「手法ありき」のエンジニア採用は危険?100社のエンジニア採用支援に入ってわかったフェーズ別のエンジニア採用トレンド
ポテンシャライトが創業してから2年半が経過しました。主にはスタートアップ/ベンチャー企業を中心とした採用コンサルティング/採用代行して参りました。
累計140社程度の採用に携わってきましたが、そのうちエンジニア採用に携わった企業数は100社を超えたのではないかと思っています。
そして、エンジニア採用はここ2年半の間でかなりの変化が起こったと思っています。
・エンジニアの採用手法
・エンジニア採用をするためにアウトプットしなければならないこと
・面談の在り方の変化
・リファラル採用からTwitter採用へ
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などなど。
そして、2年半で100社程度のエンジニア採用を支援してきて、ポテンシャライト にもノウハウが溜まったのですが、紆余曲折をしてそのノウハウにたどり着いています。そして、2019年11月時点、最新のノウハウもアップデートをしたので、その一部を公開できればと思いましてこのnoteを書いています。
2020年以降のエンジニア採用のあり方、何から取り組んでいけば良いのか、をポテンシャライトのエンジニア採用支援の歴史を紐解きながら説明したいと思っています。
★目次(アジェンダ)
# エンジニア採用の歴史を紐解いてみる
- 2017年4月 エージェントでギリギリ採用可能な時代
- 2017年9月 Wantedly 猛進時代
- 2018年4月 リファラル採用全盛期時代
- 2018年12月 Forkwell、LAPRAS襲来時代
- 2019年6月 Twitter採用時代
- 2020年1月 エンジニア採用ブランディング / 採用広報時代
# エンジニア採用支援で起きていること 1.0
- 同じ内容の支援をしているのに結果にバラツキが出てくる
# エンジニア採用支援で起きていること 2.0
- 「事実」は並べられたけど、「魅力」になっていない
# エンジニア採用支援で起きていること 3.0
- 企業フェーズによってエンジニア採用支援って大きく変わってくる
# エンジニア採用の歴史を紐解いてみる
2017年4月以降にどのような変化があったのかを見てみましょう。
こんな感じとポテンシャライト は思っています。
(1) 2017年4月 エージェントでギリギリ採用可能な時代
当時は今(2019年11月)と比較して、エンジニアの転職活動においてエージェントに登録をする方はまだ多かったです。それが故に、Web系のスタートアップ/ベンチャー企業様もエージェントさんからご紹介いただき、採用できていた企業様も多いのではないかなと思います。
山根は2017年3月までエージェントに在籍をしていました。エンジニアの登録者は徐々に陰りが見えてきた時期でしたので、今後どのような登録状況になるのかは読みきれませんでしたが、この時期はまだワークできていたのではないかな、と。特にIT/Web業界に特化したエージェントからの採用実績をお持ちである企業様も多いのではないでしょうか?
ただ、今はいかがでしょうか?おそらく当時と比較してもご紹介の量/質 共に低下傾向かと思います。これには理由があるのですが、次に話を進めます。
(2)2017年9月 Wantedly 猛進時代
2017〜2018年はWantedlyが大きく飛躍した年です。採用企業側 / 登録者側も格段に増えたかと思います。ちなみに、Wantedlyの掲載求人数は、
- 2017年4年 :25,000件程度(うる覚え)
- 2019年11月:50,000件程度
約2倍に増えています。
Wantedlyの戦略で上手だったのは、「採用企業側」として社員登録させることです。これまでの採用媒体の考え方は、「採用企業」と「登録者」を完全に分かれていました。Wantedlyの場合は「採用企業側」に在籍している社員(エンジニア)それぞれにアカウントを持ってもらう手法を取っており、Web業界に在籍している方の半数程度はWantedlyの個人アカウントを持っているのではないでしょうか?
