がいらっしゃった場合は、「議論モード」のほうが相手は幸せです。
ただ、お客さまが「社長とソリが合わなくて困っているのです」という方もいらっしゃるのですが、その場合は「対話」モードに変換します。
自社でいうと、自社メンバーが

「山根さん、ビシバシ フィードバックをいただきたいです!」
という場合は「議論」モード。

「最近頑張ってはいるのですが、いまいち乗り切れなくて…」
という場合は「対話」モードにしています。

という具合で、自分自身のモードをマネージメントすることによって多種多様な気づきを覚えることができます。

ということで、今日はこのへんで。


最後に

皆さんいかがでしたでしょうか。
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