Wantedlyは、月額3万円程度から利用開始できること、月額20万円弱を投下すれば利用できるスカウトサービスで、エンジニア採用を成功させることができる企業が増えてきました。
「エージェントよりも安価で、優秀な方を採用できるのではないか?」と言う雰囲気が出てきたのはちょうどこの頃でした。
(3)2018年4月 リファラル採用全盛期時代
それまでなんとなく認識されていたリファラル採用も、「やらなくてはならない」と言う風土に変わってきたのがちょうどこの頃です。
特にエンジニア採用が徐々に困難になってきた時期でしたので、在籍しているエンジニア社員にとにかくリファラル採用進めていました。
どの企業もリファラル採用をしているため、優秀なエンジニアの方は週2〜3日程度のペース感でリファラルの会食が入っている、なんてこともあったのではないかなと思っています。
(4)2018年12月 Forkwell、LAPRAS襲来時代
Forkwell、LAPRASを簡単に説明をするとエンジニアを採用する媒体です。(ほぼ)エンジニア採用に特化しており、他の採用媒体やエージェントに登録をしてない潜在層のエンジニアにアプローチできる媒体として認知を広げました。
重要なのは、他の採用手法と比較してスキルが高いエンジニアにアプローチできることでした。ただ、スキルが高いエンジニアは簡単に採用することができません。それが故に、「面接」というよりも「カジュアル面談」を最初にしなくてはならない、という文化が生まれ始めたのもこの時期でした。
そのため1人のエンジニアを採用するにも多くの工数がかかってしまう、そんな時代になってきました。
(5)2019年6月 Twitter採用時代
当時よりも前の時期からあったかと思うのですが、Twitterを用いて採用活動する、というのがある程度認知されてきた時代です。
まだそこまで多くの企業様が取り組んでいるわけではありませんが、一部の企業様では複数名優秀なエンジニアを採用できた、という話も耳にしています。
※実は当社もTwitter採用が2名おります(山根のTwitterも貼っておきます)
エンジニアの方それぞれの特性はあるかと思いますが、SNSであればFacebookよりもInstagramよりもTwitterに生息していることも多く、採用媒体ではリーチできない層に対してTwitterを用いてアプローチをする、そんな時代です。
(6)2020年1月 エンジニア採用ブランディング / エンジニア採用広報時代
上記5つに分けて時代を分類してきましたが、いずれも「採用手法」ありきの話です。採用手法をうまく変え、スカウトメールのテクニックを覚えても(今回はスカウトについては言及しません)、実はそこまでエンジニア採用が大きくうまくいくわけではありません。
もちろん、応急処置的に何名か採用はできることも多いです。ただそれが継続できるかというと、そうとは言い切れません。
何の採用手法を用いれば採用できるのか?に終始してきましたが、手法ありきではエンジニア採用はうまくいかないと思っています。
(上記はエンジニアに限らず「採用ブランディング」の手法を書いた記事。一応貼っておきます)
この(6)に記載をしている「エンジニア採用ブランディング」「エンジニア採用広報」の重要性が非常に高まっていると感じています。なぜ山根がそう思っているのか記載します。
# エンジニア採用支援で起きていること 1.0
## 同じ内容の支援をしているのに結果にバラツキが出てくる
例えばエンジニアのスカウト。
ポテンシャライト はエンジニアに適した「採用媒体」もエンジニアに響く「スカウト文面」もある程度熟知できてきたかと思います。採用企業様のニーズ感によって採用媒体は分けて提案し、導入し、スカウトを開始していたのです。その結果、スカウト返信率にバラツキが出てしまっていました。
もちろん、そこまで数値が落ちこむことはありません。
事例でいうと、
- Wantedlyで返信率が低い場合:10%程度
- Wantedlyで返信率が高い場合:35%程度
この違いは何だ?と。
「え、単純に考えて、エンジニアにとって魅力的かどうかじゃなくて?」←これは理解しているのですが、そもそも「エンジニアにとって魅力的か」って何でジャッチするの?という点において、苦戦をしていた時期がありました(2018年末くらいでしょうか)。
# 何をしたのか 1.0
## エンジニア採用ブランディング / エンジニア採用準備シートの作成
ポテンシャライト が採用支援をするにあたり、「エンジニア採用準備シート」というものを記載していただいています。
内容を一部公開。
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よくある開発環境。
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このあたりから細かくなってきます。
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福利厚生系って「何がありますか?」と聞かれると困ってしまいますが、「この制度ってありますか?」と聞かれると意外と出てくるものですよね。
エンジニア採用をするための情報をまず整理はしたいですよね。開発環境はもちろんのことなのですが、どのようなエンジニアリングスタイルなのかは細かくアウトプットをしたいです。色々な企業様のエンジニア採用求人を拝見させていただき、何の情報が必要かどうかを整理していきました。
# <続>エンジニア採用支援で起きていること 2.0
##「事実」は並べられたけど、「魅力」になっていない
上でご紹介をさせていただいた、エンジニア採用準備シート。これはお客様からもご好評いただいており、ポテンシャライト のサービス開始時に記入いただき、エンジニア採用をするためのスタートダッシュとして非常に有効だったのですが、これを運用して3ヶ月ほどで気づいたのですが、これはあくまで「事実」であり、「魅力」になっていないなと。
つまり、「自社のエンジニアリングスタイルは●●だよ」とアウトプットをしたとしても、「あ、そうなの」で終わってしまう。他社より詳しくエンジニアリングスタイルについて記載しているけど、それはあくまで事実であって、エンジニアの方にとって何が魅力になっているのか。そこがぼんやりしてしまっていたのです。
# <続>何をしたのか 2.0
## エンジニア採用広報戦略の立案
事実は事実でもちろんアウトプットをするとして、その事実をどうPRしていけば良いのか?
2017年頃からバズワードである「採用広報」。これはビジネスサイドの方を採用するときと、エンジニアの方を採用するときではアウトプット内容/アウトプット手法は異なると思っていました。ビジネドサイド(例:営業の方)は、はてなブログ見ないですよね?Qiitaも見ないですよね?ただ、エンジニアの方は見ますよね。
つまり、ビジネスサイドの採用広報はWantedlyで良いのですが、エンジニアサイドの採用広報はWantedlyだけでは事足りないのです(山根所感)。
話を戻すと、うまく魅力を伝えるために「エンジニアに特化した採用広報」が必要であろう、と。
そこでこんな資料を作成しました。
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これは手順ですね。色々なWeb上のアウトプットを参考にさせていただいています。
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全体感。ちょっとボヤかしています。イメージだけこんな感じということで。
どのような手順でエンジニア採用広報をしていけば良いのか?
これを実行するのはかなり重いと思います。ただ、やらなくては長期的に考えたときに採用市場において勝てないのです。
# <続>エンジニア採用支援で起きていること 3.0
## 企業フェーズによって、エンジニア採用支援って大きく変わってくる?
Googleさんと御社のエンジニア採用手法って大きく異なると思うのですよね。メルカリさんと御社も異なりますよね。サイボウズさんと御社も異なる。
これまでのエンジニアの採用実績だったり、環境が整っているのか、そもそもCTOが在籍しているのか、など。エンジニア採用をする上で「フェーズ」があるのではないかなとポテンシャライト は捉えています。
このフェーズによって、エンジニア採用でまずは何を取り組むべきかは大きく異なると思っているのです。今このブログを見ていただいている方がどのような企業フェーズかによって、戦略は変えましょうね、という話です。
# <続>何をしたのか 3.0
(1)企業フェーズごとのエンジニア採用で取り組むことのマッピング
まず、ポテンシャライト がエンジニア採用支援をしてきた企業様でうまくいった事例、苦戦した事例を並べてみました。
すると、いくつか項目が炙り出てきたのです。
エンジニアとしてのアウトプットがあるか
プロダクトが魅力的であるかどうか
魅力的なプロダクトの「数」が多い
エンジニアを採用する理由が魅力的か
エンジニアが在籍しているか
働き方が整っているか?
勉強会をしているかどうか
そもそもIT企業か(非IT企業ではないか)
スタープレーヤーはいるかどうか?
CTOがいるかCTOがいないか
技術力が高いというブランディング
グローバルで通用するプロダクトがある
技術系カンファレンス登壇をしているか
なるほど。
これをプライオリティ順に並べてみようか。
①IT企業か(非IT企業ではないか)
②エンジニアを採用する理由が魅力的か
③CTOがいるかCTOがいないか
- CTOブログがあるかどうか?
④エンジニアが在籍しているか
⑤働き方が整っているか?
- 副業
- フレックス制または裁量労働
- リモート
- 希望のPC/ディスプレイ
- 書籍購入/セミナー補助
⑥エンジニアとしてのアウトプットがあるか
- SNS/ブログ
- Twitter/はてブ/note/Qiitaなど
⑦勉強会をしているかどうか
- 社内/社外
- 主催しているか
⑧プロダクトが魅力的であるかどうか
- 未踏クリエイター
- コミッター
- 業界での著名人
⑨スタープレーヤーはいるかどうか?
⑩技術系カンファレンス登壇をしているか
⑪魅力的なプロダクトの数が多い
⑫技術力が高いというブランディング
⑬グローバルで通用するプロダクトがある
⑭もはや神レベル
ふむふむ。
次に横軸に企業名をプロットしていけば、イメージが湧きやすいのではないか?ということで並べてみました。
すごくイメージ湧いてきた。
これってランクをつけてみよう。
すごい。形になってきた。
A-1からF-1までポテンシャライト が採用支援をさせていただいた企業様をイメージしてランク付けをしてみたのですが、
これ、ランクによって取り組むことが変わってくるよね。
ということで、ランク別に何をしたら良いのかを表でまとめてみたのがこちら。
なるほど、これ良い。
ということで、今ポテンシャライト では、下記にてエンジニア採用については支援させていただいています。
◆2年半 エンジニア採用支援をしてわかってきたこと
(0)エンジニア採用においてどのフェーズにいるのかを確認
(1)エンジニア採用ブランディングをやりましょうか
(2)エンジニア採用広報をやりましょうか
(3)まずはWantedlyを頑張ってみる
(4)リファラル採用も頑張ってみる
(5)Forkwell / LAPRAS / Findy を頑張ってみる
上記、(1)と(2)についてはフェーズによって異なることは上で説明したのですが、各企業様によってやるべきことは異なってくるかと思います。長期的に採用をしていきたい、という企業様であればあるほど、「手法」ありきの採用活動にはならないように注意をしたいです。
2020年はどんなエンジニア採用トレンドが生まれてくるのかは楽しみですが、最後に当社ポテンシャライト の話を少しだけ。
ポテンシャライト は2019年10月にMission / Vision を再設計しました。Visionについては下記。
ポテンシャライト は、常に採用トレンドの最先端を歩む集団として在り続けたいと思っています。
「今」の採用ベストプラクティスは「1年後」には廃れていると思います。ポテンシャライトは採用ノウハウ、ベストプラクティスを日々アップデートをしていきたいと思っています。
そのため、「ビジョン」にゴールはなく、常にベンチャー採用においてはポテンシャライトがstandardを創っていく存在としてあり続けたいと思っています。
こういった発信は定期的に行なっていきたいと思っています。
※一応、Twitterアカウント貼り付けておきます。同じような発信はしています。
※ポテンシャライトの採用支援にご興味をお持ちの方はこちらまで
では!
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今後も採用/人事系のアプトプットを続けていきます。
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